悪の民主主義: 民主主義原論

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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413030854

作品紹介・あらすじ

本書は、「自由」「平等」「人権」「議会」などの歴史から説きおこし、それらが、当初のものとは正反対のものに逆転した経緯を論じて、デモクラシー(民主主義と民主政治)の理解を徹底しようとした。

感想・レビュー・書評

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  • 別著『日本人のための憲法原論』の焼き直し感があるが、こちらの方が古いのか、いずれにせよ、復讐にも役立つのでネガティブな感じはしない。民主主義の本質を学ぶための切り口や挿話を提供してくれる。

    社会学の元祖デュルケムは、人間にとって1番大切なものをソリダリテ(連帯)であることを発見した。その大切な連帯を失った無連帯の状態をアノミーと呼ぶ。父なき社会はアノミーを生む。で、「若衆宿」とは10歳前後から夜は村の集会所のような処に泊まり、年長者から成人になる前のいろいろな事を教わる風習だが、この「若衆宿」が重要であるとの話。

    共同体(ゲマインデ)の特徴は二重規範にある。共同体の中の規範と外の規範と。従い、東條英樹が私的制裁の禁止を厳重にし、報告を求めた際にも誰1人報告するものがいなかった事。

    教育熱の上がらない国民に対し、明治政府は階層構成原理としての学歴を導入し、決定的意味を持つことになった。支配階層としての武士は廃止されたが、元武士がこぞって高等教育機関に入学し、新支配階層を構成することになった。教育熱が上がらない理由としては、資金不足とともに、生活への不必要があった。つまり、雇用条件に「大卒以上」とか暗に偏差値を求める事が、大学教育のヒエラルキーを正当化してしまっている。

    日本は日清日露戦争を上回る10万人以上の戦死者を出しながら、何のために支那事変を戦っているのか、支那事変の戦争目的は何か、誰も不審を感じつつも口に出して質問することはできないニューマ(空気)の中にあった。

    議会政治は元来、民主主義とは縁がない。身分制度が議会政治を生んだのだ。日本は憲法も死んでいて、民主主義も機能していない。小室直樹は、一貫してこの論調である。

  • 憲法原論を読めば良いと思いました。
    あとナチスの経済政策が秀逸だったという説が広まったのは小室先生のせいもあると思う。

  • ちょっと私にはイマイチでした…

  • 小室直樹って頭はすごく良いのかもしれないけど、今一つセンスみたいなものを感じなかったなぁ・・・。テンション高いのにドライという独特な印象もある。でも民主主義ってそんなに日本に根付いていないのか、そういったことを勉強してみたくなった。

  • ――――――――――――――――――――――――――――――
    民主主義とは、実は、過程であって状態ではない。

    丸山真男教授は、「民主主義をめざしての日々の努力のなかにはじめて民主主義は見いだされる」と言った。それであればこそ、欧米民主主義諸国の人びとは、「民主主義とは何か」「自由主義とは何か」という根源的問いかけを、日々、おこたらないのである。18
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    アメリカを手本にした少年法は、当時の社会的要請でできたのに、社会的要請が激変しても変えようとはしない。

    もし、民主主義を本当に理解しているならば、基本的人権以外の権利は、社会的要請に応じて決定すべきもの(変更可能)であることに気付くはずなのである。26
    ――――――――――――――――――――――――――――――
    戦後の日本は、アメリカの指導によって教育改革をして、アメリカ式教育にあらためたといわれている。そう思い込んでいる人が多い。すべての誤解は、ここから発する。戦後日本の教育ほどアメリカ式教育からほど遠い教育はない。55
    ――――――――――――――――――――――――――――――

  • 私は民主制を信じていない上、悪しき制度であると考えている。そもそも「民主主義」という言葉自体が誤訳であろう。デモクラシーに「イズム」は付いていないのだから。住民自治程度の単位であれば民主制で構わないと思う。
    http://sessendo.blogspot.jp/2014/03/blog-post_16.html

  • 1章から4章まで読む。

    民主主義の基本、自由や平等の起源が簡潔にまとめられている。

  • 簡単に言えば「難しい?」ってところですかねぇ~
    自分の記憶が正しければ小室さんのほかの著書でも同じ内容に触れていた部分があったんですがそちらのほうが面白く読めた気がします。
    っま、睡眠導入剤には最適かと(笑
    内容としては日本人が間違った認識をしている民主主義を理論的に説明してくれます。とくに「議会政治」のところは今の政治化には必読かもしれませんね。政治は数のゲームではないことがよくよくわかります。
    個人的には知識不足と忍耐不足で大変でしたが、「これが当たり前」っと思ってる民主主義を再確認してはいかがでしょうか!

  •  小室直樹氏は政治、経済、宗教等、社会科学系分野を幅広く研究されており、本書では少年犯罪や教育問題を切り口に、自由と権利、民主主義へと議論を展開している。
     タイトルは「悪の民主主義」となっているが、小室氏は民主主義を悪と論じているのではない。現代において民主主義は無条件に善なるものとして認識されているが、歴史的には決して自明なことではなかった。本書では民主主義が負の側面を抱えながらも、現代まで発展してきた経緯を詳細に解説している。そして、民主主義とは実現された状態ではなく、目指して試行錯誤するための努力目標であると述べている。
     日本は戦後に民主主義国家に転換したと思われているが、その本質を理解せずに形だけ導入してしまったため実は既に日本の民主主義は崩壊していると指摘する。本書が書かれたのは1997年だが、現実の社会を見るとますます混迷を深めているようだ。「日本人のための憲法原論」と併せて、現代社会を理解するための一助となる。

  • 民主主義ってあいまいな理解しかないから、この本でウロコ落ちた。

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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