絆ストレス 「つながりたい」という病 (青春新書INTELLIGENCE)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413043762

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災以降、「絆」という言葉が注目されてきた。「絆」=良いもの、尊いもの、必要なもの、正義というイメージが大きい。震災後は特に「絆がない」ことに焦って、婚活を始めたり昔の人間関係を復活させたりする人が増えた。しかし、「絆が強すぎる、窮屈すぎる」ことで心を病む人もいる。
    私自身は、強要される「絆」に苦しめられた経験があるけれど、だからと言ってゼロで良いとも思わない。例えば「趣味の話が出来る人」、「一緒に出かけられる人」、「ご飯友だち」みたいな繋がりは必要だと思っている。これらの関係に「絆」という名前を付けるから深刻になるのでは?と思った。

  • 東日本大震災の翌年に出版された本だが、今にも通じるものがある。最終章で著者が書かれているとおり、雁字搦めの絆、苦しい絆にとらわれずゆるやかな絆、複数種類の絆(コミュニティ)を持つのが生きやすくなるために必要だと感じた。
    本書では精神科を訪れる色々な人が描かれていて、それぞれ『イロメガネ』をかけているんだけど、イロメガネって人には理解されづらいし自分でもかけてること気づかないから厄介なんたよな〜

  • 震災後の絆を取り戻すという世の流れに、それがストレスになるようであれば考え直した方がいい、という内容。

    私は家族とも会社の人たちとも友達とも絆は薄く浅い。深い絆はストレスにしかならないから。深いと思っているのはこっちだけで、相手はもっと深い絆を持っている人がいて嫉妬心にかられる、なんてことにもなりかねない。

    自分から絆を求めても仕方ない。流れの中で、何かしらのそういうものが自然とゆるい形でできてきたのなら、それは少しは気にかけて生きればいいかなくらいがちょうどいい。

    自分は孤独死してもいいと思っているので、親の面倒を見ようなんてこれっぽっちも思わない。親は親で自由に好き勝手生きているんだから、死ぬまでそうして生きればいいと思う。一緒に住んだら害にしかならない。浅くゆるく、自分にはそれで十分だと思う。

  • 心理

  • exchange

  • 思ったよりよかった。

  • ちょうどいい絆がいいんだろうなぁと
    家族間のストレスも含め深く納得。

    いきなりヨシタツが出てくるあたり、かなりのプロレス好きな著者なんだなぁ。

  • 【最終レビュー】

    図書館貸出・10冊枠からの一冊。

    『絆』というこの言葉に『隠されていた』

    〈光と影〉

    特に、普段はあまりに目にはつかない

    [重なり合うかのような「影の苦しみの数々」にもがく生々しい患者さん達の「実際の姿」]を通して

    『確かに頷けることばかり』

    という

    『確信』という名の『納得の連続』の『手応え』

    しっかりと噛み締めつつ実感するかのような

    〈雰囲気そのもの〉

    これに尽きました。

    3.11の時、確かに自分も書いてあった状態に一時、陥っていました。こういう状態だったんだなと…

    [香山さん流・ネットのマイルール]

    私も、こういった感覚を持ちながら、今後も利用していこうと、改めて自分の中で感じ入りました。

    [SNSの幻想・呪縛・誤解・錯覚=本当の意味とは…]

    →特に、ズバリドンピシャ!懐にズッシリと突きつけてるかのようで、圧巻でした。

    [ありそうでなさそうな]

    →これも上記と同様の印象そのもの。

    [誰からも好かれようとすることの『多大なデメリット』]

    [限られた同士での絆の『果てにあるもの』]

    [思い込みの『恐ろしさ』]

    [ゆるやか・ささやか・薄く・細い・ほどよい(融通の利く)『絆』へ]

    [決めつけず、強すぎず、思い詰めない]

    申し分ないぐらい、自分が思ってることを存分に、香山さんが代わりに話してるかのようでした。

    SNSに一切関わらず、本当に自分は良かった。

    香山さんに

    〈念には念を、自分の背中を後ろから押してもらえた〉著書でした。

    一番、私が感銘を受けた箇所を記載し終わることにします。

    《24時間・365日、そんなに『強い絆』を『必要としている』のだろうか?》

  • 絆がもたらすデメリットが満載。絆という響きの美しさに騙されていた自分に気がついた。

  • 積読だった本掘り返し

  • 1/130926

  • 字も大きくて薄いので、すぐに読めます。
    大震災を経て、「絆が大事」って世間はいうけど、絆によって苦しい思いをしているひともいるよ、だからほどほどの絆、都合のよい絆をつくっていこうっていう本。
    香山さんが言うことって、けっこう的を得てるねんなあ。
    男女についての考察、親からの受け止められ方や他人との関係の取り方については、若干納得できへんかったけど。

  • チェック項目7箇所。大震災後は「絆」といえばそれだけで、「すばらしい」「美しい」「かけがえがない」とプラスのイメージしか連想できなくなっているが、実際には多くの人がそれまでは「絆より個人」「つながりより私らしさ」を大切に生きてきたことを、忘れてはならないはずだ。モノを提供する側も、消費者の個々の欲求、要求に応えるため、さまざまなこだわりや付加価値をいかに提供できるかという部分で勝負しようとしている。「私だけのこだわり」は、「絆」とはなかなか両立しない、「絆」を重んじるためには、ある程度の画一性が必要だからだ、たとえば、学園祭での「絆」を大切にするためには、みんなでおそろいのTシャツやはっぴを作り、それを着なければならない。「戦後も『絆』で乗り越え、復興を遂げたのだから、今回もがんばろう」と熱く語る人を見たこともある、しかし、戦後と現在では何より人々の状況はまったく違う、戦時中の貧しい生活の中で焼け野原になった状況と、豊かな生活からいきなり選択肢を奪われた状況を同一視することはできない。非常時には、人間はいつもとは違った心理状態になる、今回の大震災はあまりの規模だったので、表面上は復興に向かいつつある半年後、1年後も実際には「非常時」が続いている、と考えるべきだろう。あこがれの人とすぐつながれて、絆が結べたような気持ちになれるのはとても楽しい、でもそれってやっぱり幻想、錯覚かも、自分にそう言い聞かせておかないと、いつか思わぬ傷を負うかもしれない、やっぱり「SNSの絆」には要注意、と言いたい私である。「孤独死だけは避けたい」と思うあまり、何十年も息苦しい絆に縛られ、自分を抑えて他人に気をつかって暮らすよりは、「いよいよになったらこういうサービスを利用しよう」と元気なうちにある程度、準備さえしておいて、あとはひとりで、ときには友だちにも会いながら、気楽に暮らすというほうがずっと自分らしいかもしれない。

  • 大震災以降、急速に失いつつあった絆の大切さが改めて見直された日本社会。ただ、その絆によるつながりに、すでに綻びが見られるという。

    香山さんの考え方は自分と近いと思うので、自分の考えを、こういう考え方もやっぱりいいんだよなと確認させてもらっているようで安心感を得られる。が、その反面新たな発見や考え方はあまり得られないので刺激はない。いつも思うのは、香山さんの本はタイムリーな話題で読みやすいのが魅力。

  • 震災後の「絆語り」にやれやれと思っていた私としては、やっぱりそうきたかという内容。珍しく香山氏の主張にほぼ同意。個人的には、「絆」ということばよりも、不確実性も含めた「縁」ということばのほうに、より大きなリアリティと弾力性を感じる。

  • 割りとあり来たりの内容でしたが…、母娘のストレスについては、これを読んでちょっと気がラクになったかな(笑)

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著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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