自分の中に毒を持て<新装版> (青春文庫)

著者 :
  • 青春出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413096843

作品紹介・あらすじ

2019年7月4日、マコなり社長がYoutubeで紹介して話題になった作品。「『常識人間』は成功しない」。

“才能なんて勝手にしやがれだ”“だめ人間なら、そのマイナスに賭けてみろ”岡本太郎の遺した作品と言葉は、いまでも私たちに鋭く問いかけています。瞬間を生き抜く、岡本太郎のパッションは、強い力をもって私たちの生命にズシンと響くのです。歓喜と驚きに満ちた人生を、あらためてつかみとってください。長年愛されてきたロングセラー『自分の中に毒を持て』の新装版です。文字が大きく読みやすくなり、カラー口絵付きで、パワーアップして生まれ変わりました!

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    幻冬社の見城徹みたいなストイックな生き様。
    ・・・いや、「見城徹が岡本太郎のような生き方をしている」と言った方が正しいのか。
    "安定"とは対極の位置でひたすら何かと戦い続ける、岡本太郎の生き様・考え方について書かれたエッセイでした。
    常に"安定"を求めて、ヌクヌクと日々生きている僕に対し、ズシンと心に響く言葉を多々頂きました(笑)
    1つ1つが耳の痛い言葉ばかり・・・・この人は一体何故こんなに尖っているんだ・・・・

    本書を通して岡本太郎さんが一貫して言っている事はただ一つ。
    「将来の事など考えず、"今"だけに対して精一杯挑戦しろ!!一瞬一瞬にベストを尽くせ」この一点です。
    そこに妥協や保身、周りの視線などを一切考慮するな!との事。
    芸術家として常に自分自身のみと向き合い、またやや過激な運動家としても自身の言葉を主張し続けてきた岡本太郎さんの自負心や生き様を感じます。

    言い訳がましいですが、、、僕自身妻子持ちで家族を愛していますので、著者のように「すべてを捨てて人生に挑む」なんて事は到底真似はできません。
    ただ、「守るべきものがあること=保身」となってしまい、常に周りの顔色を窺い続け、結果として自己実現が一切できない人生なんて、絶対にイヤだと思います。
    筆者のように「芸術は爆発だ!!」と振り切る事は絶対にしませんが、一瞬一瞬に対して精一杯挑戦し、「俺はとことんやり切ったぞ!!」と胸を張れるような生き方が出来るのではないでしょうか?

    とまぁ、読んでいて筆者と僕との熱量の違い・温度差をやや感じましたが、もっと自分自身は今現在に対して精一杯やりきらんといかんな~と思いました。
    ただ、20代前半の若者が読むと色々と大きく勘違いしそうな"毒"が、ふんだんに盛り込まれている1冊ですね(笑)
    いやぁ、面白かった!!


    【内容まとめ】
    1.岡本太郎の人生観
    人生は積み重ねだと誰でも思っている。ぼくは逆に、積み減らすべきだと思う。
    財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。
    過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。

    人生に挑み、本当に生きるには、瞬間瞬間に生まれ変わって運命をひらくのだ。
    捨てれば捨てるほど、いのちは分厚く、純粋に膨らんでくる。

    2.自分らしくではなく、"人間らしく"生きろ!
    自分らしくある必要はない。むしろ、“人間らしく”生きる道を考えて欲しい。
    本当に生きていくためには、周りと、そして自分自身と闘わなければ駄目だ。

    3.人間にとって成功とは一体何だろう?
    結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。
    夢がたとえ成就しなかったとしても、精一杯挑戦した、それで爽やかだ。

    4.そもそも自分を他と比べるから、自信などというものが問題になってくるのだ。
    我が人生、他と比較して自分を決めるなどというような卑しいことはやらない。
    ただ自分が信じていること、正しいと思うことに、脇目振らずに突き進むだけだ。

