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Amazon.co.jp ・本 (374ページ) / ISBN・EAN: 9784409520628
作品紹介・あらすじ
「ユーラシア太平洋戦争」の末期、日本では敗戦を見込んで、帝国崩壊後の世界情勢をめぐる様々な分析が行われていた。ソ連の対日参戦が、中国での共産党の勝利が、朝鮮支配をめぐる米ソの対立が予測され、そしてアメリカへの降伏のタイミングが、戦後日本の生存を左右することも知られていた。アメリカ主導の「太平洋戦争史観」を超え、アジアにおける日ソ戦争の焦点化にまで取り組んだ野心作。
感想・レビュー・書評
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いわゆる「戦後史観」について大胆な挑戦を本書は行っている。「戦後史観」はアメリカによって描かれた歴史観といってよいが、それはあくまで敗戦後の話であって、戦前の歴史を見るときに「戦後史観」でもって断定することは避けなければいけない。そのことを強く感じされる本であった。
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日本の指導者は、ソ連が中立条約を一方的に破棄し、日本に攻め込むことを事前に知っていた。
知りつつも、ある思惑から、対米和平の仲介を依頼し続け、満州方面の防衛をがら空きにし、アメリカ軍の上陸に備える本土防衛に専念している体裁を装った。
事実、満州に暮らす100万の同胞は置き去りにされ、裏ではひそかにスターリンと密約を結び、捕虜を労働力として引き渡す合意も結んでいた。
敗北が決定的になってから日本は、どの国に対しどのタイミングで降伏するのが、戦後の復興の可能性を最大化できるかをひそかに検討していた。
こうした敗北の仕方の検討から、アメリカとソ連が東アジアにおいて互いを抑制しあうような勢力均衡を作り出すときが、日本が戦争を終わらせるのに最適なタイミングと考え、ソ連が攻め込んでくる前にアメリカに降伏するのは愚策だと考えた。
そもそも大東亜戦争は、アメリカ勢力を東アジアから駆逐することを目的として始めた戦争で、ソ連参戦前に降伏したのでは、アメリカが日本の植民地全てを獲得し、東アジアに君臨してしまう。
ソ連の対日参戦は、日本の敗北を意味するが、同時に日本に戦争を終わらせる大義を与えるものだと結論づけたのだ。
通説を覆すかなり野心的な推察だが、裏付けとして提示される資料も幅広く収集していて、説得力がある。
彼らの考えた「敗北の仕方」が本当に最善の「賢い降伏の方法」だったのかは議論が分かれるところだが、対日参戦してきたソ連政府の意図をまったく見抜けなかったというこれまでの解釈は、一面的だったことがよくわかる。
しかもこうした情勢分析を、実は大政翼賛下の日本の庶民でも接する機会があり、必ずしも先行きを見通せないわけではなかったという事実も面白い。
そもそも戦前の米国人とロシア人に対する見方が、いまとはまったく真逆だった。
アメリカン・スタイルは縁遠く、山の手で暮らすアメリカ人宣教師と教師からは選民意識まるだしで、近寄りがたい。
一方のロシア人はどこにでも身近にいて、中には「我々は同じアジア人」だと、より親近感を感じていた。
そのため、ソ連抜きにアジアの戦後を考えるのは不可能だという考えも、飛躍ではなく共通の考えだったのだ。
もしソ連参戦前に日本がアメリカに降伏していたら、その後の歴史はどう変わっただろうか?
原爆は落とされることはなかっただろうか、戦後復興はあり得たか、朝鮮戦争は起きたか、そもそも冷戦構造そのものがどう変わったか、アジアの冷戦の起源には、日本の終戦戦略が深く関わっていたというのは、本書のもっとも重要な視座だろう。 -
戦争
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