面白いほどスッキリわかる!「ローマ史」集中講義 (青春新書インテリジェンス)
- 青春出版社 (2011年8月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784413043267
感想・レビュー・書評
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駆け足で辿りながらも、要点にはページを割いて説明してくれるローマ帝国の歴史本です。なぜローマ帝国は繁栄したのか、なぜ領土を拡大し続けたのか、ローマ人とはどういう考えや感覚を共有する人たちだったか、などが要点です。どういう戦争をして、どう領土を得ていったかだとか、皇帝がどう変わっていったかというところが駆け足。
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分かりやすくまとまっているけれど、日本史との比較は正直蛇足だと思う。著者が時代劇好きなんだろうか…と思ったり。
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おもしろかった
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ローマの通史を扱った新書。「特にローマの誕生から成長、そして安定までに重点」(p.8)が置かれており、最盛期から崩壊まではさらっと書かれている。プロローグやあとがきにも書かれているが、ローマがいかに現代の世界とは違うか、という差異が強調されている。その差異を見つめることで現代を考える、という姿勢が基底にある。
「面白いほどスッキリわかる!」とタイトルの前に書かれているが、正直言って第3講~第4講のピュロスの戦いとか、ポエニ戦争、マケドニア戦争といった、要するに領土を拡大していくあたりの記述は、よく分からなかった。全体像を示してから、主だったものの中身を取り上げる形式など、もっと分かりやすく提示する方法もあるのではないかとも思うが、意外と教科書的な感じで、人物もワンサカ出てくるし、一度読んでも整理できない。通史と言ってもある程度の内容を記述するには、どうしてもこうなってしまう、という限界なのかもしれないけれども。
ただ、第5講以降はとても面白い。なぜローマは「帝国」となったのかという分析、カエサルから三頭政治、ネロ、五賢帝あたりまでの流れ、「ローマ人」、「ローマ化」といった概念について、などは、分かりやすい。特に第8項の、「小さな政府」で安定した支配が可能であった理由は、地方と中央にウィン・ウィンの関係があったから、というのもすぐ納得できる。さらに、ローマの歴史の記述が、欧米列強と植民地の関係という「帝国主義」の影響を受けたが、現在では「他文化主義」的な視点で捉えられる、つまり「ローマ化」とは、従属民が「一方的にローマ文化に同化したわけではなく、彼らが自らの規準で取捨選択し」(p.219)たことによって行われたと解釈される、といったあたりが、世界史を勉強する面白さを味わえる部分なのではないかと思った。(11/09/02)