クスノキの番人 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 10444
感想 : 586
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408558035

作品紹介・あらすじ

不当解雇の腹いせに罪を犯し、逮捕された玲斗。そこへ弁護士が現れ、命令に従うなら釈放すると提案があった。その命令とは……。

感想・レビュー・書評

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  • クスノキの番人。

    なぜクスノキに祈るのか。
    クスノキは何を成すのか。
    クスノキの番人は何をするにか。
    何故クスノキの番人に選ばれたのか。

    人は成長して、そして老いていく。
    その事実があるからこそ、
    今をしっかりと生きる。託す誰かを見つける。

    そうやって続いていくんだな。

  • 私の本棚の中では伊坂さんと双璧で存在感を放つ東野さん。その割には1年以上ものお久し振り。

    不当に解雇された職場に腹いせで盗みに入り逮捕された玲斗は、弁護士を介し示談に持ち込んでくれた伯母だという女性から、“クスノキの番人”をするように命じられる。そのクスノキには不思議な言い伝えがあり、祈れば願いが叶うと言われていて…、といった出だし。
    そこからは、祈念について自ら回答を見つけろと言われた玲斗が、クスノキで祈念する父親の行動を怪しむ優美とともに行動することで、祈念の謎に徐々に近づいていく話に。この少々厚い本をそれだけで引っ張っていくのだから、語りとしては大したものだ。
    ただ、全体的に変化に乏しく、クスノキの言伝えも玲斗の成長もなんとなく底が浅くて、話としてはうまく構成されていたとは思うが、あまり感興は湧かなかった。

    今回の設定の上で、祈念に来る様々な人の人生の機微や謎解きを短編で描いてもらえれば面白いかも、と思った。

  • 初めは絶対怖い本だと思ってた。
    ミステリーっぽい匂い。これは苦手分野。
    なのに家の本棚にずっとあり、積読本だった。
    よし!新しいことに挑戦だ!とやっと手に取った。

    序盤はやはり不穏な雰囲気。ちょっと後悔。
    でも中盤辺りから「あ、これはきっと最後泣くな」の予感。そして、謎が知りたくて途中でやめられない。おお、これがミステリーなのか。

    なんとも登場人物それぞれの人の思いが強くて、その人生を一緒に過ごした感じがする。クスノキの力?一緒にクスノキに念じ受け取ったような。

    不思議に、最後の方にはあまり出てこないクスノキなのに、読後は2人の背後でゆったり優しく大きく佇んでいるような気がした。

  • やってもうたー、、、ファンタジー感。。
    シリーズ以外を久しぶりに読もうと、あらすじ読まずに買ってしまったー。。
    途中までは面白かったんですが、長くて……。。
    ファンタジー苦手なのもあり。
    東野圭吾さん、こゆ作風も書くんだなぁと感じらたところは良かった。ラプラスよりは好きなので★3

    みなさんの評価高いので、単純に私の苦手分野を自ら選んでしまって、個人的感想です。ので参考になりません!

    次は、池井戸さんか!?どしよかなー、、

    • アールグレイさん
      なんなんさん(^_^)/
      こんにちは♪
      ファンタジー、苦手?この本どんな内容なのかなと、手をつけられないでいます。
      滅多にミステリーを読まな...
      なんなんさん(^_^)/
      こんにちは♪
      ファンタジー、苦手?この本どんな内容なのかなと、手をつけられないでいます。
      滅多にミステリーを読まない私、初作家さんの阿津川辰海さん、透明人間は密室に潜む、を読み始めました!
      (@_@;)えっ!変?違う!引き込まれそう( ̄□ ̄;)!!
      2023/11/04
    • なんなんさん
      アールグレイさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます♪

      どんなお話かと言われると、、
      誰もも死なず、事件も起きず。
      もちろん刑事も...
      アールグレイさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます♪

      どんなお話かと言われると、、
      誰もも死なず、事件も起きず。
      もちろん刑事も名探偵も登場しない。東野さんには珍しい作品かなー。と思います!

