たまごの旅人 (実業之日本社文庫)

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  • 実業之日本社 (2024年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784408558899

作品紹介・あらすじ

念願かなって海外旅行の添乗員になった遥。風光明媚なアイスランド、スロベニア、食べ物がおいしいパリ、北京……異国の地でツアー参加客の特別な瞬間に寄り添い、ひとり奮闘しながら旅を続ける。そんな仕事の醍醐味を知り始めたころ、思わぬ事態が訪れて――。
ままならない人生の転機や旅立ちを誠実な筆致で描く、ウェルメイドな連作短編集。
解説/藤田香織

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

海外旅行の添乗員としての奮闘を描いたこの作品は、主人公の新米添乗員が異国の地での様々な経験を通じて成長していく姿をリアルに描写しています。アイスランドやスロベニア、パリなど、美しい風景や文化の紹介に加...

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『好きなことを仕事に』しているでしょうか?

     『好きなことは仕事にしない方がいい』

    仕事を選ぶ際によく言われるこんな言葉があります。このレビューを読んでくださっている方のお仕事はマチマチだと思いますが、そんな言葉に、そうだね、と思う方もいれば、そんなことない、好きなことを仕事にしてますよ、という方もいらっしゃると思います。

    憲法第22条第1項に記されている通り私たちは公共の福祉に反しない限り職業は自由に選ぶことができます。そんな中に今の職業をそれぞれ選んだ私たち、そこにはそれぞれの人が人生を生きていく中での考え方が見えてもきます。

     『好きなことを仕事にするということは、好きなことの中に痛みや後悔が降り積もることなのだ。好きなことを、好きなだけではいられないということなのだ』。

    『好きなことを仕事にする』ことも思った以上に大変なことなのかもしれません。

    さてここに、『思い返せば、子供の頃から、遠くの世界に憧れていた』という思いの先に、『海外旅行添乗員』という職業を選択した一人の女性を描く物語があります。『どうしても、旅を仕事にしたかったのだ』という女性のひたむきな思いを見るこの作品。そんな女性が『海外旅行添乗員』として訪れるさまざまな国々の魅力が活き活きと伝わってくるこの作品。そしてそれは、『誰かに喜んでもらうって、素敵なことだ』と、仕事に情熱を捧げる女性の思いを感じる物語です。

