女哲学者テレーズ

制作 : 関谷 一彦 
  • 人文書院
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409130322

作品紹介・あらすじ

「淫楽と不敬虔を巧みに結び付けている唯一独自な作品」としてサドに影響を与えた本書は、過激な性描写があるとはいえただのポルノ小説ではなく、当時の哲学的思想を反映した宗教、政治への批判的な側面をもつ「リベルタン小説」である。哲学議論を重ねながら、性の秘密を知り官能の頂点へと導かれながら、成長を遂げるヒロイン、テレーズ。性描写と哲学的議論が交互にあらわれ、快楽と理性が共存して描かれた18世紀のベストセラーであり、澁澤龍彦の著作等でも知られる。挿絵21葉および詳細な作品解説を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 少し読んだ後に時間が経過してしまったので、うる覚えの中での記述。

    キリスト教では性も禁欲たれと推奨される。しかし何故神は禁欲を求めるのか?性という生命に共通の存在を、どうして汚らわしいものであるかのように扱うのか。この作品ではそのような問いを掲げ、禁欲的な考え方に真っ向から反対して根の入った一撃を加える。

    神は無駄なものを一切生み出さないのであれば、自然は肯定されるべきであろう。従って、自然を抑圧する行為である禁欲は、神の冒涜である。性もまた神の創造による賜物であって、性とはつまり肯定されなければならないものである。

    あからさまな性描写=告白という形で物語は記述されて展開されていく。

    単なるポルノではなく、痛烈な政治批判でもあり、また宗教的ロジックに汲みしながらもキリスト教に対しては一貫して批判的なのは誰が読んでも明らかである。なおこの小説自体からは分からないことであるが、当時実際にあった事件を大胆に取り込んで物語を展開しており(解説参照)、センセーショナルな性格も帯びている。

    最終的には神は我々が祈ったから何かをするというような、人間の道具ではないために、祈りや何もかもは一切不要であり、我々は「自然」を相手に生きて行くしかない、社会的な調和を乱さない程度に性なりなんなりを楽しめば良いという結論を打ち出す。当時大ヒットしたらしいが、(研究の結果ある程度の検討はつけられているも絶対的には)作者は不明である。

    17世紀の作品なので、「自然」という概念がもてはやされた時期である。しかしホッブズ/ロック/ルソーのような政治思想だけを参照していたのでは分からないような「自然」の扱いがここには描かれており、読んでいて非常に興味深かった。

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