- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784409130384
作品紹介・あらすじ
ヴェトナム戦争末期、プロパガンダを練るエリート青年。18世紀、南部アフリカで植民地の拡大に携わる白人の男。ふたりに取りつく妄想と狂気を、驚くべき力業で描き取る。人間心理に鋭いメスを入れ、数々の傑作を生みだしたノーベル賞作家、J・M・クッツェー。そのすべては、ここからはじまる。
感想・レビュー・書評
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尖ってる!濃い!ひりひりする!しかし全然おもしくない!
例えばレストランにて、あるテーブルにはステーキ、あるテーブルには生肉が置いてあるとして、ほとんどの人間はステーキに殺到するでしょう。しかし野生の動物は生肉を選ぶと思います。もし人間が丸裸で雪山にぽいっと捨てられたら何日生きられるのでしょうか?野生の生き物は言わずもがな。その野生の動物を絶滅に追いやり、溢れかえっている弱い生き物がいますね。私は野生の狼のような「若い頃の」クッツェーに非常に好感が持てます。例え面白くなかろうとも。(デビュー作)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文学
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クッツェーのデビュー作。
ベトナム戦争を巡る前半と18世紀のアフリカを巡る後半、異なる2編が含まれる。暴力、「バーバリアン/下流民族」との対峙、荒涼とした土地で飢え渇きながらものを食らい生き抜こうとするリアリティ、性といったテーマ、複数の「クッツェー」を登場させる語り部の設定…後に続く夷狄、マイケルK、恥辱などを想起させるテーマが詰まっている。
しかし読みづらい。簡潔な文章にたどり着く前の、作家でビューの気負いというべきか。訳者後書きが読書の助けになる。