    『どう?アイスランドは楽しい?オーロラは見られた?』、『遥(はるか)はすごいと思う。昔からそうだった…』と続く『親友の千雪から、昨日届いたメッセージを思い出す』のは主人公の堀田遥(ほった はるか)。『子供の頃から、遠くの世界に憧れていた』遥は、『クラスメイトには海外に住んだことがある人や、夏休みに海外旅行に行く人が多かった』という中に『うらやましい。不公平だ』という思いを募らせていました。そんなある時、『旅行添乗員という仕事があることを知った』遥は、『仕事として、世界のあちこちに行けるというだけで、胸が躍』ります。『大学も外国語大のスペイン語学科に通い、英語とスペイン語はそこそこ喋れるくらいまで勉強した』という遥は、『就職活動をするときになって、はじめて旅行添乗員のほとんどが派遣社員であることを知』りますが、『そこに躊躇は』ありませんでした。『どうしても、旅を仕事にしたかった』という遥。そんな遥は今、『旅行添乗員としての、はじめての旅』の途上で『何度も資料を読み返して』います。『海外旅行そのものは、さすがにはじめてではない』ものの、『仕事で行くのは全然違う』と思う遥は、『九人ものお客様を案内し、なんのトラブルもなく旅行を終えて、日本まで帰らなければならない』と今の自分が置かれた状況を認識します。『目的地はアイスランド』、『行ったこともなく、興味さえなかった国に行くことになってしまった』という状況の中、『もう一度、ツアー参加者の名簿を確認し』ます。そして、この先、『ヘルシンキ、ヴァンダー空港での乗り継ぎは一時間しかない』ことを思い『空港の案内図を頭にたたき込』みます。『ヴァンダー空港がはじめてだとか、アイスランドがはじめてだとかは、絶対に参加者には悟られてはならない』、『ましてや、ひとりでの添乗がはじめてだなんて』と思う遥。そんな時、『機内アナウンスが着陸態勢に入ったことを知らせ』ます。それに『身体を起こした』遥は、『背の高い女性が通路を前から歩いてくる』のに気づき『息を呑』みます。『八年ぶりだが、忘れるはずなどない』と思う遥は、『ありえる偶然だ。彼女も旅行添乗員なのだから』と考えます。『もう少し早く』気づいていれば…と後悔する遥は『せめてひとことだけでもお礼が言いたかった』と思います。そして、飛行機が着陸し広い空港の中で、ほとんど埋まった椅子に座れない参加者から不満が出るなど早速忙しく働く遥でしたが、どうにか乗り換えを無事に済ませます。そんな中、再び『彼女』を目にした遥は今度こそ『彼女』と『機内で話すことができるはずだ』と期待します。『彼女と出会ったのは八年前。わたしが高校二年生のとき』と過去を振り返る遥は、家族と『はじめての海外旅行』で台湾に行くことになりました。そんな中、『三十人近い参加者をまとめていた添乗員が彼女』でした。『英語と中国語が喋れて』、『酔っ払った中年男性の参加者』の振る舞いをたしなめたり…という姿を見て『彼女みたいになりたい』と『鮮烈に』思った遥は、『わたしの頭の中にはいつも彼女がいた』というそれからを生きてきました。そして、『シートベルト着用のサインが消え』参加者に必要な連絡を済ませると『おそるおそる彼女に近づ』く遥。『お休み中失礼します。宮城さんですよね』、『わたし、パッション旅行社の堀田遥と申します』と挨拶する遥に『極東ツアーの宮城彰です』と返す宮城は『同業者同士の挨拶だと思った』様子。そんな中に『わたし宮城さんの添乗するツアーに参加したことがある』、『わたし、宮城さんに憧れて、この世界に入ったんです』と事情を説明する遥に『あきらかに顔を引き攣らせ』る宮城。それを見て『触れてはいけないところに触れてしまった気が』して焦る遥。そんな遥に『旅が好きだからこの仕事を選ぶ人は多いけど、そういうのってこの仕事の一面でしかないんですよね。わかります?…』、『何年か後に後悔することにならないといいけど』と宮城は『ぎこちない笑みを浮かべ』ながら語ります。『まるで、ことばの石つぶてを投げつけられたようだった』と思う遥ですが、その後『うじうじ考えているうちに、飛行機はレイキャビク、ケプラヴィーク空港に到着し』ます。そして、スタートしたアイスランドツアーで初めての『海外旅行添乗員』として孤軍奮闘する遥の姿が描かれていきます。

    “念願かなって海外旅行の添乗員になった遥。風光明媚なアイスランド、スロベニア、食べ物がおいしいパリ、北京…異国の地でツアー参加客の特別な瞬間に寄り添い、ひとり奮闘しながら旅を続ける。 そんな仕事の醍醐味を知り始めたころ、思わぬ事態が訪れて”と内容紹介にうたわれるこの作品。『海外旅行添乗員』として世界各地を旅する主人公の遥視点でそんなお仕事の舞台裏がリアルに描かれていきます。

    このレビューを読んでくださっている方の中にも海外旅行に行ったことのある方、ない方はそれぞれいらっしゃると思います。また、行ったことがあるという方であっても、『海外旅行添乗員』と一緒のツアーを選ばれたか、個人旅行を選ばれたかでも海外旅行自体の印象は異なってくるように思います。私は個人旅行の経験しかありませんが、旅行先でオプショナルツアーに参加したことはあります。この作品を読んでその時のことを少し思い出しもしましたが、この作品の魅力は、そんなツアーを率いる『海外旅行添乗員』の”お仕事小説”の一面、そして何よりも世界各地をまるで自身も旅しているかのように描きあげてくれる側面だと思います。まずは、後者から見てみましょう。

    この作品は5つの短編が連作短編を構成しています。そして、それぞれの短編では遥が『海外旅行添乗員』として案内する5つの旅行先が舞台となっていきます。その中から各国の名所を描いた場面を見てみましょう。まずは『アイスランド』です。

     『高さ七十メートルくらいまで上がったことがある巨大な間欠泉を、すぐ近くで見られるという』『ゲイシール間欠泉』
       → 『地球が呼吸しているみたいだ。ふいにそう思った…アイスランドという国は、地球が剝き出しになっているように見える』