      クスノキに関わる謎のお話。
      木に祈れば願いが叶うと言われてるクスノキ。
      ん???

      その番人をすることになった主人公が、来る人を案内する役なんですけど、クスノキの謎をどんどんと終盤にいくにつれて解いていく構成でしたよー!
      私結構、暗黒な事件の謎や動機、犯人はいったい!?みたいなのが好きなのかもでして、、
      そゆ物語ではないと途中で気づいた感じです(・・;)
      2023/11/04
    • なんなんさん
      阿津川辰海さん、私も読んだことないですっ!
      初読み作家さんを読むのも好きで、たまに好んで初読みばかり読んだりもします(*'▽'*)
      阿津川辰海さん、私も読んだことないですっ!
      初読み作家さんを読むのも好きで、たまに好んで初読みばかり読んだりもします(*'▽'*)
      2023/11/04
  • 2023.6.13 読了 ☆9.2/10.0

    『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続く、感動エンターテインメント作品。

    帯には、そんな言葉がある。

    久しぶりの、東野圭吾さんの本格ミステリーではない、ファンタジーなヒューマンドラマ長編作品です。



    言葉で伝えようにも、伝わり切らない想いがある



    そんな、感じていること、考えていること、生きてきた事実……そんな、その人の全てである"念"を後世の人に伝え残すことができる不思議なクスノキ

    無念や観念、怨念、邪念、祈念、理念など、託したい想いの橋渡しとなるクスノキの番人を務める千舟とその甥っ子の玲斗。


    ラストでは、伝わりきらない想いを繋ぐクスノキの大切な番人をしている彼らが、クスノキに頼らなくても、言葉に託さなくても伝わる想いがあるということが描かれている。


    言葉の壁を超えて、彼らの想いは"情念"となって伝播し合う。


    じんわりと涙が出てくる、そして不思議な世界にお邪魔したような、そしてこれからも生きていく勇気を与えてくれる、そんな読後感でした。


    〜〜〜〜〜〜以下、心に響いた言葉〜〜〜〜〜〜



    "自分たちが食べたいと思ったものを、お客様に召し上がっていただく。つまり自分がして欲しいと思うことをお客様にしてさしあげる。それがサービスの基本" p.251



    "じゃあ訊くけど、君はミッキーマウスの正体を知ってる?
    東京ディズニーランドでミッキーマウスを演じているのはどこの誰か、君は知ってるかって訊いているんだ。知らないだろ?社内ルールで、絶対に明かしてはいけないことになっているからだ。本人だけじゃなく、正体を知っている関係者は全員契約者にサインをさせられ、破った場合は高額な罰金を取られるという話だ。そのルールを破って、ミッキーマウスの正体を明かした人間がいるか?SNSでバラした人間はどう?いないだろ。秘密保持のルールを徹底することは不可能じゃないんだ。
    たとえ、うっかり口を滑らせる人間がいたとしても、聞いた人間が信用しなければ噂は広がらない。都市伝説の類だと思われて、それでおしまいだ。この手の話は、実際に関わった複数の人間が証言しない限りは事実と認定されない。" p.273



    "あなたの生き方に口出しはしません。
    ただ、一つだけアドバイスするならば、この世に生まれるべきでなかった人間などいません。どこにもいません。どんな人間でも、生まれてきた理由があります。そのことだけは覚えておきなさい" p.417



    "今の世の中、いいことだけをして生きていけるほど甘くないもんね。家族を養ったり、従業員にお給料を払ったりするためには、人の弱みにつけ込んだり、人を押しのけたりしなきゃいけないこともある。
    清く正しく美しく、なんて幻想。"       p.424



    • yhyby940さん
      私の本棚をフォローして頂き、ありがとうございます。私も東野圭吾さん・伊坂幸太郎さん・重松清さん、大好きなんです。この作品は、まだ読んでません...
      私の本棚をフォローして頂き、ありがとうございます。私も東野圭吾さん・伊坂幸太郎さん・重松清さん、大好きなんです。この作品は、まだ読んでませんので読みたいと思います。ありがとうございます。
      2023/06/16
    • わーーーーーさん
      がんさん、こちらこそフォローとコメントありがとうございます!

