京都綺談

  • 有楽出版社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408594361

作品紹介・あらすじ

恐ろしくも美しい京都のもう一つの貌…この町には魔が棲んでおりますのや。名手たちが鮮やかに紡ぎだした傑作アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 京都「奇談」ではなく京都「綺談」です。

    赤江瀑「光悦殺し」
    光悦寺が舞台。
    光悦を殺したのはだれか、ではなく、光悦がどうやって現代の人間を殺したのか、という話。
    読めば当たり前の話なのですが、赤江さんはやはり雰囲気が良いです。
    どうせならもっとドロドロした作品を取り上げて欲しかったですが、京都が舞台という縛りがあるから仕方ないですね。

    芥川龍之介「藪の中」
    あまりにも有名過ぎて、この作品の舞台が京都であることを忘れていました。
    山科が舞台。
    改めて読んでみてもやはり面白い。

    岸田るり子「決して忘れられない夜」
    男も男なら、女も女。あまりに可哀想なのは…。
    ホラーというかスプラッタというか。
    最後のオチが現実的かどうかはともかく、強烈なインパクトな作品です。

    柴田よしき「躑躅幻想」
    こういう妖しい作品は、柴田さんでは久しぶりに読みました。
    鴨川が舞台。
    美しすぎる少年との猫探しがこのような展開になるとは…。
    ドキドキさせます。

    澁澤龍彦「女体消滅」
    平安朝を舞台にした怪異譚。
    ちょっと滑稽な…最後は全くタイトル通り。
    まぁ、鬼の言うことは間違いないということか。

    高木彬光「廃屋」
    哲学の道に近い廃屋を舞台にしたある青年の体験談。
    『この世にこわい物はない』と豪語するやくざ者すら逃げ出す廃屋で、青年が見たものは…。
    本当に怖いものは実は美しいものなのかも。

    水上勉「西陣の蝶」
    六孫王神社で起きた殺人事件を発端にした父娘の悲劇。
    初めて聞く作家さんでしたが「飢餓海峡」を書いた方でした。
    これが一番読み応えがあり、最後は切ないですがスッキリもする話。
    昔はこういうことはたくさんあったんでしょうね。

    森鴎外「高瀬舟」
    罪人を乗せて大阪へ回される時に乗るのが高瀬川を行く高瀬舟。
    教科書で習った作品をこのような形で読むとまた一味違った感があります。
    教師から一つ一つ解説されながらではなく、こうやってじっくり読んだ方が良いです。

    新旧、あちこちの様々な京都を巡りながら読む作品もまた一興。
    実際に京都にいながら読むとまた面白いかも知れません。

  • 京都を舞台とした8編から成るアンソロジーで、豪華な新旧の作家を揃えている。いずれも、妖しい雰囲気が魅力的。

    最近は、現代の作家しか読んでいなかったけれど、芥川や森鴎外など大御所の作品を改めて読むと、やはり素晴らしい。流行りものを追うばかりでなく、じっくり読み込む作品に触れることも必要だなと感じた。
    解説を読むと、赤江瀑、柴田よしき、高木琳光の作品もかつて読んでいたはず。中身は記憶になかったけれど。

  • 菅原道真の関連本をまとめて予約した中にこの本が紛れ込んでいたのは何故?と思いきや。澁澤龍彦「女体消滅」が原因だった(ご存知の方だけウケてください)。しかし「ハセオ」がナニみたいだからって…(汗)ないわー。しかし、岸田るり子『決して忘れられない夜』、振られた腹癒せに愛猫を煮込んで食わせるとか、もっとないわー。ま、赤江瀑をン十年振りに読めたので、良しとする。

  • 久しぶりの赤江爆、澁澤龍彦、「藪の中」はやっぱりいいなあと思ったり、名前だけは知っていたのに読んでいなかった「高瀬舟」他お初の作家さんも意外な発見ありでした。
    柴田よしきさんは他も読んでみたい。

    「光悦殺し」赤江瀑
    「藪の中」芥川龍之介
    「決して忘れられない夜」岸田るり子
    「躑躅幻想」柴田よしき
    「女体消滅」渋澤龍彦
    「廃屋」高木彬光
    「西陣の蝶」水上勉
    「高瀬舟」森鷗外

  • 「キャー」と声を上げられるようなわかりやすい怖さではなく、ゾクッと身慄いしてしまうような怖さ。
    「決して忘れられない夜」は後味が悪い…

  • 「光悦殺し」赤江瀑
    「藪の中」芥川龍之介
    「決して忘れられない夜」岸田るり子
    「躑躅幻想」柴田よしき
    「女体消滅」渋澤龍彦
    「廃屋」高木彬光
    「西陣の蝶」水上勉
    「高瀬舟」森鷗外

    硬派な感じ。圧倒的破壊空間「藪の中」。
    柴田さんの短編が気になった。余り読んでないので、これを機に読もうかな。

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著者プロフィール

1933年下関生。日本大学芸術学部中退。70年「ニジンスキーの手」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。74年『オイディプスの刃』で角川小説賞、84年『海峡』『八雲が殺した』で泉鏡花文学賞。2012年没。

「2019年 『オイディプスの刃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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