- Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
- / ISBN・EAN: 9784409130353
作品紹介・あらすじ
2013年12月より公開される同名映画の原作本。
厳格さで知られる初老の美術鑑定士と決して姿を見せない謎の女。美術と骨董とオークションの世界に彩られた鮮やかなミステリー。
感想・レビュー・書評
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見る順番が逆だった。
同名の映画のプロット、筋書きのようなもので本だけを読んでもストーリーは分かるが、映画を観てから情景を浮かべながら見た方が楽しめる様な感じがした。話は面白かったので、映画もみます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なにかひとつのものを極めた人というのは
どこか体温を感じさせないのに、
なにかに異様なほど執着しているところを
隠し持っている。
そんな老人の描写を、洋の東西を問わず、
たまに見かける。
彼らはとても歪でとても純粋で、そして脆い。
そんな優しいけれど冷たくて、淡々としたしたお話。
映画をノベライズにしたものらしいが、
映画の中であの狂気をどう描いているのだろう。
探して見てみたくもある。
きっと忘れてしまうけど。
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文学
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映画を観てから読んだ。映画はどんでん返しありのミステリだったので、結末を観てから、もう一度観たいなと思っている。書籍は、70ページあまりの薄い本で、ノベライズとは異なり、映画に加えたプラスαの内容も、無いように思う。映画を観て、伏線の確認をしたいとか、結末のヒントを見つけたいという要望にはあわない。記憶を反芻する助けにはなるかもしれない。
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昨年見た映画の中で非常に印象に残った同作。ニューシネマパラダイスで有名な氏が撮影に向けて書いた物語がここまで読ませるのか。訳者があとがきで、緊張感に満ちた完璧な室内劇で、稀有な職人技と分類しているが、まさに。非常に魅力的な人物描写に、謎を散りばめた求心力のあるストーリー、そして明かされる伏線。ヴァージルの童貞感が大好きです。優れた短編だし、映画と小説、順番はどちらにせよ、両方セットで鑑賞してみてほしい。
彼の集める女性の肖像の顔には際立った共通点があった。つまり、彼女たちの眼差しは光軸の中心を向いており、それゆえどの方向から眺めても目が合うのである。
美術品の真作と贋作を見分ける専門家のヴァージルにはひとつの信念があった。贋作を理解し、ある意味で本物の芸術作品と同じように贋作を愛好する必要がある。贋作者の作品はもう一つの芸術作品なのだ。なぜなら、どんな贋作にも真実が秘められている。なぜなら、他人の作品を写しながら、贋作者はその内に自分自身の何かを投入するという誘惑に抵抗できないからだ。しばしばそれは誰の興味にも引かない無意味な細部、些細な一筆にすぎない。けれどもそこに贋作者は、まさにおのれの真実の表現を、うっかりと漏らしてしまうのだ。 -
美術鑑定士のオールドマンはクレアという女性から自分が引き継いだ屋敷の家具や美術品の鑑定を頼まれる。しかしクレアは一向に姿を現さない。クレアという女性はいったい何者なのか?短いがミステリーとして楽しめる一冊。
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半日で読み終えてしまった。結局はこの鑑定士は騙されてたってこと?
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同名映画を監督が作る前にざっと書いたもので、小説ではないし独立して世に出す気もなかったとか。
しかし、これだけでもかなりの完成度。
私は先に映画を見たので、見ていないとわかりづらい部分もあるのかも知れないけれど、むしろこの本で映画が補完され、なお映画が好きになった。
ところでこの表紙、上手すぎる…すごくいい。