ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか (青春新書インテリジェンス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413045629

作品紹介・あらすじ

ドイツ人の平均可処分所得(手取り)は年290万円と意外に低い。しかも、消費税(付加価値税)は19%と高い。にもかかわらず、多くのドイツ人が「生活に満足している」のはなぜか? いっぽう、サービスが行き届いた世界一便利な国・日本で、日本人の多くが生活に「ゆとり」を感じられないのはなぜか? ドイツ在住29年のジャーナリストが肌で感じた「ドイツ流・お金に振り回されない」生き方を明らかにした一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の住んでいるドイツの生活を紹介してくださっています。
    ドイツの人々は本当に倹約家。
    夕食は火をあまり使わず、基本チーズとハム、パンだけ。
    スーツは基本1着づつしか着ず、パンも20枚72円のアルディのものが多い。
    レストランはあまり行かず、自宅で食べる人が多い。
    贈り物の習慣もクリスマスと誕生日だけ。日本の贈り物の無限連鎖はないそうです。
    休日はお金をかけず公園で過ごす。太陽の光を浴びるのが好き。週末は友人とブランチ。そして公園で散策する人が多い。
    お金を使わずにすむ娯楽が中心。
    家はものが少なく整然。
    貯金を全くしないひとが27%もいる。ただ人生で最も重要なものはお金じゃなく、自由になる時間と考える人が多い。
    レストランや商店のサービスは悪いことが多い。客に対する店員数にも問題が。自己責任という価値観なので交通整理も駐車場の誘導係もいない。顧客中心主義がない。
    閉店法があって日祝は営業できず平日も午後6時までしか営業できなかった。
    2003 改正され8時まで延長されて仕事帰りに買い物できるようになった。郵便サービスではパスポートでも引き取りができない時も。職員によって対応が違う。不在通知すら入れずに通知をもらえず日本に郵便物を送り返された人もいたらしい。
    ホテルのアメニティもとても少ないが、とても清潔だそうです。
    忙しい、時間がないことで生じる心の隙間を消費で埋めるような人は少ないと言える。
    お金の奴隷にならないための前提は、自由時間を増やし、心にゆとりを持つこと。

    ドイツを理解するキーワード 
    対費用効果をつねに意識するけど、お金のためではないようです。自由時間をつくるため。
    労働で自己実現する人は少なく健康を犠牲にしないスタイル。そして有給消化率は脅威の100%。消化しなければ罰則規定があるから。
    ドイツの企業は休暇を中心にまわっている。日本は354時間多く働いているのにGDPはドイツより少ない。

    サイクリング天国で、キャンピングカーも人気。
    カーシェアリングも。
    ドイツの人は静かさを大切にしていて、商店街の音楽や駅の音楽、選挙カーもチャイムもない。

    ドイツの暮らしを少し感じることができました。
    サービスの質の高いことはとても嬉しいことだけど、そのせいで時間や制約に苦しむ人が増えるのは悲しいです。大変だ。ドイツにもすごく行ってみたくなりました。お金貯めなくちゃ。

  • ドイツ人がどうのではなく、自分がどうなりたいか、どうしたいか日々考えていれば、無理なく生活できると思う。自分は30を超えたあたりからようやく、習慣として考えられるようになってきたように思う。日本の縛られた家庭教育、学校教育に毒されていたのだろう。子供の自由な発想を阻害してはならない。

  • ドイツ人の思想と、自分の思想が似ててすごい共感できた。

  • この手の本は大好物。ドイツ人の休日の過ごし方が自分は好き。公園で日差しを浴びながら散歩、読書、サイクリング最後にビール季節ごとに楽しみたい。日本の休日消費サイクルに恐怖。断捨離後にこの思考から抜け出せたのは大きいかも。

  • 知っているようで知らない、ドイツ人の生活や価値観を知ることができる本。日本での生活に疑問や生きにくさを感じる時には、他の文化に触れることがいいように思います。

    そんな本の中から個人的にドイツの「いいな!」と思うところと、「ちょっときつい!」と思うところを紹介します。

    【⠀ドイツのいいところ⠀】

    ①何より大切なのは「静かな生活」

    静かな環境や自然を堪能することは、ドイツ人がお金以上に大切にしているものの一つだそうです。自分自身も大きな音や情報量の多いショッピングセンターは苦手なのでかなり共感。旅行なんかも一か所に留まってのんびりすることを好むようで、「ドイツ人は休暇に何を求めるか」に対して「太陽の光と自然」が1位だったのは面白かったです。でもなんかわかる。好きな価値観です。

