文化人類学 (ブックガイドシリーズ 基本の30冊)

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  • 人文書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409001073

感想・レビュー・書評

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  • 文化人類学の全体的な状況がとりあえず知りたくて、「文化人類学15の理論」という編著を読んだのだが、1984年の本のせいか、何だかピンとこない。

    というわけで、2011年のこちらを読んでみた。

    こっちは、全体像がかなりわかりやすいし、とてもスリリングで、思わず、一気読みしてしまった。

    220ページくらいの本ではあるが、なんせ文化人類学の名著30冊分の要約と評価と批判なので、相当に濃い内容で、数冊の本を読んだくらいの満足感と心地よい疲労感。

    この本は、「はじめに」を数行読んだ時点で、強烈にアグリーしちゃったからね。

    「人類学は、西洋という場所、近代という時代、その支配的な社会のあり方に、繰り返し異議を申し立ててきた。「「いま」を覆っている考え方や社会制度に対し、非西洋の研究を通して、別の可能な世界の姿があることを提示してきた。いまも多くの人類学者には、この社会変革の夢が共有されている。その夢は「闘争」の歴史でもあった。人種差別や西洋中心主義、啓蒙主義や世俗主義、経済学的・社会生物学的な人間観、国民国家や近代性など、その時代と人々の生き様をひとつの色にそめあげようという支配的な潮流との「闘い」がつづけられてきた。」

    人類学と言えば、レヴィ・ストロースとギアツくらいしか読んでなくて、それぞれ、そこそこ「新しい」と思っていたのだが、レヴィ・ストロースの「野生の思考」は、30冊の本の8冊目。もう古典時代ですね。ギアツの「ヌガラ」は、16冊目で真ん中くらい。

    そういう古典の人類学より最近のものは、ポストモダーンな脱構築な議論とかを経由して、今や、未開社会ではなくて、現代の先進国だったりする。科学技術の研究などが文化人類学の対象になってんだね。

    なるほど、内容はさておき、人類学が今そこにいるということ自体が、もうすごいことだと思う。

    こうして、文化人類学の100数十年の歴史を代表的な本の要約を読むことで、レビューしたわけなのだが、議論がだんだん精緻に(と同時にミクロに)になっていく中で、同じような対立が常に繰り返されているように思えた。

    相対主義 ↔︎ 共通性の理論化
    地域性・個別性 ↔︎ 構造
    個人 ↔︎ 社会規範
    経済 ↔︎ 文化
    観察者の主観 ↔︎ 客観性
    などなど。

    ここで議論されているのは、きっと、今、世の中で起きていることを理解するのにとっても大切な視点を提供してくれると思う。というか、世の中で起きていることがフラクタルにここでも起きている、と思った。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB0722845X

  • 【目次】
    目次 [003-004]
    はじめに [005-007]

    第1部 人類学の確立 
    モーガン『古代社会』 010
    フレイザー『初版 金枝篇』 017
    マリノフスキー『西太平洋の遠洋航海者』 024
    モース『贈与論』 031
    ベネディクト『文化の型』 038
    ミード『サモアの思春期』 045

    第2部 人類学理論の深化 
    ファース『価値と組織化』 054
    レヴィ=ストロース『野生の思考』 061
    ダグラス『汚穢と禁忌』 069
    サーリンズ『石器時代の経済学』 076
    ベイトソン『精神の生態学』 082
    ブルデュ『実践感覚』 089
    ゴドリエ『観念と物質』 092

    第3部 民族誌の名作 
    エヴァンズ=プリチャード『アザンデ人の世界』 104
    リーチ『高地ビルマの政治体系』 111
    ルイス『貧困の文化』 118
    ターンブル『ブリンジ・ヌガク』 126
    ギアツ『ヌガラ』 133
    スミス,ウィスウェル『須恵村の女たち』 140

    第4部 批判と実験の時代 
    クラパンザーノ『精霊と結婚した男』 148
    フェルド『鳥になった少年』 155
    マーカス,フィッシャー『文化批判としての人類学』 162
    クリフォード,マーカス編『文化を書く』 169
    ロサルド『文化と真実』 175

    第5部 新世紀の人類学へ 
    ラトゥール『虚構の近代』 184
    レイヴ,ウェンガー『状況に埋め込まれた学習』 191
    ラビノー『PCRの誕生』 198
    アパデュライ『さまよえる近代』 205
    アサド『世俗の形成』 212
    グレーバー『価値の人類学理論に向けて』 219

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著者プロフィール

松村圭一郎(まつむら・けいいちろう)
1975年、熊本生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。現在、岡山大学大学院社会文化科学研究科/岡山大学文学部准教授を務める。専門は文化人類学。
代表作に、2018年毎日出版文化賞受賞作にして、「キノベス!2018」第6位&「紀伊國屋じんぶん大賞2018」第3位となった『うしろめたさの人類学』。ほかの著書として『所有と分配の人類学』、『文化人類学 ブックガイドシリーズ基本の30冊』がある。

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