- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784409030806
作品紹介・あらすじ
新たなドゥルーズ研究が、ここから始まる。<br><br>ドゥルーズは哲学史家として、スピノザ、カント、ベルクソン、プルーストなどと格闘することで自らの思想を練り上げていった。本書では、それをもう一度哲学史に差し戻す。焦点となるのは、ドゥルーズ哲学前期ともいうべき、『経験論と主体性』(1953年)から『差異と反復』(1968年)までの15年間。その間の著作を、時間軸に沿って綿密に検討し、ドゥルーズ哲学の中心を「能力論」と見定めることで、後期にまで及ぶ思想全体を根底から読み解く。次世代の研究の幕開けを告げる、新鋭による渾身作。<br><br>補論として、『機械状無意識』を詳細に読み解いたフェリックス・ガタリ論(150枚)を付す。
感想・レビュー・書評
-
『差異と反復』を読んで、わからなさすぎて打ちのめされたけど、この本を読んで、再チャレンジすることができました。教条的な解説ではなく、丁寧に分析・説明してくれている本だと思います。ドゥルーズ門外漢の私がこんなにわかった気になれたもの。【2020年9月7日】
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ドゥルーズのヒューム論やカント論、ベルクソン論などを読み解きながら「超越論的経験論」の思想を明らかにするとともに、「習得」という概念が彼の哲学のなかで重要性をもっていることに注目し、その意義について論じている本です。
ドゥルーズの「超越論的経験論」については、カントの問題設定をヒューム哲学のうちに逆照射することで、経験の潜在的な次元を超越論哲学のうちへと引き込んだところに意義があったのではないかと考えますが、本書の議論もそうした解釈に適っているのではないかと感じます。また、ベルクソンの時間論についての議論もたいへん示唆的で、興味深く読みました。
つづいて著者は、『プルーストとシーニュ』や『差異と反復』など、ドゥルーズがみずからの思想を積極的に語った著作をとりあげ、そこでわれわれの経験が新たな現働性へと向かうことになる理路を明らかにしています。また補論では、ガタリのプルースト解釈についての検討がなされています。
正直なところ、本書のガタリ論は難解で、よく理解できなかったところが多々あります。彼の記号論が、広い意味での語用論的な観点からなされていることはわかるのですが、それらがドゥルーズとの共著で展開されているような存在論的な問題設定とどのような関係にあるのかということがつかめず、そのプルースト解釈もどのような観点からなされたものなのか把握しづらいように感じます。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:135.5//Y31