恋する虜―パレスチナへの旅

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  • Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409130179

感想・レビュー・書評

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  • 濃密さ故の毒気に当てられ感想も覚束無いほど憔悴している。魅惑され囚われし者の憔悴だ。否が応でも連日のように目にする現在のガザ地区の悲惨な状況を照らして読む羽目に陥ってしまった皮肉、苦渋の種の一つであった。ジュネのフェダイーンへの眼差しは優しい、優しさの余りに孤独の影が落ちる。表出したイマジネーションは事実であり幻想であり、果ては透明になってしまう。ジュネの眼差しの先にある革命とは?一読で感得できるものでは到底ない。でも私はその正体を知りたい。言葉の連なりの美しさは筆舌に尽くし難く、陶酔の罠に何度も落ちた。

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著者プロフィール

ジャン・ジュネ(Jean Genet)
1910年、パリで生まれる。父は不詳。七ヵ月で母親に
遺棄されモルヴァン地方の指物師の家の養子となる。
小学校卒業後わずか一〇日で職業訓練校の寄宿舎から
逃走。放浪する間の微罪のため一五歳で少年院に収監
される。一八歳で軍隊に入隊、中東、モロッコなどに
配属されたのち、1936年脱走する。訴追を逃れるため
贋の身分証でスペイン、イタリア、ユーゴスラヴィ
ア、チェコスロヴァキア、ポーランド、オーストリ
ア、ドイツ、ベルギーを転々とする。

1937年フランスに戻り、以後七年間に窃盗などの罪で
一二回告訴される。1942年、フレンヌ刑務所在監中に
詩集『死刑囚』を出版、以後矢継ぎ早に『花のノート
ルダム』『薔薇の奇蹟』『葬儀』『泥棒日記』など、
犯罪者の、また同性愛者の立場を公然と引き受けた特
異な小説群を発表、コクトー、サルトルらの賞賛を受
け作家としての名声を獲得する。1949年に最終恩赦を
受けたのち六年間沈黙。

1955年から戯曲『黒んぼたち』『バルコン』『屏風』
を発表し劇作家としてカムバックする。1968年以降は
アメリカ黒人解放闘争、パレスチナ解放闘争、移民運
動などに加担、ときおり特異な政治評論を発表してい
たが、1986年パリで死去。パレスチナ滞在期の追憶を
中心とする長編回想記『恋する虜』が絶筆となった。

「1999年 『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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