隣人が敵国人になる日 第一次世界大戦と東中欧の諸民族 (レクチャー 第一次世界大戦を考える)
- 人文書院 (2013年9月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
- / ISBN・EAN: 9784409511206
作品紹介・あらすじ
言語や宗教の異なる諸民族が複雑に入り組む東中欧。いまだ国民国家を想像できない民衆の戦争経験とは。さらなる大戦後の帝国崩壊は、民族に何をもたらしたか。東中欧の「未完の戦争」の行方を追う。
感想・レビュー・書評
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最初に、第一次世界大戦時における東部戦線の扱いについて書かれている。「オーストリア=ハンガリーとセルビアの戦闘がどのように展開し、どのように決着したのか、これに答えられる人がどれほどいるだろうか。」たしかに、よくわからない。
そして本書の主たる舞台はガリツィアである。これもよくわからない人が多いと思う。少なくとも私はまったく詳しくない。
ガリツィアは現在のウクライナ南西部にあたる一地域である。本書の舞台となる第一次世界大戦時はオーストリア領だった。この舞台で血に塗れるのは、現在のポーランド人、ウクライナ人、ユダヤ人である。
あとがきに書かれている「日本、日本人、日本語の三点セットの成立に何の疑問も感じず、国家や国籍など意識しないで過ごせる日常は幸福ということだろう。」というか一文は、本書を読み終えたあとだと考えさせられるものがある。国家や国籍、言語さえも、あらかじめ与えれた自明のものではないということ。そして、自明でないがゆえに、血で血を洗うような凄惨な歴史があったということ。
なかなかしんどい話だが、あまりよく知られていない歴史なだけに(そもそもガリツィアを専門とする学者自体が少ないそう)、興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/566633 -
読了。持ち歩きによいサイズでわかりやすかった。(といっても一度読んだだけできちんと頭の中が整理されるほど頭がいいわけじゃないけど。)今は是非手元に置いておきたい本。第一次世界大戦時のガリツィアをポーランド・ウクライナ・ユダヤ人それぞれの側から解説。2013年刊行なのでもっと早く読むべきだった。これを読んでから映画「ヴォウィン」に臨むべきだった。
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第一次大戦自体が馴染みの薄い出来事。ましてや東欧・中欧の歴史などは全く。
こんなにも複雑な状況にあったのかと驚いた。そして、民族だの人種だの国家だのがいかにあやふやなものなのかも再認識。