    遥が『海外旅行添乗員』として初めて訪れたのが『アイスランド』でした。一番の目的は『オーロラ』のようですが、『アイスランド』は地球を感じる大自然が有名でもあります。『間欠泉』の噴き上げを『地球が呼吸しているみたい』と表現するのは秀逸だと思います。そして、この感想は『海外旅行添乗員』とは言え、初めてそんな光景を目にした遥の心の内の吐露でもあります。私は訪れたことがないですが、この作品に描かれる『アイスランド』、とっても魅力的です。行ってみたくなりました。次は、『スロベニア』です。

     『日本人の九十八パーセントが行かない国』というキャッチフレーズで紹介される『スロベニア』の『ポストイナ鍾乳洞』
       → 『ヨーロッパで最大と言われる鍾乳洞で、トロッコ列車で三キロ走った後、二キロ歩く』、『がくがくと揺れながらカーブを曲がるのが、またジェットコースターみたい』という『トロッコ』
        → 『鍾乳洞と言われてイメージするような、つららのような形のものは数え切れないほど天井からぶら下がっている。巨大なきのこのように、地面から生えたもの、柱のような形をしているもの。一ミリ形作られるまでに、十年かかるという』
         → 『何千年、何万年の歳月が造り上げた自然の形に、わたしは息を吞むことしかできなかった。何度もきたふりをしなければならないことを忘れて、驚きの声を上げてしまったような気もする』。

    『日本人の九十八パーセントが行かない国』と紹介される『スロベニア』。はい、私もその『九十八パーセント』に入っていますが、日本人があまり行かないといってもそれは見るところがないわけでは当然ありません。遥を『息を呑むことしかできなかった』という思いにさせた『鍾乳洞』、行ってみたいですね、これは。そして、最後は『パリとイル・ド・フランス七日間の旅』です。

     『パリにはふたつオペラ座がある』、『有名なのはオペラ地区にあるオペラ・ガルニエ』
       → 『ロビーに入り、正面階段を上っていくと目を奪われるような豪奢なシャンデリアがきらめいている。全体的な光量は薄暗いといってもいいほどで、その分、十九世紀くらいにタイムスリップしたような気持ちになる』。
        → 『客席内に入れば、有名なシャガールの天井画と、巨大なシャンデリア。完全にノックアウトである』。
         → 『その美しさにねじ伏せられてしまったことに、悔しさを感じないわけではない… でも、そんなつまらない意地なんて、圧倒的な芸術の中ではなんの力も持たないし、負けてしまったことが心地いい』。

    『パリ』に旅行されたことのある方は多々いらっしゃると思います。かくいう私も訪れたことがありますが、有名な観光地として世界から人が訪れるのはさもありなんという感想を抱きました。上記は『オペラ座』の光景ですが、『その美しさにねじ伏せられてしまったこと』をも感嘆する遥の心持ちが絶妙な表現で描写されています。ああ、『パリ』にも訪れたくなりました。ということで、この作品、非常に危険です。世界各地の魅力がこれでもか!と次から次へと紹介されていく中では海外旅行に行きたい気持ちが抑えられなくなりそうです。この作品、ヤバいです(笑)

    次に世界各地へと参加者を誘う『海外旅行添乗員』の”お仕事小説”としての側面です。上記した通り私自身は『海外旅行添乗員』によるツアーに参加したことはありません。しかし、旅行会社に数多並ぶパンフレットにその旨が記載されたツアーが数多あるのを知っていますし、オプショナルツアーに参加して感覚からどことなくイメージもできはします。しかし、なかなか見えていなかった部分がこの作品からは見えてきます。

     『多少の要望は出せるものの、基本的には添乗員は添乗するツアーは選べない』。

    まあ、『海外旅行添乗員』も一つの仕事と考えれば自分で仕事内容を選べないのは当たり前だとは思いますが改めて思うとなるほどな、と感じます。ただ、だからこそこういう状況が発生する余地があります。

     『ヴァンダー空港がはじめてだとか、アイスランドがはじめてだとかは、絶対に参加者には悟られてはならない。ましてや、ひとりでの添乗がはじめてだなんて』。

    どんなベテランの人にも仕事で『はじめて』という瞬間はあったはずです。手術をする医師にも、裁判を弁護する弁護士だって同じことです。もちろん、あなたの仕事だって同様でしょう。客商売の場合、それがその人の『はじめて』だと知ると一気に不安感が募ります。この気持ちは参加者側から見ればええっ!だと思いますが、仕事をする側からは、同じなんだな、という感を抱くと思います。そして、実際の業務の中で如何にもなアルアルです。