    5.やろうとしないから、やれない。それだけのことだ。
    もう一つうまくやろう、成功しようとするから、逆にうまくいかない。
    「人生うまくやろう」なんて利口ぶった考えは、誰でも考えることで、それは大変卑しい根性だと思う。
    世の中うまくやろうとすると、結局人の思惑に従い、社会のベルトコンベアの上に乗せられてしまう。

    制約の多いところでこそ自分のしたいことをするのが本当の行動になる。
    中途半端はいけない。とことんまで明朗に、自分を誤魔化さずにやりきれ。

    6.大事にするから弱くなってしまうのだ。
    己自身と闘え。自分自身を突き飛ばせばいいのだ。
    自分を認めさせようとか、この社会の中で自分がどういう役割を果たせるんだろうとか、色々状況を考えたり、成果を計算したり、そういうことで自分を貫こうとしても無意味な袋小路に入ってしまう。

    今この瞬間、全く無目的で、無償で、生命力と情熱のありったけ、全存在で爆発する。それが全てだ。

    7.人間本来の生き方は無目的、無条件であるべき。それが誇りだ。
    死ぬのもよし、生きるのもよし。ただし、その瞬間にベストを尽くすことだ。



    【引用】
    p11
    人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。
    ぼくは逆に、積み減らすべきだと思う。
    財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。
    過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。

    人生に挑み、本当に生きるには、瞬間瞬間に生まれ変わって運命をひらくのだ。
    捨てれば捨てるほど、いのちは分厚く、純粋に膨らんでくる。


    p12
    自分らしくある必要はない。
    むしろ、“人間らしく”生きる道を考えて欲しい。
    本当に生きていくためには、周りと、そして自分自身と闘わなければ駄目だ。


    p27
    人間にとって成功とは一体何だろう?
    結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。
    夢がたとえ成就しなかったとしても、精一杯挑戦した、それで爽やかだ。


    p28
    みんな、やってみもしないで、最初から引っ込んでしまう。
    それでいて俺は食うためにこんなことをしているが、本当はもっと別の生き方があったはずだと悔いている。
    いつまでもそういう迷いを心の底に押し殺している人が殆どだ。

    食えなきゃ食えなくても、と覚悟すればいいんだ。
    それが第一歩だ。その方が面白い。


    p51
    「今はまだ駄目だけど、いずれ」と絶対に言わないこと。
    “いずれ”なんて言うヤツに限って、現在の自分に責任を持っていない。
    生きるというのは、瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現在に充実することだ。
    過去にこだわったり、未来でごまかすなんて根性では、現在を本当に生きることはできない。


    p56
    ・そもそも自分を他と比べるから、自信などというものが問題になってくるのだ。
    我が人生、他と比較して自分を決めるなどというような卑しいことはやらない。
    ただ自分が信じていること、正しいと思うことに、脇目振らずに突き進むだけだ。


    p65
    人間は他の動物より進歩しているかもしれないが、不安や恐怖を抱かずにはいられないという悲しい運命を背負っている。
    逆に、人間の方が他の動物よりも辛く寂しい生き方をしているのだ。
    人間として生まれてきた以上、恐怖感があるというのはむしろ当然なことなのだ。

    恐怖感は自分ひとりじゃなく、人類全体の運命なんだと思って取り組んでいけば、意外に救われるんじゃないか?


    p120
    やろうとしないから、やれない。それだけのことだ。
    もう一つうまくやろう、成功しようとするから、逆にうまくいかない。
    人生うまくやろうなんて利口ぶった考えは、誰でも考えることで、それは大変卑しい根性だと思う。
    世の中うまくやろうとすると、結局人の思惑に従い、社会のベルトコンベアの上に乗せられてしまう。

