影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

制作 : 社会行動研究会 
  • 誠信書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784414304220

感想・レビュー・書評

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  • 自分の頭で考えて、行動する。
    なるべくそうしたいなと、心がけています。
    しかしこの本は、「私たちの判断・行動は、他からの働きかけによって大きく影響を受けている」と説いています。

    まずその理由として、判断に必要な情報が多すぎること、そのため全部の情報ではなく、一部の情報によって判断・行動を選択する”思考の近道”を、人間は(必要に迫られ)してしまう、と説明しています。

    影響を受ける要因として、返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性、を挙げています。
    それぞれの要因について、”思考の近道”のスイッチが入った人がどのような行動をとるか、具体的な事例を交えて説明されています。

    事件や詐欺の話が多いので、これらの心理的反応がマイナスに働いた場合、さらには悪用する人に遭遇した場合に、第三者から見て「なんでそんなことを・・・」と感じるような行動をなぜしてしまうのか?リアル感を持って理解することが出来ました。

    自分自身、一貫性や希少性といった要因には影響を受けているなあと、反省させられました。
    そしてやっかいなのは、これらの要因によって導かれる”思考の近道”は、通常であれば有効に働くということ。

    「他人を見たら泥棒と思え」では、普段の生活もままならない・・。
    大きな判断をする際やとっさのトラブルに遭遇した場合に、自分がどのような経緯で判断を下そうとしているのか、その判断はこの本に書かれている失敗パターンになっていないか、いま一度考える癖をつけたいと思います。

    事例が多く、また各章ごとに振り返りもつけられているので、読みやすく理解しやすい、実用的な一冊でした。

    『「自分」の壁』養老孟司
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4106105764

     .

  • 第1章
    ・人に何か頼みごとをする時は、理由を添えた方が成功しやすくなる。
    ・商品についてよく分からない場合、人は「高価なもの=良いもの」というステレオタイプを用いる。
    ・多くの人間の行動は、自動的なものである。それは、変化の激しい現代においてはそうすることがベストだと思い込んでいるからである。
    ・「専門家が言うならそうに違いない」という盲目的な思い込みが人には存在する。
    ・問題が複雑で切迫した状態にあるほど、人は簡便法に頼ろうとする。
    ・コントラストの原理(二番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向のこと)
    ・最初に高い物を見てから安い物を見ると、実際以上に安く感じるものである。

    2章
    ・「他人がこちらに何かの恩恵を施したら、似たような形でそのお返しをしなくてはならない」という暗黙の返報性ルールが存在する。
    ・返報性のルールは、国や文化の違いを超えて通用する。
    ・返報性のルールは、政治家や科学者など知識の高い人たちとの間に対しても成立する。
    ・返報性のルールは不公平な交換を引き起こす。
    ・大きな要求から小さな要求へと譲歩することによって、相手にも譲歩しなければならない気持ちを引き起こす。
    ・拒否したら譲歩の法則を使うと、買い手側の納得度と満足感も高くなる。

    3章
    ・馬券を買った直後では、買う前よりも、自分が賭けた馬の勝つ確率を高く見積もるようになる。
    ・一度決定を下したり、ある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように、個人的にも対人的にも圧力がかかる。
    ・考えるという本当の労働を避けるために、人は一貫性に従おうとする。
    ・最初に小さな要求を受容れることで、それとは無関係の要求も受容れやすくなる
    ・営業マンに目標を書かせることによって、彼らに「目標を達成しなければならない」という心理的なコミットメントを植えつける。
    ・何かを得るために大変な困難や苦痛を経験した人は、同じものを最小の努力で得た人に比べて自分が得たものに対して価値を置くようになる。(新人洗礼など)
    ・人は自分がしたコミットメントに対して、それが正しいことを示す新しい理由や正当化を付け加える。

    4章
    ・人がある状況で何を信じるべきか、どのように振舞うべきかを決めるために使う重要な手段の一つは、他の人々がそこで何を信じているか、どのように行動しているかを見ることである。(社会的証明の原理)
    ・状況が不確かで曖昧な時、人は他の人々の行動に注意を向け、それを正しいものとして受容れようとする。また、自分と共通点の多い他者の行動も人々の行動に強い影響力を持つ。
    ・社会的証明にひっかからないためには、類似した他者が行っている行動やその根拠に対して疑いを持つことである。

    5章
    ・人は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。
    ・好意に影響する要素として、身体的魅力がある。身体的な美しさは社会的相互作用の中で有利に働く。
    ・私達は自分と似た人に好意を感じ、そのような人の要求に対してはあまり考えずにイエスと言う傾向が強い。また、相手に対する称賛は好意を高める。
    ・人や事物と接触を繰り返すことによって親密性を高めることも好意を促進する。