      好きな作家さんが同じで嬉しいですし、きっかけになれて嬉しいです!
      がんさん、こちらこそフォローとコメントありがとうございます!

      好きな作家さんが同じで嬉しいですし、きっかけになれて嬉しいです!
      2023/06/16
    • yhyby940さん
      今後も参考にさせて頂きます。よろしくお願いします。
      今後も参考にさせて頂きます。よろしくお願いします。
      2023/06/16
  • 「謎を紐解く」という言葉がしっくりくるくらい、階層的なミステリーで、1つの疑問が解ければ芋づる式に謎が解決していく爽快感と、じんわりと心に沁みるラストはとても良かったと思います。

    物語としては、主人公が一家相伝で行われている家業の「クスノキの番人」を引き継ぐことから始まります。そのクスノキには願いが叶うという言い伝えがあり、夜な夜な訪れる人がいるほど。ある日、クスノキの番人を務めていると、1人の怪しげな女性に出会う。その女性は父がクスノキで何をしているのか知りたいと主人公と共に調査を始めるといったストーリー。

    「白鳥と蝙蝠」や、「危険なビーナス」、「マスカレードシリーズ」のように男女のバディもの感ある展開だったので、これらの作品が好きな方にはハマるのかなと思いました。本作で十分物語がまとまっていると感じたので、個人的にはこのシリーズの2作目がどういう展開になるのかは少し気になります。

  • 久しぶりの東野圭吾作品
    長い間超売れっ子作家として君臨し続けている。
    流石にベテランの小説。
    誰にでもスラスラ読みやすく、かつ面白い。

    ※裏表紙の内容紹介※
    不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯し逮捕された玲斗。そこへ弁護士が現れ、依頼人に従うなら釈放すると提案される。心当たりはないが話に乗り依頼人の待つ場所へむかうと、伯母だと言う女性が待っていて玲斗に命令する。
    あなたにしてもらいたい事ハ、クスノキの番人です…と。


    主人公玲斗の生い立ちを考えると、よくこんなに性格が素直で、まっすぐに育ったなぁと思う。
    少し無理があるかな!

    しかし最後はしっかり解決。
    読後感はスッキリ!

  • 久しぶりに東野圭吾読みました。一気読みです。記憶に残ります。伝えることって伝えようとしなくても、信じてれば伝わります。

  • ☆4

    東野圭吾さんの作品を読むのは久しぶりでした。
    500ページ近くある作品だったので、読了までに少し時間がかかるかなぁ…と思っていたのですが、読み始めると続きが気になってページを捲る手が止まらず、あっという間に読了してしまっておりました!

    少しずつ明らかになっていくクスノキの秘密に惹かれ、そして主人公・玲斗の「クスノキの番人」としての成長が頼もしく、とても心温まる素敵なお話でした。
    来年続編が刊行されるとのことなので、楽しみに待っていたいと思います❁⃘*.゚

  • 読みやすく、長さを感じなかった。

    ファンタジー…でも、人として大切な何か。を改めて感じる事が出来た気がする。原点に戻るというか、人生こうでなきゃ生きてる意味って?みたいな感じ。

    棚ぼた感は否めないが、幼少期があんなでひねくれないで育つのか?とか、東野圭吾はこういう会話の運びをするんだなとか…といった感想。

    日々生活する中の、ちょっとした気分転換的な一冊だった。
    気分も新たに、ひねくれないで育って行きたいと思います。ありがとうございました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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