     『「日本人は礼儀正しい」なんて言われることもあるけれど、いきなり人を怒鳴りつけるような人は他の国より多いと思う』

    そうです。昨今どんな大きな問題になっている”カスハラ”対応は『海外旅行添乗員』も無縁ではありません。

     『サービスは提供していても、使用人と主人という関係ではない』。

    まさしくその通りだと思います。このレビューを読んでくださっている方の中にも”カスハラ”で悩みを深めている方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品では『七十代の男性』など声を荒らげ傍若無人に振る舞う参加者にあくまで誠心誠意対応していく遥の姿が描かれていきます。

     『添乗員は「できない」と言ってはいけない。なるべく解決策を見つけるようにしろ』

    そんな上司からの指示の下に、右往左往しながらもあくまで誠心誠意参加者に向き合っていく遥の姿に、思わずそんな遥に強く感情移入もしてしまうこの作品、『海外旅行添乗員』の”お仕事小説”としてもとてもよくできた作品だと思います。

    そんなこの作品は、『彼女と出会ったのは八年前。わたしが高校二年生のとき』と、はじめて家族で旅した台湾旅行で『海外旅行添乗員』だった宮城彰を『彼女みたいになりたい』と『鮮烈に』記憶していた遥の思いが起点となって展開していきます。『彼女みたいになりたい』と、外国語能力を磨き、晴れて『海外旅行添乗員』となった遥は、はじめての添乗先として『アイスランド』へ9名の参加者を引き連れます。不安渦巻く機中で、偶然にも憧れの人であった宮城に再開した遥。しかし、そんな遥の思いとは裏腹に宮城から極めて厳しい言葉を投げかけられます。

     『旅が好きだからこの仕事を選ぶ人は多いけど、そういうのってこの仕事の一面でしかないんですよね。わかります?…』、『何年か後に後悔することにならないといいけど』

    憧れていた人にこんな厳しい言葉を投げかけられた遥の思いはいかほどだったのでしょうか?しかもそれは、はじめてづくしの『アイスランド』ツアーの途上です。この展開が描かれていくのが、冒頭の短編〈1st trip たまごの旅人〉です。そして、この短編内で、この作品の妙な書名の意味が語られます。

     『旅行添乗員をはじめたとき、自分がたまごみたいだって思った』、『まるでたまごの中から世界を見てるみたいだって。しかも失敗ばかりして、ヒビが入って、傷だらけで』、『でもさ、転がってヒビだらけになりながら、世界を見るのはわるくなかったよ』。

    そんな風に遥に声をかける宮城。一見、物語のエンディングの光景を見る思いがしますが、これはあくまで冒頭の短編の一節に過ぎないのがポイントです。そう、この作品はそんな励ましの言葉の先に『スロベニア』、『パリ』…と世界各地を『海外旅行添乗員』としてツアーする遥の成長を見ることにもなります。『好きなことは仕事にしない方がいい』と言われたことの意味を知る遥。しかし、それでも自らが選んだ『海外旅行添乗員』としての人生を生きていく遥。そして、そんな彼女に誘われるように世界を旅する感覚を味わわせてくれる旅番組のような読書の時間を味わわせてくれる物語。そして、そんな物語が見る結末、〈5th trip 沖縄のキツネ〉にはこの作品の執筆時期が影を落とすまさかの光景が描かれていきます。〈1st trip〉から〈4th trip〉がまるで夢だったかのようなその急転直下の物語に驚かない読者はいないでしょう。しかし、そんな〈5th trip〉を読み終えた私の心の中に浮かぶのは、やはり海外旅行先の素晴らしい景色の数々です。ああ、私も海外旅行に行きたい!そんな思いを強く掻き立ててくれる物語、続編の登場を心から強く願う中に本を置きました。

     『思い返せば、子供の頃から、遠くの世界に憧れていた』、『どうしても、旅を仕事にしたかったのだ』。

    そんな思いの先に『海外旅行添乗員』としての日々を送る主人公の遥。この作品には、そんな遥がはじめて添乗した『アイスランド』への旅から始まる『海外旅行添乗員』の”お仕事”の舞台裏を見る物語が描かれていました。行ったことのない世界に行った気分にさせてくれるこの作品。その一方で、『海外旅行添乗員』の大変さを改めて思いもするこの作品。

