山の神: 易・五行と日本の原始蛇信仰

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  • 人文書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409540244

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  • 古代の英雄ヤマトタケルノミコトは、山の神によって死に至らしめられた。その場面における山の神の姿は、日本書紀では蛇、古事記では猪である。よって、山の神の神格を持つのは蛇と猪の二者。そして山に棲む数多くの獣のなかで、ひとり猪のみが神とされた理由は、易・五行のなかにみるしかない。…というあたり、どうにも納得いかない。記紀の記述からは、「蛇と猪は山の神とされていた」ことがわかるだけなのに、「蛇と猪のみが山の神とされていた」ことを前提に話を進めているからだ。まずここを立証してくれないと、その後の文章(全体の三分の一くらい)ぜんぶ無駄である。
    他にもつっこみどころは散見される。そもそも、民間レベルでこんな理屈っぽい信仰を持つか、大いに疑問。しかしこの本に対する不信感を決定づけたのは、「人類の祖たちに語り継がれていたに違いない恐竜の記憶」という言葉であった。人類は恐竜と会ってないよ。

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著者プロフィール

吉野 裕子(よしの・ひろこ) 1916年東京に生まれる。1934年女子学習院、1954年津田塾大学、各卒。 1975~87年学習院女子短期大学非常勤講師。 1977年『陰陽五行思想からみた日本の祭』によって東京教育大学から文学博士の学位を授与される。 2008年没。 著書:『扇』(初刊1970年、再刊1984年、人文書院)、『隠された神々』(初刊1975年、再刊1992年、人文書院)、『陰陽五行思想からみた日本の祭』( 初刊1978年 再刊2000年、人文書院)、『五行循環』(人文書院、1992年)『十二支』(人文書院、1994年)、『ダルマの民俗学』(岩波新書、1995年)、『陰陽五行と日本の天皇』(人文書院、1998年) 、『易・五行と源氏の世界』(人文書院、1999年)、『古代日本の女性天皇』(人文書院 2005年)『吉野裕子全集』(全12巻、人文書院、2007~2008)など。

「2021年 『十二支 新版 易・五行と日本の民俗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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