    制約の多いところでこそ自分のしたいことをするのが本当の行動になる。
    中途半端はいけない。とことんまで明朗に、自分を誤魔化さずにやりきれ。


    p158★
    スピードにしてもセックスにしても、自分がそれに賭けて満たされるかというと決してそうではない。
    どちらも、永久に満たされないものなんだ。
    その満たされないものに、それでも諦めることなく自分を賭けていくのが、真のプレイボーイだ。
    つまり、ものすごいロマンチストだといえる。
    自分がモノにした女性の数を誇ったりするのは野暮の骨頂。本当のプレイボーイじゃない。


    p169★
    「子ども」という枠にはめてしまって、人間的責任、誇り、人格を認めないから、そのズレに苛立ち、無力感や憤懣が生まれてくる。
    親子、先生と生徒、当然立場の違いはある。
    親だから生活的面倒はみる。先生は教える。
    としても、しかし人間としては人間同士としてまともに向き合うべきだ。
    でなければ、尊敬も愛情も、一体感も生まれるはずがない。


    p194
    大事にするから弱くなってしまうのだ。
    己自身と闘え。自分自身を突き飛ばせばいいのだ。
    自分を認めさせようとか、この社会の中で自分がどういう役割を果たせるんだろうとか、色々状況を考えたり、成果を計算したり、そういうことで自分を貫こうとしても無意味な袋小路に入ってしまう。

    今この瞬間、全く無目的で、無償で、生命力と情熱のありったけ、全存在で爆発する。それが全てだ。


    p195
    生きる。
    それは本来、無目的で、非合理だ。
    生命力というのは盲目的な爆発であり、人類のほとんどの部分は非合理である。
    我々はこの世になぜ生まれてきて生き続けるのか、それ自体を知らない。
    存在自体、肉体も精神も、そして環境もまた無限の迷路である。
    だからこそ生き甲斐があり、情熱が湧く。
    合理的でなくてもいい。


    p217★
    人間本来の生き方は無目的、無条件であるべき。それが誇りだ。
    死ぬのもよし、生きるのもよし。ただし、その瞬間にベストを尽くすことだ。

  • 相変わらず、岡本太郎の本には力が溢れている。本の内容を理解しているか如何に関わらず、読むだけで生命力を極太の注射器で注ぎ込まれているように感じる。そんな本だ。
    岡本太郎の芸術作品は線の描き方、タッチが共通しており、太郎の言う、「スジ」が通っている。挿絵として、作品が何度も本に出てくるが、読み進めていくに連れ、線の一本一本が血管のように見えてきたのは私だけであろうか。
    太郎が言う、爆発とは自分の存在を無条件に全宇宙に向けて開くことだ(少し言い回しが違うかもしれないが)という言葉の意味は一回読んだだけでは理解できなかった。
    ただ、芸術であるところの自分の人生を一歩いや、半歩でも良いから踏み出そうという勇気をこの一冊から確かにもらった。続編も読むつもりである。

  • 過去や未来にとらわれず、今この瞬間を無条件に生きぬく。ということが一番大事なんだと何度も教えてくれた。瞬間瞬間が大事。瞬間瞬間が未来に繋がる。原点に戻って人間や人生観を考えることができて、すごくためになる話でした。
    自分をわざと崖っぷちにおいやって、必死で這い上がる。その苦難が人生を湧き上がらせる。例えて言えば岡本太郎はそんなことを言いたかった気がする。
    逆の発想っていうのかな。言ってみれば苦労や苦難や悩みも全て人生を生き生きとさせる活性剤だと思えば、なにも怖いものはない。そんな生き方ができたら確かに常にもがいていてつまらない生き方ではないなぁと思う。結構、勇気や活力をたっぷりもらえた。再読したいとも思えた素敵な本でした。

  • マコなり社長のYouTubeで度々紹介されるからなのか、図書館での予約が多くて借りるまで時間が掛かった。
    特に第四章の、あなたは常識人間を捨てられるかを強く推していたので読んでみた。
    申し訳ない、やはり人はそれぞれ感銘を受ける事柄やタイミングが有るのだなあ、と思ってしまった。

    Amazonより紹介*****************
    “才能なんて勝手にしやがれだ"
    “だめ人間なら、そのマイナスに賭けてみろ"
    岡本太郎の遺した作品と言葉は、いまでも私たちに鋭く問いかけています。
    瞬間を生き抜く、岡本太郎のパッションは、強い力をもって私たちの生命にズシンと響くのです。
    歓喜と驚きに満ちた人生を、あらためてつかみとってください。

    長年愛されてきたロングセラー『自分の中に毒を持て』の新装版です。
    文字が大きく読みやすくなり、カラー口絵付きで、パワーアップして生まれ変わりました!