    旅することの喜びを、未知の世界を知る喜びを強く感じさせてくれた素晴らしい作品でした。

  • アイスランド。ますます魅惑の国になりつつある。
    椎名誠さんの本に登場した治安のいい国、オーロラの国、アイスランド。最近、知り合いもアイスランドを堪能してきたという。

    この話は旅行者のアイスランドではない。添乗員目線のアイスランドだ。
    私自身も旅行が好きなので旅行会社や添乗員には憧れたことがある。でも、行動力、語学力、人とのコミュニケーション力が必要なんだろうなと思うと、添乗員はハードルが高かった。何より旅を楽しめない。
    小説の中の主人公「遙」は添乗員にデビューしたばかり。トラブル対応、好き勝手言うお客様対応などで心が折れそうになる。初めて訪ねる土地でも、ツアー参加者を案内し、健康状態や気分まで気を配る。本当に大変な仕事だ。
    そのうえ、添乗員は契約社員が多く、妊活や育児のために仕事を離れざるを得ないことも知った。
    アイスランド、スロベニア、パリ、西安、北京、そして沖縄へ。あれ?沖縄は日本じゃないか。
    そう、コロナの影響で沖縄へは添乗員として行ったのではない。つらいこともあったはずなのに、添乗員生活が懐かしくなり、戻りたい気持ちが膨らんでいく。
    初めての近藤史恵作品、面白くて、さくさく読めた。でも、、、

    小説にコロナが出てくると、正直目をつぶりたくなってしまう。沖縄編が必要だったんだろうけど。
    私自身は、2回コロナにかかった。仕事にも多大な影響があった。早く抜け出したかった。負の影響は現在も残っている、きっと。

  • 新米の海外旅行添乗員さんのお話。

    思いのほか、お客さんがワガママσ(^_^;)
    ほんとにこんな方々いるのかなあ。大変だぁ。
    まあ、旅行する理由なんて人それぞれだし、個々の事情も違うし、自分というものが出来上がった大人の方もいらっしゃるし、それをまとめるなんて難易度高いよねぇ。新米添乗員遥さん、ちゃんと事態を収められるのか読んでいてハラハラしました。

    そして最後はどうなるのかしら?どこの国に行くのかしら?ベテラン添乗員に?と思っていたら、まさかの最後の章はコロナ禍のお話。
    この頃の添乗員さんは大打撃だっただろうなあ。

    でももしかしたらそれがきっかけで、次の新しい世界が見えた人だっていたかもしれない、と思いたい。

    自分では意識的に作れない、無条件に受け入れなければいけない突然訪れる転機。いいときもあるだろうし、悪いときだってあるだろう。
    それを頑張って丸ごと受け止めて、その後の自分の人生に上手く活かしていくしかないのよねえ...って嵐の去った今だから言えるのかな...(*´-`)

    • へぶたんさん
      Manideさん、こんばんは〜(^^)

      美味しそうなパンの主張が強すぎて笑
      話にパンって出てきてたかなあ?ぐらいです
      たまごも食べるたまご...
      Manideさん、こんばんは〜(^^)

      美味しそうなパンの主張が強すぎて笑
      話にパンって出てきてたかなあ?ぐらいです
      たまごも食べるたまごじゃないのです(^^;)
      2025/12/12
    • Manideさん
      うけますね…

      なにか、意味があるんでしょうね、きっと(笑)
      うけますね…

      なにか、意味があるんでしょうね、きっと(笑)
      2025/12/12
    • へぶたんさん
      クロワッサン好きに、訴えてる?笑
      ちゃんと手に取りましたもん(*´-`)
      クロワッサン好きに、訴えてる?笑
      ちゃんと手に取りましたもん(*´-`)
      2025/12/12
  • 表紙が可愛いくて購入。

    主人公、堀田遥は新人添乗員。海外旅行の添乗員ということで、各国の旅行の楽しい出来事、トラブル、失敗談の話かと思って読み始めたのだけど、少し違った。もちろん綺麗な風景、美味しい食べ物、その土地の文化なども書かれているので、「いいな〜、私も行きたいな〜」と羨ましいかった。

