書店と民主主義: 言論のアリーナのために

著者 : 福嶋聡
  • 人文書院 (2016年6月13日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409241097

作品紹介

「紙の本」の危機は「民主主義」の危機だ

氾濫するヘイト本、ブックフェア中止問題など、いま本を作り、売る者には覚悟が問われている。書店界の名物店長による現場からのレポート、緊急出版。政治的「中立」を装うのは、単なる傍観である。

「縮小する市場とともに低下し続ける数値を元に、それに合わせた仕事をしている限り、出版業界のシュリンク傾向に歯止めをかけることは出来ないだろう。必要なのは信念であり、矜持であり、そして勇気なのである。」(本書より)

書店と民主主義: 言論のアリーナのためにの感想・レビュー・書評

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  • 極度の近視なのでコンタクトレンズは必需品だ。あ、近年は老眼も
    加わっているけれど。両目に1枚ずつ装着しているのだけれど
    (当たり前ですね)、私の両眼にはコンタクトレンズ以外にもうろこが
    たくさんついているみたいだ。

    本書はページを繰るごとにポロポロと目からうろこが落ちるのである。
    私の目は相当に曇ってるようだ。

    著者は大手新刊書店チェーンの店長だ。書店の店長との視点で、
    本と書店というフィールドをテーマにしたエッセイをまとめた作品だ。

    2015年、東京・池袋の書店が「自由と民主主義のための必読書50」と
    銘打ってブックフェアを開催した。これが炎上した。店員のひとりが
    Twitter上で「闘います」と宣言したことが発端だった。

    書店のフェアに目くじら立てることもなかろうにと思った。ただ、そう
    感じた自分もまた、違う種類の出版物に対してある種の嫌悪感を
    持っているのも確かだ。

    それは中国や韓国を批判する内容の出版物であったり、特定の
    宗教団体の出版物であったり、少年犯罪の元犯人による手記で
    あったりだ。

    上記の出版物を平積みにしていた新刊書店には極力立ち寄らない
    ようにしていたし、特定の出版社の作品の不買運動もしている。

    だが、それではいけなかったんだ。書店は時代を映す鏡だと言う。
    言論の闘技場(アリーナ)だと言う。ならば、そこには相反する言論
    が存在していていいのだ。

    自分の嗜好に合わないからといって視界に入れないようにするのは
    排除に他ならない。そう、今まで私がやって来たことだ。言論の自由・
    表現の自由を信奉しながら、私は居心地の悪い言論や表現を排除
    して来ていたのだな。反省しよう。

    中立とは意見を持たないことだと著者は言う。だったら、私は中立で
    なくていい。自分の意見を持ち、加えて異なる意見に耳を傾けること
    をしてかなくてはならない。但し、罵詈雑言は無視するが。

    某新刊書店チェーンが展開している、カフェなどを併設した「生活提案
    型書店」が私は苦手なんだが、これに関しては著者と考え方が近かっ
    たかな。「本のコンシェルジュ」なんて絶対無理だし、わたしゃ「カフェ」
    ではなく、「喫茶店」で本を読むのが好きだし、何より自宅でぐたーっと
    寝そべって読むのが一番いいのだ。

    自分の心と頭の狭さに気付かせてくれた作品だが、今後、これまで
    避けて来た作品を読むかと問われれば自信はない。だって、積んだ
    ままの本が大量にあるのだもの。

  • ここ最近、書店の意思が測られる(試される?)ような出版、出版物が増えてきたように思う。
    その度、書店の現場は考え、迷う。
    時に信念を持って、時に時流にただ流されて出版物を扱い、売場を変化させてきた。
    著者の福嶋氏は違う。常に思索し意思を持った売場を作り続ける。
    そういう生きた本屋が全国にどれだけあるだろう。
    果たして自分の関わる売場はどうだろうか。
    時に唸り、時に励まされ、時に恥ずかしい思いをしながら読んだ。
    刺激的だった。

  • 143ページに、「ぼくら書店員に必要なのは、『物語』を創ることではなく、やって来る『物語』から逃げずにしっかり受け止め、その『物語』を生きることだと思う。」という一文があり、これを読んだ瞬間、先日読んでいた『アートディレクションの型』に商品から逃げないで向き合うこと、みたいなことが書いてあったことを思い出した。

  • 八百屋も金物屋も政治的中立性なんて求められないのに本屋だけ違うのはなぜか。それはある種の幻想が本屋にあるって事だし、本屋はその幻想を売ってるのでもある。まあ、下戸の酒屋は許せても、活字嫌いの本屋はなんとなーく嫌かなって気持ちは僕にもあるので幻想って強い。

  • 本屋さんがこのようにひとつの見解にこだわらない品揃えをしている以上、読書する者も、どうしてこのような見解にいたるのか理解できないという拒絶ではなく、どういう心持ちであればこういうメッセージが出て来るのか、知る姿勢が必要であると思いました。

  • 024.1 / 書籍商-日本 民主主義 /

  • 元気のいい人は うれしくさせてくれる
    元気のいい書店は うれしくさせてくれる
    元気のいい町には 元気のいい人がいる
    元気のいい町には 元気のいい書店がある

    改めて 自分の町の 元気のいい書店に
    今日も行こう と 思った

  •  書店員の覚悟。ヘイト本もシャルリー・エプドの本も、元少年Aの「絶歌」も、遡ればサリン事件のあとのオウム真理教の本も、全部売ってきた著者。「たとえその主張に大いに疑問を感じる本でも書店の書棚から排除すべきでない」。そして、「自分が展示した本が、自分が作った書棚が読者に害悪を与えるリスクを引き受ける覚悟を、書店員は持たなければならない。」その上で、「主体性を持って仕事をするべきである。排除しないのと傍観することとは違うし、中立である必要もない」「現にそこにある事実を覆い隠しても、それがなくなるわけでもなく、見えなくするのは結局良い結果を生まない」という。ヴォルテール「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ことが民主主義の本質であるとすれば、書店もそうでなければならない、言論のアリーナでなければならないと著者は言う。書店員の覚悟である。

  • ブックフェアの中止について、新聞で読んだ記憶があるが、こういうことだったのか・・・。

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