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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784413030144
感想・レビュー・書評
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世界から偽善が取り外されていく。
これは、良い話ではない。下心があってもジェントルマンを装い女性をエスコートしてデートが成立するように、あるいは、不快なおじさんとも一応の世間話くらいには対応してあげるように、社会は一定の“偽善的振る舞い“を必要としている。その“偽善の論理“を考えていたのが冷戦直後くらいまで。
本書は、アメリカがフセイン目掛けてイラク侵攻した直後に書かれた本で、同じ石油利権を意識した事案として、今のベネズエラ侵攻のリメイク前の原盤みたいなものだ。役者はパパブッシュをトランプに変更し、フセインをマドゥロに変えてはいるが。
このタイミングでこの本を読みたくなったのだが、小室直樹が今生きていたら、この世界に何をいうだろう。
人間は全知全能ではない。平和を求める倫理観は、全能性に含まれる。全能でないならば、人間はバグのように戦争を繰り返す。これは簡単なQEDであって、交通事故や企業倒産、夫婦喧嘩みたいなものかも知れない。
偽善による正義や結束力に対し、その理屈立てのコストさえ無用化し始めた背景には、ロシアや中国の暴走に対して国連が無力さを露呈したこと、大国同士の決戦が避けられるという成功体験、SNSなどトランプ自身の衆愚ポピュリズム的な求心力があるのだろう。その点で装い方は違うが、やっているのは力の論理を振り翳し、強いものが正義だという主張で変わりはない。
だが、パパ・ブッシュには、国連・多国籍軍・国際法という制度的装いがまだあった。一応の“偽善“だ。こんな無駄な手続きは要らないとやってしまうのがトランプであり、最近のスタンダード。
どうすれば良いだろう。もはや強い国が理屈抜きで好き勝手する世界の到来。小室直樹は、本書で既にそういう事を言っていたわけだが。
ー ミュンヘン会議で相談しあったのは、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア。ヨーロッパ列強であるこの4ヵ国。この4ヵ国だけである。当のチェコスロバキアを含めで、列強以外の国ぐには、完全に、蚊帳の外… 当のチェコスロバキアは、黙って服従しなければならない… 例えば、日本に対する三国干渉。日本は清国にって遼東半島を割譲させた。そこへ、突如として、ドイツ、フランス、ロシアの三国が干渉してきた。
ー 人類の生殺与奪の権は、米ソに握られていたのであった。例えば、かのキューバ危機。あるいは人類全体をも絶滅に導くやもしれない戦争が起るや否やは、ケネディとフルシチョフだけの左右しうるところであった。米ソ以外の国民の少しも与るところにあらず。
弱者に口無し。ちなみに、タイトルが繋がらないなと思って読んでいると、とても不快な種明かし。暴走するアメリカは、日本から軍事費を巻き上げれば良いと思っているので、強国の論理はさらにタチが悪く、日本崩壊!だと。
処方箋はあるだろうか。相互確証破壊?新たな同盟関係でパワーバランスを強国への抑止力にし、欺瞞を暴くポピュリズムを逆利用する事で可能性を見い出すこと?悩ましい。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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