    でも私は旅行の話よりツアーの参加者の気持ちの方が印象に残った。参加者も色々な人がいる。良い人、宜しくない人。その宜しくない人の相手を新人添乗員の遥はよくやっていると思う。心の中では怒ってても、お客さんにいい思い出を作ってほしくて奮闘する。その宜しくないお客さんと話すことにより、その人の背景が見えてきて、寄り添ってあげる。本当に遥は頑張っている。

    私も見習わないといけないなぁと思った。私も同じ様な場面に仕事でよく直面する。毎回帰る時に嫌味を言って帰る人がいる。その他にもよく怒る人など嫌な気分にする人たちがいる。で、この作品を読み考え方を変えてみようかなと思った。その人たちをよく見て、考えて接してみよう。そうすればその人の印象が変わるかも⁇と考えてみたけど、結局長年の嫌な思いの蓄積がそうはさせてくれなかった。そんな私は心が狭いのかな?、てな感じで仕事に対する姿勢を考えさせられる作品でした。

    添乗員さんの仕事は旅行に行けていいな、と軽く考えてだけど、とても大変なお仕事だと分かりました。

  • 旅行に何年も行ってないので、いろんな国に旅行している気分になれました。

    添乗員という仕事が、すごく大変な仕事だという事が分かりました。

  • 旅を巡る添乗員さんの物語。
    私もそう多くはないですが、海外へ行ってますので、いるいるこういう人とか、長期の旅は米が恋しくなるんだよぉ!
    などと思いつつ読んでました。

    旅は楽しいけれども、人様に迷惑をかける行為だけはしたくないですね。
    今年はようやくアイスランドへ行けそうなので、この本を読んだおかけですがしっかり準備していきたいと思います。(また行けなくならないといいなぁ)

  • Audibleで。
    歩きながら聴きながら旅の本。旅してる気分でサイコーでした。各トリップ毎にどんな処か調べるのも楽しかった~
    メジャーでないところもあって、知らない処とかってやけに、ウキウキする。
    と、それよりも新米添乗員さんがクレーマーだったり、曰くありだったりするお客様に奮闘すし、解決に導くところも面白い。
    私自身が職業柄(ちょっとサービス系)だったりするからお客様に寄り添う気持ちや、理不尽極まりないのに笑顔で対応するとか(笑)、わかるなあと。
    最後の章はコロナ禍だったからちょっと旅とはちがったから、これはコロナ禍の人々を別の物語で読みたかったかな。
    さりとて、近藤さんの旅物語は面白い

  • Audibleにて拝聴。

    盛りも飾りもしていない1人の女性の考え方や感情表現がとてもリアル。
    一緒になってイラッとしたりほわっとしたり、落ち込んだり前向きになったりと、楽しく読めました。

  • 新人添乗員が世界各国へ巡る旅行小説。新人らしくトラブルの対処にてんやわんやする。
    でも何かその国に行ってる気分になった。普段旅行なんてしないけど、なんか楽しい。
    ワガママを言う客達、ホントに腹が立つな。金を払っていたら何を言ってもいいのと思ってるのか。

    終わり方がコロナ禍という制限を食らったことで尻切れ蜻蛉な感じで物足らない感じがあった。残念。
    その後の遥とまた疑似旅行に行きたいな。他の国編の続編希望。

  • たまごはもしかするとヒヨコになり、ニワトリになるのだろうか?旅人と添乗員は大きく異なる。私も旅行が好きだが、添乗員になりたいとは一度たりとも思ったことはない。添乗員付きの旅行に行ったことがないからかもしれない。文中にある通り「好きなことを仕事にするな」というのは、その通りだと思う。

    遥はなりたいと思い描いていた添乗員になり、アイスランド、スロベニア、パリ、西安・北京へ、そして沖縄。ツアーの参加者の思いと添乗員としての遥の思いが、旅や仕事を通じて交錯する。近藤史恵さんの旅の描き方は、風景や食事より人に焦点が当たり面白い。

    私も旅すると様々な方と出会い、その旅の思い出を彩ってくれている。気ままにひとりで見知らぬ世界に足を踏み入れる高揚感、そこでの文化に触れることで世界観が変わって来るところが、好奇心を駆立てる。この作品はそれとは別の感情を抱いた点で興味深かった。

  • 『たまごの旅人』近藤史恵著 心の旅は続いていく|【西日本新聞me】(2021/8/21有料会員限定記事)
    https://www.nishinippon.co.jp/item/n/788537/

