僕なら言うぞ!―世紀末ニッポンの正しい眺め方、つきあい方

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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413031547

作品紹介・あらすじ

本書は、「戦後思想家の巨人」と呼ばれた著者が、不況、リストラ、汚職、不倫などの世紀末ニッポンを騒がす諸現象を解き明かし、糾弾すべき対象に物申し、個人がいかにしてこの時代を歩むべきかを自らの経験もふまえて語り下ろした、真実を見極めて生きるための一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • 就寝前に読むのはエッセイ。会社でのくだらないゴタゴタに巻き込まれるとどうも今夜の自分はリングサイドに追い詰められてもう立ち直れそうにないかもな。そんな妙に弱気で静かな夜があって。くだらないことをクダラナイぜと思いつつまだぐずぐずハマっているみたいな。そういう時にこういう重鎮が世の中に向けて年老いてもなおつぶやき続けている言葉をただ素直に聞いているだけでなんだか「そうだよな。。」みたいな気分にさせてくれるの。実は脳内の感心事を一時的にでも他にそらすことがイイわけで。例えば。一時期無差別な殺人が都心で起こったとき世間はこんな内容が話題になりました。「人をなぜ殺してはいけないのか?」その答えとして。(別にボクがこんな夜だからって。誰かを。。みたいなことじゃないですよ。)そういう質問をしてきた人に対して。こう答えるわけです。「じゃあ僕が許すから、殺してみな。」「ホラ。ナイフやるから。」結論。誰も殺せないわけです。良いか悪いかのまえに偶然にしろ必然にしろそこに契機(動機)があるかないかがまず介在するわけです。と。ボクはさらに想像するわけです。「行ってきます。」そういってまた明日会社に向かういつもとなんら変らぬ朝7時15分。すれ違うご近所さんに挨拶しつつゴミ出しをして信号機のあるタバコ屋の角を曲がったあたりで急に目の前に現れたサラリーマン風の男。どこにでもいるようなフツウの。「どうだ。気分は。まあまあ。俺が許すからさ。ほら。殺してみな。俺でもいいぜ。」突然見知らぬ男にナイフを手渡されたボクはある意味ビビるわけです。まったく意味がわからないから。これを正しいとするわけです。だから人を殺してはいけないのです。実感として自分の気持ちとして。何の理由も契機も動機もなく人は人を殺さないわけです。そういうふうにできている。それが答えなんです。そうやってこの間の金曜日の夜はこのエッセイを読んで深い眠りにつきました。ちゃんちゃん。

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著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。

「2018年 『吉本隆明全集 第16巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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