  • 「気持ちを高めてくれる言葉」は心地よいが
    量が多いと疲れる。

    岡本太郎さんは「ひとつの選択肢を選んだ」に過ぎなくて、他にも選択肢はあるはず

    当時のサラリーマンかどうだったかはわからないが
    安易な道と言い切ってるのがなんだか今読むと違和感がある。
    サラリーマンだって大変だよ。

    「気持ちを高めてくれる言葉」だけでは人を駄目にする。

  • 「岡本太郎さんが30過ぎにパリ帰りで兵隊としてホフク前進していた時に感動した話」のインパクトが大きかった。
    ーーー
    太郎さんの「迷ったら困難な道を選べ」は好きな言葉の一つで、定期的に岡本太郎さんの本を読みたくなる。読後、丹下さんの大屋根を突き破る太陽の塔と、コロナ禍に赤く映る太陽の塔を思い出す。2025年の大阪万博が面白く無事に開催されることを願う。


  • ″生きるてごたえ″ をみつける。

    自分の可能性は、他人が手を出せるものではなく信じて生かすも、見切りをつけるも結局のところ自分自身。自分との闘い。

    駄目になる方、マイナスの道を選ぼうと決意してみるといい。それが生きるパッションを生む。
    まだ自分の中に眠っている力、可能性というものは得意より不得意な分野において発掘することができるなと感じます。


    改めてさすが芸術家だなと感じる、パッションが溢れる一冊でした。手元にある本が動いてるかのようななんとも不思議な読後感。笑
    心の背筋をピンと正されたようでした。


    “生きてるてごたえ、生きる喜び”友人ともここで話が湧きました。この感覚、大切にしたいです。

  • 『芸術は爆発だ』で有名な岡本太郎だが、その言葉だけが一人歩きし、意味など深く考えた事もなく、芸術とはバーン!て感じで閃く物なのか…?などと勝手に思っていたが、ようやく彼の考えた爆発に触れることができた。

    『音もしない。物も飛び散らない。全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。』懸命に生きるという事。彼の、自分自身と向き合い、彼なりに苦労して出した答えがここにある。自分の疑問や悩みを徹底的に突き詰めた結果の、彼の芸術だ。

    最初の数行で、もう納得。わかるよ、言いたいことは。
    でも実行に移すのは本当に難しいし、できない人のほうが遥かに多いのでは?
    自分を守って生きていくのも悪くない。現状を変えるのは至難の業だ。
    でも自分らしく!ではなく人間らしく!となると、物の見方も変わってくる。
    自分らしく!では何がいけないのか?

    人はいつでも迷い、自分で選択して生きている。無難で安全な道を。ーしかし、

    『生命それ自体が完全燃焼するような生に賭けるべきではないだろうか』
    『自分自身の最大の敵は他人ではなく自分自身。』

    『自分はダメ人間なのだと平気でストレートに認めること。むしろ自分は気が弱いんだと思って、強くなろうとジタバタしない方がいい。諦めるんではなく、気が弱いと思ってしまうんだ』

    『情熱を感じるもの、惹かれそうな事を無条件にやってみる。心の動く方向にまっすぐに行く。失敗したらなお面白い。無条件に生きる。』

    『読書もよい。本は自分自身との対話だ。』よくわかる。どんな本でも、すぐ、自分だったらと、他人事になれない読み方に多少の疲れを感じていた所だったが、『これから何をなすべきかを、自分自身に問いつめてみる。そして問題解決を求めてさらに進む。』のも悪くないと思った。

    私自身、迷っている。やりたい事、やりたくない事。やらなくてはいけないと思う事と、人にやらせるという事。自分自身の事だけ考えていて、果たして良いのかどうか?他人を慮らなければならないのか?己を殺してでも…?