    Travel Journal Online: 『たまごの旅人』 海外添乗を描いた共感必至の連作短編集 - トラベルジャーナル(2021.09.13)
    https://x.gd/kXLmC

    本を片手に・・・ たまごの旅人   近藤史恵/著(2021/10/11)
    https://ykyoko.blog.shinobi.jp/Entry/2524/

    若女将の読書 | たまごの旅人 | 近藤史恵| 城崎温泉 | 図書室のある宿(2021.11.30)
    https://kinosaki-sensui.com/15440/

    Webジェイ・ノベル|実業之日本社の文芸webマガジン -「J-novel」コージーな物語で“生きづらさ”を描く-(2021年7月14日)
    https://j-nbooks.jp/novel/columnDetail.php?cKey=167

    作家の読書道:第71回 近藤 史恵さん(2007年9月28日)
    https://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi71.html

    たまごの旅人 | 実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-55889-9/
    (単行本)
    https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-53785-6/

  • 新人添乗員が旅行する話で、読みやすく、あっという間に完読。

    行ったことがある国は、自分が旅した時の記憶が蘇ってきて、この国はツアーで行ったなぁ。この国は個人で行ったなぁ。とか、そこ行った行った!なんて思いながら読めて楽しかった。

    ツアーでも個人でも旅行するけど、添乗員のバックグラウンドを考えたことがなく、新人が担当することもあるし、なんなら行ったことがない国にも行かされることを知ってビックリ!
    行ったことがない国に、個人で行くならまだしも、見ず知らずの他人を団体で連れて行くなんて、凄いことだと思った。自分が喋れない言語の国なら尚のこと。

    色んな参加者がいて、参加者同士のことも考えて、気を配ったり、トラブルの対応もしなくちゃいけないし、自由行動の日も気が抜けないしで、かなりハードな仕事。そんな対応までするの?!それとも作り話?!と疑問に思ったところもちらほら。

    私がツアーで海外へ行ったのは、近場の中国だけで、あとの国は個人手配ばかりだけど、旅行会社から送られてくるパンフレットを見ては、旅行中何度もホテルが変わって、一日毎にホテルが変わるプランもザラにあって、常にパッキングパッキングで休まらないし、日数も7日とか長いし、色々制限もあって(例えば、飛行機の座席指定不可とか)、疲れるから無理だろうと、参加したことはなかった。

    客として参加しても、なかなかハードそうなのに、海外旅行添乗員なんて、体力がないと務まらないよ。
    それなのに正社員じゃないなんて、、、


    クロアチアとスロベニアへ行く回は、コロナ前に行ってみたいと思っていた国だったので、読んでて行きたくなり、ツアーを調べてみると、2◯万円というのが出てきた。
    コロナ前は、ツアーで15万円ほどで行けたけど、今は10万ほど値上がりしていて、あの時行けばよかった後悔。

    アイスランドへ行く回は、服装の準備の大切さを知った。私も初夏のイギリスへ行った際、薄手のダウンやマフラーがいるくらいの寒さに驚いて、それ以来、寒さ対策は気をつけてるけど、ガチな場所(笑)へ行く時は、ちゃんとした高性能な物を持っていくのが大事なんだと思った。あと着替えとか。事前学習って大事。

    とても読みやすく、軽い話で、気分転換にもってこいの本


  • 海外旅行の添乗員の主人公のお話。
    海外旅行はしたことはないですが、読んでいるだけでそこに行ったような楽しい気分になれました。
    日本では無い所で様々な出来事に対応していく添乗員さんという仕事の大変さがわかりました。

    世界は広い。
    様々な環境、人種、価値観、選択肢が溢れている。
    そういうものに触れることで、自分の視野がどんどん広がっていくんだろうなと思いました。

    作中で、「私は自分で選んでここにいる」という所が印象に残りました。
    溢れる選択肢の中から、きちんと自分で選んだことに自信と誇りを持って進んでいく強さを感じます。

    実際に世界を見に行くことは私には簡単に出来ませんが、最後の章「沖縄のキツネ」でもあったように、世界と繋がる方法は現地に行く以外もあります。
    私も自分なりに様々な世界、価値観を見て、視野を広げて行きたいなと思いました。

