もりのかいぶつ (実業之日本社文庫 GROW)

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  • 実業之日本社 (2024年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784408558882

作品紹介・あらすじ

少女は「かいぶつ」だった。
呪いが解けるその日までは。

繰り返される別離と出逢い、拒絶と絶望の果て、
やがて少女は「小さな幸福」に救われ、森を出て、大人になる。

毒親に翻弄される少女に、生きる理由と居場所を与えたのは……!?
切なく哀しく心温まる、究極の愛の物語に涙が止まらない!


「自分は他の人と違う『かいぶつ』だから愛されない」
――幼い頃、藤村優を取り巻く世界は狭く冷たかった。
我が子に歪んだ感情を向ける母、家に寄りつかず妻子に関心のない父。
両親はやがて優を捨て、彼女は伯母・登季子のもとに身を寄せる。
偏屈な魔女めいた登季子と飼い猫・ランとの共同生活は坦々とと穏やかで、しかし愛に満ちていた……。

感涙の少女成長譚!!
胸に迫る物語に、泣かずにはいられない!!

みんなの感想まとめ

家族の愛に恵まれず、孤独を抱えた少女の成長物語が描かれています。主人公の藤村優は、歪んだ感情を向ける母と無関心な父に捨てられ、伯母の登季子のもとで新たな生活を始めます。偏屈な登季子と飼い猫ランとの穏や...

感想・レビュー・書評

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  • 家に寄り付かず妻子に関心のない父、歪んだ感情を向ける母から捨てられた藤村優。
    優は、絵本作家である伯母の登季子のもとで暮らす。
    風変わりだけどちゃんと優のことを見てくれる伯母と飼い猫ランとの生活は穏やかに過ぎていく。

    優と友だちとの関係も伯母は不思議なほど把握できていた。
    自分から誰かに話しかけることのなかった優のいちばんやりたいことが強くなることで、相撲を習い始めたり、中学で声をかけてきた関本晶子とは、感想文の書き方は読書から入ることだと絵本から進めてお互いに『ヘンゼルとグレーテル』『走れメロス』『智恵子抄』と読み合って感想を言い合う(この掛け合いが気持ちいい)間柄が、離れた高校でも続く。

    成長するたびにたまに隠れて会う母との関係も複雑になっていく。
    学費を出すだけの父からも「おまえは、かいぶつだ」と言われる。
    伯母だけはわかっていた、子どもは親にとってはどんな子どもでもかいぶつなんだと。


    伯母さんが理解してくれて優はよかったのかもしれない…
    ランがそばにいて少しは寂しさも紛れたのかもしれない…

    優のこと変わっているって言うより面白いと考えてみたらいいのに…と。


    家族でも親でも分かり合えるわけではない。
    なにがあっても許せるわけでもない。
    一緒にいるのがあたりまえでもない。

    ただ気づいてくれる誰かがそばにいてくれたらいい。







  • 少女は「かいぶつ」だった。
    呪いが解けるその日までは。
    (あとがきより)

    加藤元さんの作品を読んだのは、本書『もりのかいぶつ』で5冊目となりました。
    今までに読了した4作品とは明らかに異なり、加藤さんの新たな一面を窺える作品で、とても面白かったですね。

    本書は七つの章で構成されています。
    序章  もりのかいぶつ
    第一章 かいぶつは、みんなとはちがう
    第二章 かいぶつのみかたは、わたしだけ
    第三章 かいぶつは、そとへでたらいけない
    第四章 かいぶつは、かがみをみた
    第五章 かいぶつは、かいぶつ
    最終章 かいぶつは、とびらをあけた
    この目次を読んだだけで、「これは今までに読んだ加藤さんの作品とちょっと違うぞ!」と感じ、ワクワクしながら読み進めました。