    『へんに格好をつけず、ありのままの自分を貫くしかないという覚悟を決める。何かをやろうと決意するから意志もエネルギーもふき出してくる。

    『生きがいをもって生きようとするすべての人の運命。』
    ーたとえみんながイエス、イエスと言っていても、自分がほんとうにノーだと思ったら、ノーと発言すること。
    これはやってみたいし、こうでなければ生きている意味はないと思う。

    結婚観に対しても独特だが、みんながみんな共感し、準えたら人間社会は崩壊だ。人それぞれであっていいと思う。

    『自分がその人を好きだという。その気持ちに殉じればいい。…お返しを期待せず自分の心をひらくことで、自分自身が救われるはずだ。』
    見せすぎる必要もないが、きっと何も姑息な事は考えなくてもいい。素直になることだ。

    素直になる事で自分が救われる…
    何か変われるといいな…

  • 岡本太郎氏の、まるで耳元で諭されているような、力強い言葉。

    一文ごとに力強さが滲み出て、読んでいるのではなく、聞いている感覚になります。

    『人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。ぼくは逆に、積みへらすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。』

    第1章の冒頭に出てくるこの言葉は、価値観を大きく揺さぶられました。

    積み重ね・経験が大事であると多くの人に言われ、確かにその通りだ、と感じておりましたが、それは逆に自分を鎖で固定してしまうことにも繋がります。

    考え方も同じです。その分野のことを興味を持って学び、専門性を獲るうちに、考え方も専門家のようになってくる、すなわち固定されていくわけです。

    そんな中で、爆発的な新しい発想の芽が出るでしょうか。これが、岡本太郎氏の言いたいことのように思えます。

    ではどうすればよいか。それは、手の届く身近なところからはじめていくべきだと著者は説きます。

    自分では届かない、世間一般の基準に、合わせたり、追い求めたりすることで、自分に嘘をついてはいけないのです。それに疑問を感じ、ぶつかっていくこと。それが生きることであり、敵は嘘をつく自分自身なのだと、感じました。

    日々感じる無気力感に苛まれる自分に、あえて厳しい鞭を打つ。

    将来の不安に駆られ、悩み無駄にする、今日この瞬間から変えていこう。そんな前向きな気持ちになりました。

  • 芸術家、岡本太郎が「意外な発想を持たないとあなたの価値は出ない」「個性は出し方 薬になるか毒になるか」「相手の中から引き出す自分 それが愛」「あなたは常識人間を捨てられるか」という4つのテーマで語る。
    先日岡本太郎美術館を訪れたので、自宅にあった本書を再読した。

    岡本太郎といえば、太陽の塔を代表とするダイナミックで躍動感にあふれ、見る者をぎょっとさせるような作品を作るエキセントリックな人、というイメージだったが、本書を読み直して少し見方が変わった。
    各テーマは一見挑発的だが、本書は突き詰めると「自分の心に正直に生きよ」という実にシンプルなメッセージとなっている。

    自分の心に正直に生きるなんて現代社会では難しい、それは岡本太郎のように天才だからできるのだ。そういう人を彼は「やろうとしないから、やれないんだ」と一刀両断する。
    自分は弱い人間ならそれでいい、その事実を認め、弱いなりに積極的になれるものを見つけて打ち込めばいい。
    三日坊主でもいい。その時その時にやりたいと思ったことをやればいい。やることが見つからなければ、本を読むのでもいい。
    人生はいつでも選択をせまられるもので、常に真剣に自分自身と向き合い闘う必要があるのだ。闘わずして一時の「冒険」に満足するのは甘えだ。

    本書が刊行されたのは1993年。まだまだ日本の経済は好調で、海外からは「エコノミックアニマル」などと揶揄されていたころである。そんな時代に岡本太郎は、日本人は物質的に恵まれても心が豊かでないと警鐘を鳴らしている。
    心どころか経済までも落ち込んでしまった現代の日本に生きていたら、彼はなんと言っていただろう。きっと、今こそ自分の心に正直に生きろ、と叱咤激励するような気がする。

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著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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