なぜか子どもが心を閉ざす親 開く親 (青春文庫)

  • 青春出版社 (2017年10月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784413096812

作品紹介・あらすじ

こんな親が、子どもの“心の毒”になる!小さい頃は「いい子」だったのに思春期・青年期で問題を起こす理由、人から好かれないと不安な大人に育つ心理…子育てに悩む親が読んでも、親から受けた心の傷と向き合う大人にも、気づきがある一冊。

感想・レビュー・書評

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  •  本書の主題は、親の心理的な病や依存心、支配欲によって作られた「良い子」が、いかに自己を裏切り、孤独で虚ろな人生を歩むかという警告である。「良い子」の従順は、真の愛に基づいた協力ではなく、家庭崩壊の不安からくる「迎合」という名のサバイバル戦略であり、その迎合は大人になっても続き、彼らを搾取される側へと導くという構造的な問題提起である。

    ・「良い子」を生む親の病理:愛の欠如
    「良い子」問題の根源が親の未成熟な心理、特に「依存心」と「夫婦関係の不全」にあるという指摘。親が子どもを愛する「対象」ではなく、自分の「心の隙間を埋める道具」として見ている状態だ。この親の「必要とされることを必要とする」という欲求が、「良い子」に自分を裏切らせる原動力となる。

    ・真の愛と甘い言葉の区別
     真の愛は、口先だけの「綺麗な言葉」や「自己犠牲を伴う優しい言葉」ではない。愛されて育つとは、言葉の裏に隠された親の真意(トゲ)を見抜く「知恵」を身につけることだ。これにより、子どもは大人になってから言葉による「搾取」や「騙し」に遭いにくくなる。

    ・「良い子」の本質:道具としての自己
    「良い子」の従順は、自己愛や成長からくるものではなく、「親の不機嫌」や「家庭の崩壊」という危険を避けるための防衛本能だ。この迎合の姿勢は、自分の存在価値を「他者を満足させるための道具」に設定してしまうという悲劇を生む。脅しや罰が「親密化」され、自ら進んで権威に服従する「迎合」のポイントが、自己を空虚にする。

    ・内向的タイプと空虚な人間関係
    「良い子」は、怒りの表現ができず、自己を内に向ける内向的タイプ(自殺するタイプ)になりやすい。「迎合」で得た人間関係はその場限りで、真の信頼や親密さが育まれないため、大人になっても「心の空虚感」を抱えることになる。迎合は人間関係のトラブルを処理する能力も奪ってしまう。

    ・「燃え尽き」と「迎合の誤用」
    「良い子」が大人になって燃え尽きるのは、迎合の対象を誤り、不要な努力や尽くしを必死に行うためだ。結果として信頼も得られず、搾取される人生を選択し続ける。「馬鹿にされるくらいなら、頭は下げない方がいい」というメッセージは、自己尊重の大切さと、迎合が「安易な逃げ」であり、問題を深刻化させるだけだという警鐘である。

    ・親子の真のコミュニケーション
     コミュニケーションは、「問い詰める(責める)」ことではなく、「安心できる雰囲気(信頼感)」を作ること。親の不安からくる質問は子どもに「二重、三重の苦しみ」を与える。子どもにとっての「良い家」とは、外見の立派さではなく、「安心して自分の存在を依存させられる信頼感」があるかどうかだと再認識した。

    【今後に活かしたいこと】
    ・「迎合」を「愛」と取り違えない
     自分の不安や依存心から子どもを支配したり、優しく迎合したりしていないか常に自問する。子どもが「したいこと」を恐れず、「怒り」を正直に表現できる安全基地となる。

    ・親の自己対処を優先する
     夫婦関係や自分自身の心の空虚感など、親自身の問題は自分で処理する。子どもを自分の心の傷を癒す道具として扱わない。

    ・信頼を築く
     子どもを責めず、「話したくなる雰囲気」を作ることに注力する。日々の小さなトラブルを正面からぶつかって解決する機会を奪わず、対処能力を育てることが真の成長に繋がる。

  • この本に出てくるような人は、今の日本には多いのではないかと思う。 一見ありふれた家庭に育ち、そこそこ恵まれており、それでも実は苦しんでいる。会社を嫌い、不幸な日々だと感じている。
    親の影響だと気づいている人は少なく、むしろ、そこそこ恵まれて育ったことに感謝さえしているのかもしれない。苦しさの理由がわからないまま、子供にも同じように対応してしまう。
    昔から当たり前の、誰も疑ってこなかった所に、よく見ると未来を良くするきっかけがある。もっと広くに知られると良い。

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著者プロフィール

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科を修了。元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員。現在、早稲田大学名誉教授。
主な著書に、『自分の心に気づく言葉』『心を安定させる言葉』(以上、PHPエディターズ・グループ)、『心の休ませ方』『自分のうけいれ方』『不安のしずめ方』『自分に気づく心理学』『やさしい人』『絶望から抜け出す心理学』(以上、PHP研究所)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』(三笠書房)、『心と体をすり減らさないためのストレス・マネジメント』(大和書房)などがある。

「2023年 『ブレない心のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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