    ②「新しい通貨は自由時間」

    ドイツ人は給料が増えるより、休暇が増えることを望む人が多いようです。これは日本人でも最近は多いのではないでしょうか。週休3日とかニュースでもよく聞くようになりましたしね。

    ③2~3週間のまとまった休暇が当たり前。

    年間30日の有給をまとめて取ることが多いらしいです。働き方改革で有給をとりやすくはなってきましたが、まとめてはまだ気が引けるのでこれはうらやましい。

    【ドイツのちょっとキツイところ】

    ①顧客サービスが悪い。

    どんなに客が並んでいても急がないとか、ネット回線がつながらなくなったときになかなか対応してくれないとか、宅配を時間通りに運んでくれなかったりとか、日本式のサービスに慣れている身としてはキツそうです。まあ、このサービスがない分、働いている人も気が楽だということですが、店員に怒られることもあるとか言われると、気が弱い人間には生きにくそうな気はします。

    ②クリスマスプレゼントすらやめる?質素な暮らし。

    質素な暮らしそのものはいいのですが、なんでもかんでも質素というのは考え物で、あまり高いものではなくてもプレゼントぐらいはあげたいと個人的には思います。自分自身だけなら質素でもいいのですけどね。クリスマスぐらいは子供の喜ぶ顔がみたいし、そこは大切にしたいものです。

    【まとめ】

    全体的にはけっこうドイツは好きになりました。観光としてはスペインとかイタリアの方が行ってみたいと考えていましたが、生活するならドイツは良いのかもしれません。それこそ1か月とか長期で住んでみたい感じもします。

    サービスについてはやはり日本はありがたいです。でもすこしドイツを見習って、ゆるめられるとことはゆるめられるといいかもしれません。個人的には多少サービスがゆるい食べ物屋さんとか、嫌いじゃないです。

    そういえば近所のお店で、「カスハラ(カスタマーハラスメント:客の立場を利用して理不尽なことを言ったりすること)」への注意がありました。日本のサービスは良くても、自分が客だというだけで勘違いしてしまわないように、気を付けたいものです。

  • ドイツに長いこと在住してる著者の本なので信ぴょう性があった。
    ドイツ人のように、心にゆとりを、持ちたい。
    そうするにはまず日本は社会保障を変えなければ…
    老後の年金も無いから投資して勝手に貯めろよ、というような国なので心にゆとりなんて持てない。
    セコセコ働いても給与が上がらないし。
    ゆとりが各々持てるようになったら、エコや環境保護とか取り組めるのかも。

    不便をちょっとだけ我慢する社会、って良いね。
    わたしもだけど、お店などのサービスに依存しまくってるところがあるから期待しないと少し楽になる。
    無愛想にされても、あっそ、で流せるかも。

    日本、色々やばいって改めて思った。
    いろんなグラフを見て。。。

  • ただのドイツと日本の比較にとどまらず、これからの日本人に向けての提言が最終章にあり、とても頷ける内容。店側は過剰なサービスをやめること、客側は店側に求めすぎない、自分でできることは自分でやる。間違った「お客さは神様」の使い方を早く忘却の彼方に追いやって、働く側の立場に立って考えるようにして、少しの不便くらいは我慢する。ピンチをチャンスに。今ここから日本が変わっていくのにちょうどいいタイミングなのではないか。

  • 服にお金をかけない。無頓着
    平日の夕食はパンとスープ
    余暇はサイクリングや散歩、公園で読書
    できるだけ自分のことは自分でやり過剰なサービスを求め
     ない。
    過剰なサービスをなくすことで人件費の軽減→割安となる

  • ドイツはDIYカルチャーが根付いてて、日本人のように自尊心の満足を他者ではなく自己に求めるから自己肯定感が高いのだと感じた。確かに日本のサービスはお客さまファーストすぎて提供者側も過剰の期待と負担を強いられてると感じた。

  • 前に読んだ同じ著者の本「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」とかなり被るところがある。
    この本の方が仕事以外の生活面にも少し踏み込んでるのかな?
    私も前世ドイツ人かしらと思うところがあるので、共感する。私もお金は少しでもいい、お金で買えない豊かさを追求したいと思っているので。
    そして、まずは与えられたものを100%行使しようと、年休100%消化、ノー残業に勤しんでます。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材。90年からはフリージャーナリストとしてドイツ・ミュンヘン市に在住。過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。
著書に『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』『ドイツ人はなぜ、年「290万円」でも生活が豊かなのか』(ともに小社刊)、『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか』(SB新書)、『パンデミックが露わにした「国のかたち」』(NHK出版新書)など多数。『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』(高文研)で2007年度平和・協同ジャーナリズム奨励賞受賞。

「2023年 『ドイツ人はなぜ、年収アップと環境対策を両立できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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