  •  海外旅行って、こんな感じだったよなと、懐かしく感じた。添乗員視点で、不条理なところが散りばめられていた。旅行気分を味わいたかったので、その点は、少し残念。
     軽く読めるし、プチ旅行気分も味わえる点も良いと思った。

  • だいぶ前に友人にお勧めされた一冊。軽やかな読み心地でありつつも、胸に刺さる部分もあり、ずっと本棚にさしておきたいと思った。
    主人公・遥は、新人の旅行添乗員。海外の地でツアー客の安全を守るポジションなのに、派遣社員であるという事実に驚く。物語では一章ごとに現場をかさねていくのだが、ツアー客がなんというか、現代人の坩堝で遥の悩みに心底同情する。困った人にため息をつきつつも、その裏側も知ることで印象が変化することもあり。旅に出て「知らなかった側面を知る」というハッとする場面が、人間模様にも当てはまって、遥と一緒に成長していく気分にさせられるのだ。
    この、「無知を知る」っていうこと、とても大事なのに現実ではなかなか難しい。だからこそ、柔らかく示してくれるこの作品が、胸にしみたんだろうなあ。
    最終章は少し前の現実の大きな壁にぶち当たった遥を描いている。苦しい気持ちを共有しつつも、未来への明るさをはらませて着地する終わり方はとても清々しかった。

    アイスランドにスロベニア……いつか行ってみたいなあ、いつになるかなあ。

  • 海外ツアー旅行の添乗員のお話。
    確かに、全世界取り扱うツアー会社だったら、ベテランでも初めて行く国のこともあるよなぁと…言葉だって通じないところもあるだろうし、毎回ドキドキする仕事だろうなぁと、初めて思いを巡らした。

    コロナでキャンセルしたヨーロッパ旅行。ツアーではなかったけれど、一部のチケットは会社が潰れてしまい返金に一年近くもかかって、関係者はきっととても大変だったろう。
    その後、泊まる予定だったホテルからは素敵なメルマガが届くようになっていて、まさに本書の最終話のように「いつかまた」という思いが込められているのだろうと、この話から思い至る。

    いまや、逆にオーバーツーリズムの方が問題かもしれないから、旅行先を決めるのは迷ってしまいそうだけど、また海外旅行がしたいなぁ。

  • 旅が好きでツアー添乗員の契約社員として働くことになった遥。
    初めてのツアーであるアイスランドの添乗中に、この世界に入るきっかけとなった憧れのツアー添乗員の宮城に遭遇します。そのことを伝えると宮城は、好きなことを仕事にした遥に対して、どこか嘲笑するような言葉をかけます。
    本書は新米添乗員が各観光地で奮闘するお仕事小説です。

    毎回トラブルの処理で心が疲弊していき、「好きなこと」を仕事にすることに痛みや後悔が伴うことを痛感する遥。参加者に楽しんでもらうことを一番に考えていたはずなのに、トラブルに遭遇せず早く終わることしか考えなくなっている自分に嫌気がさすーーそんな遙の心情描写に胸が苦しくなりました。

    確かに好きなことを仕事にすることで、かえってつらくなってしまう場面もあると思います。それでも「好き」という気持ちが活力になってくれると信じたいです。遙がベテラン添乗員を装いつつ、美しい街並みや美味しい料理にに感動しているシーンから、そんな希望を感じます。

    添乗員付きのツアーは割高ですが、外国という不安な土地で効率よく観光地が回れる安心感があります。特に旅行初心者には心強い存在だと改めて感じ。添乗員付きツアーへの興味が高まりました。本書にも登場したスロベニアや、アイスランドなどのちょっとマニアックな土地に旅行に行きたくなりました。

  • 私は海外に行ったことがないので、読みながらとてもワクワクした。好きなことを仕事にするのはとても大変なことだと思う。好きだから仕事にしたのにその仕事のせいで嫌いになってしまうこともある。でも遥は嫌なことがあっても続けていてすごいなと思った。

  • 団体旅行の添乗員さん、本当に苦労が偲ばれます。いろんな人がいるもんね…。でも、きっとその中に喜びややりがいがあるだろう。

  • 印象に残った文は、「好きなことを仕事にするということは、好きなことの中に痛みや後悔が降り積もることなのだ」です。どんな仕事も楽ではないですよね。読み返すとしたら、2章の「ドラゴンの見る夢」です。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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