    さて、本書は主人公である藤村優(女の子)がまだ幼いころに、不仲になった両親に子育てを半ば放棄されるような形で、伯母で絵本作家でもある登季子に預けられるところから始まります。
    少し偏屈なところもある登季子ですが、優には愛情を注いでおり、優もそんな登季子を信頼していきます。
    また、登季子が飼っている猫のラン、友人の関口晶子の存在と、ただ強くなりたいが為(何故強くなりたいのか?については、終盤に判明します)にひたすら相撲に打ち込む環境を得た優は、ある意味で幸せな生活を送ることになります。
    中盤では、『ヘンゼルとグレーテル』、『走れメロス』、『智恵子抄』
    などの作品の内容と、その解釈が物語に変化と厚みを添えます。
    そんな中、登季子が体調を崩して入院することになったり、父親と母親が(勿論、別々に)優の元を訪れたりして、この物語のクライマックスを迎えます。
    ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、読了した加藤さんの作品の中で(僅か5冊ですが)『嫁の遺言』と並んで読み進めるスピードは速かったと思います。
    とても、明るく楽しい作品とは言えませんが、物語のその先を早く読みたいと思わせられた作品で、「良作」であることに間違いはありません。
    欲を言えば、終盤にもう一捻りの驚きの要素が欲しかったですね。
    もしそれがあれば「傑作」となり、評価も☆5だったと思います。

    また、本書のタイトル『もりのかいぶつ』の意味が非常に気になるところですが、
    「もり」とは?
    家族/両親/社会?
    「かいぶつ」とは?
    優/子ども?
    はっきりとした正解(そもそも正解があるのか?)は加藤さんしか分かりませんね。

    最後に、心に残った文章をいくつか抜粋します。

    「もう一度、見直してみなさい。ものごとはね、いつだって、自分の眼を裏切るものだから」

    「よかった。でも、自分の眼は裏切るからね」

    「誰だって、生まれる場所は選べない。親も選べない。親だって子どもを選べない。血や肉は分けれも、性格は似ても同じ人間じゃない。親だから、子だから、受入れ合うのが当然、なんてこともないわけ。まあ、つまりは、ハッピーで終わるおとぎ話、私はあんまり描かないんだよね」

    *「おとぎ話」は加藤さんの作品に頻繁に出てきますね。

    「ハッピーエンドも描くことはあるよ。ただ、読み手によって解釈は割れるかもね」

    「わたしも、登季子さんのように、自分ができる人生を、自分の意志で選びたい」

     *『嫁の遺言』の解説を思い出しますし、加藤さんが最も書きたいことなのでしょうね‼️

  • 我が子に歪んだ感情を向ける母と、妻子に関心のない
    父に捨てられた優は、伯母・登季子のもとに身を
    寄せる。偏屈な魔女めいた伯母と飼い猫ランとの
    生活は坦々と穏やかで、しかし愛に満ちていた…。
    少女の成長譚。

  • 毒親に捨てられた優は、叔母・登季子のもとに身を寄せる。魔女めいた登季子と飼い猫ランとの生活は愛に満ちていた。
    登季子がいてくれてよかった。優の成長も素晴らしく、本当の意味で強くなった。

  • ☆3.8

    小さい頃から不仲の両親に囲まれ、確かな愛情も受け取ることのないまま実質捨てられた優。
    何より名前の由来が悲しすぎて泣く。
    人生初めての大切であるべき贈り物なのに。
    見守ってくれる登季子さんやランさん、そして関本さんがいてくれて本当に良かった。

  • 「かいぶつは、みんなとはちがう」
    本音を語っていた。
    嬉しい言葉を言ってもらえたから嘘偽りなく話していたのに、こんな風に陰で言われていたら虚しくなるだろ。

    「かいぶつのみかたは、わたしだけ」
    本音は隠している。
    ちゃんと伝えているはずなのに、自分に都合のいい部分は勝手に解釈を変えて理解するのは昔からなのだろうな。

    「かいぶつは、そとへでたらいけない」
    成績優秀な理由は。
    苦手だと分かっていて諦めたくないのならば、どれだけ嫌なことでも続けていくしか苦手を克服するのは無理だ。

    「かいぶつは、かがみをみた」
    卒業しても続く事。
    自分に都合の悪いことは聞き流しているからこそ、どれだけ伝えても届くことはなく一方通行になるのだろうな。

    「かいぶつは、かいぶつ」
    後悔はしていない。
    これだけ酷い言葉を投げつけているというのに、それに気付かないどころか被害者面するなんて図太い神経だな。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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