嘔吐

  • 人文書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409130193

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読もう読もうと思いながら機会がなかった嘔吐を、この年になって今更初読です。いわゆる筋書きを楽しむタイプの小説ではないので(むしろ哲学書)、感想は?というとなんだか書き難い。実存主義というのもいまいちわかっていないし。

    タイトルの嘔吐(吐き気)を、わかりやすい言葉に置き換えるなら「倦怠感」あるいは「憂鬱」あたりでしょうか。(サルトルは当初タイトルを「メランコリア」にしようとしていたそうですし)

    感覚としてはわからなくはないです。あるとき突然、何もかも空虚に思え、自分の存在が宙ぶらりんに思えてくる、何に対しても興味を持てず無気力になる、現実感が乏しいなど・・・こうして平易な言葉に置き換えると、あんまり有難味がない気はするけど(苦笑)

    小説として表面的な出来事だけをなぞるなら、仕事あるけどやる気が出ない(でもお金には困ってないから仕事しなくても平気)、めっちゃ好きだった女の子と寄り戻したかったのに振られた(でもセフレはいる)、友達いないけど、たいして好きでもない相手と無理して食事とかしても気を使うだけでイヤだよね(案の定喧嘩別れ)、それにしてもなんか毎日つまんないなあ、やる気でないなあ・・・という主人公の孤高気取りの屁理屈は、実はこういうこと考えちゃう自分は特別な存在だもんね、という自尊心も見え隠れしていて、共感はできるけど、面倒くさいやっちゃなあという印象のほうが自分は勝ってしまう(苦笑)

    もっと若いころに読んだほうが素直に感覚で衝撃を受けられたのかも。おばちゃんは実存主義を勉強して出直してきます。

  • 読み始めて最初に湧きあがったのは「人は、氷が溶けるように、突然に変化するんだな。」という気持ち。
    -10度から1度ずつ温度を上げても、氷はまったく変化しない。
    しかし、その温度が0度を超えた瞬間、突然に水に変わる。

    0度を超えるまでは気がつかない。
    ようはその氷は変わらないように見えて、じつは温度を上げるたびに変化の準備をしていた。
    ドラマティックな事件やショックだけが人を変えるのではなく、当たり前のようにあったことが突然に違和感に変わり、それがキッカケで溶け始める。
    つまりは無意識に積み重なったものが0度を超えた瞬間、人が変わる時なんだろうなって・・・。

    哲学者でもあるサルトルが自分の説く実存主義を読みやすく?解説するために書かれた小説とも聞いている。
    友人から「統合失調症とは、こういうものなのかなって思えるんだよ。」と、すすめられたのがキッカケに手に取った本。

    まぁ、僕のような浅学の者には決して簡単に読み進められるものじゃなかった。

    幾分の自己陶酔的な要素も感じるけど、日記形式で書かれたこの本の主人公ロカンタンは、つまりは本の中ではずっと独白を続けることになるけど、独白ってのはだいたいが自己陶酔的になるんじゃないかなって思うので不快感はない。
    しかし、とにかく「けだるい文章」だ。空気が淀んでいくような、まどろみに入ってしまう。

    でも、後半からは次第に彼を取り巻く世界が崩れ始める。つまりは時に文章自体が崩れはじめる部分がある、そこにはなぜか引きつけられた。

    この時期にこの嘔吐を手に取ったのも、なんとなく意味や縁を感じてしまう。

    まぁ、サルトルのいう実存は、そんな「運命」などの否定かもしれないけどね(笑)。

  • 220ページくらいまで星4つ。ああ、これは、と思ったのだけど。

    終盤のアニーと独学者のくだりが残念に思えた。独学者の分かりにくい。なぜ。それと性的描写を入れられると大方の場合、違和感があって、好めない。

    実存について。最後の最後で分からなくなった(と言うのか、アニーのところで落ちたと思って、その後復活したかと思えそうになったら「自然」と描写されるものが出てきてげんなりし、さらに追い討ちで独学者でがっかりして読む気力が無くなったせいか)。
    理解が追いついていないためかと思われるが(あの「自然」の意味するものは何だったのか。描写が呼び起こすビジュアルがそれこそ吐気のするもので考えたくない)、また後年になって読んだら違うのか。

  • 哲学者でも何でもないので、この本を読んでの感想と言うことになる。さすがに一度では理解できなかったので2回呼んだ。
    この著書における実存主義とは、その物・事に対して考えたり定義づけしたりした時点でそれは実在するとは違う、ただそこに「その物がある」と言うこと、それが実在すると言うことだと言うのが主人公の答えだと理解した。
    結果的に小説を書くと言うことで自分を現そうとするのが主人公の自分確認の答えだったわけだが、最後の材木のニオイがするから、明日は雨が降るだろうってのは前述の実存主義の認識からすれば矛盾しているわけで、それにはやはり深い意味を持たせているのだろうか。
    あんまりにも有名で解説者や研究者までいる本らしいけど、さらっと調べても出てこなかったので。

  • サルトルなのにスラスラ読めて気持ちが悪い

  • 15時は何をするのも遅すぎるし、何をするにも早すぎる時間だということだけ完璧に学んだ

  • 通読はできた。しかし、再読が必要。サルトルと向き合えるようになれてうれしい。

  • 哲学書、サルトル、と思って読み始めたけれど、想像を超えて読みやすい。
    翻訳がとても好み。
    柔らかい文章で、さすがモテる男と思わされた。

  • え、めちゃくちゃ好き…………。

  • ただでさえ遅読なので、この本と向き合う時間が取れない。全貌を知りたいのでページをめくるも、それこそ吐き気がする。

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