老いの幸福論 (青春新書インテリジェンス)

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  • 青春出版社
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413043137

作品紹介・あらすじ

僕が自分で考えて、こういうふうにやってごまかしておこうか、まあこれでいいことにするか、というふうにできるだけ心がけていることがひとつだけあります。それは、つらいとか苦しいとか、あるいは逆に今日は調子がいいとか、いいことがあったとかいう、禍福といいましょうか、幸・不幸といいましょうか、それを長い周期で考えないようにすることです。-超・老齢期のただ中にある著者が、「老い」や「死」、「家族」や「教育」の問題について縦横に語り尽くした、初の幸福論。

感想・レビュー・書評

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  • 「第1章こきざみの幸福に気づく」が総論

    第2章から第6章までが各論

    「第7章死を迎える心の準備なんてない」でやっと隆明らしい哲学的な論に会える。

    「あとがき」が一番良い。関心のある方は、立ち読みで「あとがき」だけ読み、さらに興味をもてたら購入もよい。

  • いい本だけど、僕が読む本じゃない。

  • まさに自分の年代の生き方、感じ方を論じたものだけに、身につまされるというか、納得できる内容である。特に、幸不幸を考える場合、時間を細分化して考えるという主張には、納得できる。団塊の世代必読。

  • 老いる中での幸せとは?

    →年をとったら、短い周期でものごとを考える
    ただし、抽象的または論理的に死を考える必要はある

  • 老いの自覚、生命の限界の心理。

  • 【再録~以前にmixiに書いたものです】
    特に第7章「死を迎える心の準備なんてない~死を語ることの無駄について~」が印象的でした。

    死は自分のものではなく、他人のものなので自分がどうこう言うべきではないと。
    死についてはいろいろ考えることはあるが、突然事故や病気で死ぬこともある。
    故に、自分でコントロール不可能な事柄で、それについて考えるのは無駄である。

    80歳を超えて、身近なリアルな問題として考え抜いた著者の思いが伝わってきました。

    確かに生死は自分では扱えないです。生まれることはもちろんですし、
    死ぬ時も死にたくないと思っていてもいつかは死んでしまいます。
    人生を直線で考えてしまうと、最初と最後は人間がコントロールできない地点。
    但し自殺は別ですね。

    しかし、自分の命について考える、特に最後をコントロールできるとどこかにあって、
    そこに傲慢さが生じるのではないでしょうか。

    一生懸命死について考えて深めていく。
    当然に死には恐怖が付きまとうわけで、「死」への深い思慮がそれを和らげる効果を得るように思われます。

    でも、死を自らコントロールはできない。自分のものではなく他人のものと著者は言い切ります。

    そうすると、ある程度は考えてしまうことは仕方ないにしても、
    コントロールできる日々の「生活=娑婆の世界」を精一杯充実させることだけが
    人間にできることだという平明な結論に至ります。
    一生懸命仕事をして、温かい家庭を気づいて、両親、子ども、友達を大事にして…
    という人類が誕生してから営々と続けてきた当たり前のことを全うすること以外にないのかと思います。

    人の生死を人間はコントロールできないという当り前の事実から、
    自殺や殺人、戦争は否定されるはずです。
    取扱い不可なものを侵してしまう愚から、人類はまだ卒業できていません。

    原発も突き詰めればそうなのかもしれません。
    人類が扱い不可なものだった?もしくはそれに近いものを扱っていたのかもしれません。
    先日読んだ「大津波と原発」( 内田樹、中沢新一、平川克美 (著) 朝日新聞出版)につながる話と思いました。

  • さすが、吉本隆明。
    糸井さんとの対談以来、2冊目。
    話し言葉での記述になっているので、大変読みやすかった。
    人生を刻む、かあ。

  • この本は復刻?以前に読んでいたが、その時の印象は、「あの共同幻想論のカリスマ論客も歳とるんだな」でした。
    しかし今は実感を持って読み進む。
    人間は肉体を持っていること、老いの進化の中では「「こきざみの幸福に気づく」という心構えが大事ということ。

    そうだよな。もう散歩道の小さな花も、明日は会えないかもしれない。今ここしかないんだよ。やっぱり親鸞に少しだけでも近づき、ほんの少し分かってきて、それが人間の歳とるという「意味」なのかしら。

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著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。

「2018年 『吉本隆明全集 第16巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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