道教の研究家だという著者の独特の主張のようにも思いますが、「南船北馬」という言葉もあるように、かなり心理をついていると思います。北は儒教、南は道教。そして日本は神武天皇など船にのって東征した話があるように、南方の影響が強いという。また道教でも道に帰る老子と道とともに遊ぶ荘子の違い、それは人生に対する消極的、積極的な違いでもあるという。著者は荘子を持ち上げる。また中国・漢の武帝、北魏の太武帝は日本の天皇にとって模範であったという。(例えば天武、聖武など)このように日本における馬と船の交じり合い分析していく著者は徐福、吉野ヶ里遺跡、漢倭奴王の意味など、幅広い知識に基づく壮大な文化論集で興味深い内容です。