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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784409520901
作品紹介・あらすじ
戦後の石油危機に民族主義はどう結びついていたのか?
大東亜共栄圏を夢見たアジア主義者にとって石油は何を意味していたのか?
資源ナショナリズムと天皇を中心とした日本民族主義とはいかなるものだったのか?
出光佐三、山下太郎、田中清玄、杉本茂ら「資源派財界人」、保守傍流とされた岸信介、中曽根康弘らの政治家、ブレーンとなった中谷武世の思想と行動を明らかにする。
本書は、戦後日本の「中東」概念を検討し、それが単なる資源保障論に基づく産油国という認識ではなく、戦前のアジア主義が形を変えた資源と密接に結びついた「民族主義」の影響を強くうけていたことを明らかにしたものである。関係者の聞き取りも踏まえ、資源と密接に結びついた「民族系資本」としての石油、資源ナショナリズムについて考察する試み。
◎目次
序章 戦後日本における中東:その定義と概念
第一章:出光佐三とイラン石油
第二章 山下太郎とサウジアラビア・クウェート石油
第三章:田中清玄とアブダビ石油
第四章 杉本茂とアブダビ石油
第五章:中谷武世と中東
補論:通商産業省と石油の自主開発政策
感想・レビュー・書評
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「第三章 田中清玄とアブダビ石油」がとくにおもしろかった。
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戦後日本社会の歴史を考える際、つねに米国とその軍事戦略との関わりばかりが前景化されてしまうことはどうなのだろう、と思っていた。研究者や批評家が政治史・社会史・文化史の問題をつねに米国との関係で考え、米国の図書館や公文書館に資料探しに出かけること自体が、そうした構造を再生産することにつながるのではないか、と思っていた(なので、「冷戦文化」の影響力を大きく見積もる議論には飽き足らないものを感じていた)。本書が重要なのは、上記のようなトレンドとは異なる議論の場を開く可能性を感じさせてくれることにある。
戦後日本の中東政策は、外務省の正式な外交ルート以上に、戦前の大アジア主義の系譜、右翼ナショナリストの系譜に連なる民間のフィクサーたちが重要な役割を果たした、というのが筆者の見立てである。そして、彼らの行動原理の根本を規定したのは、英米系メジャー資本による市場支配への反発と、アジアの自立という観点から産油国の資源ナショナリズムの胎動に協調・賛同する思考に他ならなかった。こうした本書での指摘は、たとえばA・A会議と文学者・文化人との関わりを考える上でも補助線の一つとなるのではないか。アジア・アフリカへの関心は、決して左翼やそのシンパの専売特許ではなかったのだ。
冷戦の中期から後期、1960-70年代のエネルギーをめぐる動向を考えることは、米でもソでもない第三の道がリアルに感じられる世界の下部構造に向かう眼差しを鍛えてくれるように思う。 -
東2法経図・6F開架:568A/L57s//K
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