図説 地図とあらすじでわかる!古事記と日本書紀 (青春新書INTELLIGENCE) (青春新書INTELLIGENCE 222)

  • 青春出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413042222

感想・レビュー・書評

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  • 監修の坂本勝(1954年~)氏は、上代文学を専門とする文学研究者。法政大学文学部教授。
    本書は、日本の誕生から天皇の治世を描いた二大古典である『古事記』と『日本書紀』を解説したものである。
    二書はいずれも、8世紀初頭に、天武天皇の命により編纂が開始されたもので、当然ながら重複する箇所や似通った箇所が非常に多いが、一方で以下のように異なった性格を持つものである。
    ◆古事記・・・稗田阿礼が語り伝えた『帝紀』、『旧辞』を太安万侶が編纂。712年成立。全3巻。日本語重視の変体漢文の表記。収録年代は天地開闢~推古天皇期。天皇家の歴史を語ったもので、天皇家の正当性を国内で誇示するために作られたと考えられる。
    ◆日本書紀・・・舎人親王らが編纂。720年成立。全30巻。漢文の表記。収録年代は天地開闢~持統天皇期。海外、特に中国王朝に対して自国の正史を伝えるために作られたと考えられる。
    二書を扱った書籍は少なくないが、本書は、①地図や天皇家の系図、写真などを多数掲載することにより、馴染みの薄い地名や人名(記紀を読むにあたって最大のハードルの一つは、読み難く覚え難い名前が多数出てくることである)の理解を大いに助けていること、②古事記に比べて取り上げられることの少ない『日本書紀』を並行して収録していること、③『古事記』と『日本書紀』を比較する形で、その違いがわかりやすく説明されていること、等の点において類書と大きく異なる。
    我々日本人がどこから来たのか、については、人類学や生物学の進歩により、多くが解明されつつあるし、日本国家がどのような歴史を歩んできたのか、については、歴史学が既に(多くを)明らかにしているが、その間にある、「日本国家」がどのようにして成立したのかは、未だに不明な点が少なくない。そして、それ故にこそ、「国生み」神話については、我々現代人もロマンを感じるのであろう。
    また、いわゆる「神話」は、あらゆる民族が持つ普遍的な文化的現象であり、そこに潜在するモチーフの共通性が人類・民族の移動を解明するヒントにもなっているという。
    そうした興味を掻き立てる「記紀」について理解を深めるために格好の一冊と思う。
    (2020年4月了)

  • 丁寧な解説。でも難しい。

  • 内容がかなり詰め込まれてる印象を受け、少し読みづらかった。人の名前も漢字やカタカナがとてつもない数出てくるため整理しきれない。

    でもそれが古事記と日本書紀なのかな、と感じた。古事記と日本書紀の違いにも言及しており興味が湧いた。

  • わかりやすい。ただ古事記と日本書紀は内容が重複している部分があることをこの本で知った。なので、とある出来事がどちら(あるいは両方)の文献を参考にしているのか自分でしっかり把握する必要があるとおもった。

  • 古事記と日本書紀のあらすじが描かれている。
    古事記と日本書紀での描かれ方の違いも含まれていました。

  • 図書館で借りて読む。
    本屋で立ち読みして、古代の神話の地理関係が呑み込めて面白いかと思って読むが、期待したほど面白くなかった。
    ごく一部、古事記や日本書紀の記述が現在どう捉えられているかという解説が加えられており、光っていたと思う。

  • 古事記と日本書紀の双方の差異を分かりやすく説明したもの。日本人のルーツを辿るのに、欠かせない記紀であり興味は尽きないものであるのは、それは単に伝説上のことでなく、考古学的に発見があるからであろう。日本の国の成り立ちを考えるに、たとえ伝説上でも教育していく必要があるのではなかろうかと考古学のさらなる飛躍と発展とともに期待したいものである。

  • 壮大なる法螺話を味わう。

  • 「古事記」と「日本書紀」の内容を、分かりやすく地図や系図とともに解説してあります。
    大和朝廷(天皇)の始まりの神話あたりから、聖徳太子の時代を経て壬申の乱までが、古事記・日本書紀にどのように書いてあるかが分かります。

    古代史には興味があるけれども古典は苦手な私には とても良かった本でした。
    中学校の歴史では、神話ではなくはっきりと歴史的な裏付けがある事実からしか教えないので、古事記・日本書紀に書かれていることと、中国の歴史書に書かれていることが一致していることを“歴史的事実”ととらえ、教科書に載せているようです。
    例えば中学校の歴史では、第1回の遣隋使は聖徳太子が小野妹子を派遣した607年となっていて、日本書紀にもそう書かれているけれども、中国の歴史書によるとそれより以前に1度来ているらしい。
    でもその時、朝廷側の準備不足で、中国側にほとんど相手にされず、ぶざまに引き返していて、朝廷としては恥ずかしいから記録に残さなかったのではないかということです。
    おもしろい裏話です。
    朝廷内の権力争いは、とにかくすさまじい。
    それから、どこの国・民族の古代史でも、やはり女性の影の力が政治を動かしてきた感じがします。古代人の女性に対する畏怖の表れか、女性器についての記述が多いのも不思議な感じがします。
    面白かったです。

  • 「記紀」というものを知らない日本人は、たぶん殆どいないと思う。
    同時に、「記紀」を読んだことのある日本人も、とても少ないんじゃないかと思う。
    本書は、そんな人たちにぴったりの入門書。

    短くコンパクトにまとめられた各章で、そのエッセンスが分かりやすくまとめられ、提示されている。
    ふんだんに使われたイラストや地図、表などの小道具も充実していて、すらすらと読み進むことが出来る。
    表紙に書いてある、<blockquote>なるほど、そういう話だったのか!</blockquote>という言葉そのままの実感を得ることが出来た。

    とはいえ、この次に「記紀」に挑戦すると、たぶん挫折しちゃうんだろうなあ。
    間を埋めるような本があると良いのだけれど。

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著者プロフィール

写真提供:高氏貴博(大人気ブログ「毎日パンダ」)

「2019年 『ありがとうシャンシャン ポストカードブック【スマイルセレクション】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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