心が雨漏りする日には (青春文庫)

著者 :
  • 青春出版社
3.56
  • (46)
  • (59)
  • (129)
  • (8)
  • (3)
本棚登録 : 687
感想 : 73
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413093187

作品紹介・あらすじ

くたばれ、うつ病!奇才・中島らもが綴った波乱万丈・奇想天外の躁うつ人生。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • わたしも「死のう、でも、来年になったら死のう」と思って生きています。

  • 笑ったし 勉強になったし 泣けた 

  • 自身の躁うつ病の体験を客観的にユニークに描いている一冊です。生きることの難しさと楽しさの両方が綴ってあります。「人間はもともと球体をした生き物で、それが半分に断ち割られて今の姿になった。だから自分に欠けている片方を探して回るのだ」(P143)。←プラトンの言葉だそうですが、結婚式でスピーチを頼まれると引用していたそうです。人間の本質を突いた言葉ですね。

  • 2017年55冊目。

    作家の中島らもさんが綴る躁鬱病・アルコール依存症との戦い(共存)の記録。
    筆調が深刻ではなくユーモア混じりなので、気を楽にして読める。
    自分でもスピードに追いつけないほど次々とアイデアやイメージが湧き出てくる時もある、というエピソードにもあるように、(行き過ぎるほどの)元気やクリエイティビティがある時もあるのが「都合のいい病気」と思われてしまう躁うつ病の難しいところだと思った。
    (そもそもうつ状態の時は人とのコミュニケーションも減るだろうから、人から見られる側面はハイな時ばかりになりがちなのでは、とも。)

    ハッとさせられたのは、

    「ハンドルの「遊び」の部分を動かしても車のコントロールには影響が出ない。もしも「遊び」がなかったら、少し力が入っただけで車は右に左に大きく進路を変えてしまう。ものごとにはゆとりが不可欠なのだ。」

    という箇所。
    過剰な敏感性の危険。

    もう一箇所。

    「精神科の治療には、症状を消すというだけではなくて、ズラすという発想も必要です。ちょっとズラしてやると、社会でうまくやっていけるような状態になるんだということですよね。」

    「ズラす」というのは、「個性として生かしつつ」というニュアンスもあり、「消す」よりもいい表現だなと思った。

  • すっごく生きてたんだなあ。
    そしてちょっぴりせつないような。

    躁鬱のお話、仕事のお話、アル中のお話。
    決して暗くならず、逆に楽しむくらいに
    生き生きと生きたらもさんが満載だった。

    これからの作品も読んでみたかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そしてちょっぴりせつないような。」
      亡くなって来年で10年、、、切ないです。もっと活躍した筈の方ですから。。。
      しかし壮絶。自らを貶めるコ...
      「そしてちょっぴりせつないような。」
      亡くなって来年で10年、、、切ないです。もっと活躍した筈の方ですから。。。
      しかし壮絶。自らを貶めるコトが出来るから書ける内容です。
      2013/02/28
  • 著者自身が綴った、壮絶なアルコール中毒、躁うつ病の記録。元気を失った人が、「明るい悩み相談室」のノリで手に取ることはやめたほうがよい。内容は結構ヘビー。

    著者は責任感が強く、繊細。底抜けにやさしい印象(ご自身に対しては、そのやさしさを向けられなかったようなのが残念)。欠落を依存症で埋めていたというが、一体何が欠落していたのか。もしその欠落が埋め合わされていたら、著者の人生はどうなっていただろう。ついそんなことを考えてしまった。

    主治医であったY医師の盗聴妄想を読み、そういえば(末期癌で余命宣告された)俺の親父が亡くなる前にも、同様の妄想に執着していたことを思い出した(あれは低級霊に憑依されていたのだろうか)。病気に焦点を当ててしまうと、人は幸せになれない気がする。

    向精神薬の怖さについても書かれている。

  • 悲しい時に寄り添ってくれる優しさ

  • 一日ずつ時間を稼ぎ、結論を先送りする。
    欠けているところがありあれば、そこを埋めていくという感情は自然な事、だから人は何かに依存することで、自分の穴を埋め続けていく。
    開き直ちゃっていいのだ。
    車のハンドルの遊びがなければ運転も疲れる。

  • ううむ、中島らも、やはり壮絶だ・・・。
    コデイン中毒の話は他で読んでいたが、躁病のことはこの本で初めて読んだ。躁病ってこういうものだとは知らなかった・・・。あと、Y先生!!

  • 3回目読了。
    本棚を眺めてて目に止まってなんとなく読んでいたら、そのまま最後まで読んでしまった。

    僕自身も28歳の時に精神科で診察をしてもらったことがあった。
    今考えるとあれは「うつ病」というよりは、ちょっと重めの「うつ」状態だったのかなとは思うけれど、医者からはうつ病と診断され薬も処方された。
    薬がなんだったのか忘れてしまったけど、睡眠薬がすごい効き目で(笑)、気絶するかのように12時間とか寝てたな。

    そんな経験をしたけれど、やはりこの本に書かれているような内容と比べると、かすり傷のようなもので、いろんな人生があるなぁと痛感せざるを得ない。
    なんか有限の人生をまさに「生きている」感じがする。

    浮浪者に毛布とお酒を持っていくシーンは泣けた。

    最後は精神科の先生との対談と、本上まなみのあとがきで終わる。
    ちなみに僕は本上まなみが20年くらい前からすごく好きで、「ほんじょの虫干し」が登場するシーンはとても嬉しかった。

    僕みたいな本当にダメな人間の救世主のような作家さん。

全73件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島らもの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
町田 康
中島らも
中島 らも
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×