    6章
    ・権威者からの要求に服従させるような強い圧力が私達の社会に存在する。権威者から命令されると、自分の意に反して危険で極度の痛みを他人に与える。権威者に対する服従は、短絡的な意思決定として、思考を伴わない形で生じる。
    ・権威者に対して自動的に反応する場合、その実体よりも権威のシンボルに反応する傾向がある。それは肩書き、服装、そして装飾品である。これらを有する人たちの方が、より多くの承諾を得る。

    7章
    ・人は機会を失いかけると、その機会をより価値のあるものとみなす。(数量限定や期限付きなど)
    ・手にすることが難しいものはそれだけ貴重であることが多いので、質が高いと判断される。
    ・あるメッセージに近づくことが制限されると、人はそれを手に入れたくなり、また好ましく思うようになる。そして説得力を持つ。
    ・メッセージを受け取る場合、そのメッセージが独占的な情報を含んでいると一層効果的になる。
    ・他人と競い合ってる時、希少性の高いものに最もひきつけられる。希少性の価値は、それが新たに希少なものとなった時に一層高まる

    8章
    ・現代は情報が溢れ、非常に複雑な時代となってきている。さらに変化のスピードが早く、注意深く状況を分析するのが困難な時代において、人は信頼できる単一の情報と、簡便な意思決定に頼る。

  • 【本の概要】影響力の武器
    その①:返報性
    その②:一貫性とコミットメント
    その③:社会的証明
    その④:好意
    その⑤:権威
    その⑥:希少性


    【この本を読んだ目的】
    上記に記される影響力の武器はもちろん、日常生活において自分の本来の意図に反する承諾をしてしまわないようにという意味で読むこともできたであろう。しかし私はもちろん、逆の立場として(影響力の武器を行使する立場として)この本を読み進めた。具体的には約半年後入社し、営業マンとして活躍するために、そして今のバイトに生かすために読んだ。
    ※バイトでは、業務の一部として「架電」を行っている。これは直接対面しての営業ではないが、通ずるところは多くあると思う。


    【要約】
    ①返報性:
    人は誰かから何かを提供されると、それに対してお返しをしないといけないと思ってしまう、知らぬ間に恩義を感じてしまうのである。例えば誕生日プレゼントを人からもらうと今後はその人の誕生日には必ずプレゼントを贈らねばならない、といった具合である。それは、身近な人にだけでなく、見知らぬ人や嫌いな人にも働く力である。なぜそのような心情が起こってしまうのかというと、一つには単純にただ恩義を受けただけになると自分自身が不快な気持ちになるから。そしてもうひとつに、ただ他者の親切を受けるばかりでお返しをしない人は、周りの人々から嫌われてしまうからということ。さらに「拒否したら譲歩」法というものもあり、これは、ある要求を拒否した相手は、次に出される要求に対し責任感と満足感を感じてしまうというものである。相手に取りまとめてもらったという責任感と、自分の交渉がうまくいったという満足感である。要求をのみこませる側は、本当に提供したいモノをわざと2番目にもってくることで、提案をより通しやすくさせる。

    ②コミットメントと一貫性:
    人は、他者から矛盾した人間だと思われたくないため、自分が発言したことには一貫した態度をとろうとするものである。例えば、一度読書が趣味だと公言してしまうと、常になにか語れる本を持たねばならないと思い読書を続け、では月に1回読書レポートを提出しようとなると、さらに定期的に読書を続けてしまう。最初に「読書が趣味だ」と言った時点で、他人から「読書なんて本当は趣味でもないやん」と思われないように一貫して読書を趣味にし続けるのである。そしてこの一貫性の法則は、「努力の後に続くもの」「自分で決めたもの」により強い効果をもたらす。さらに「承諾先取り法」というテクニックがある。これは、一度相手に決定を下させてから、最初に相手を誘った条件を取り除くというものである。多くの場合、一貫性の法則に従って、条件を取り除いても決定を覆すということは起こりがたいのである。例えばこれは本当に最近あったことだが、(前提として私はコーヒーが飲めない)スタバで、何を飲むか決めていないが店員さんの笑顔に引きつられてレジにいき、そのままおすすめのコーヒーを勧めながら「これは苦みも酸味も少なくコーヒーが飲めない人でも飲みやすい」と誘われ、更に「バニラシロップを加えると本当に苦みがしない」と言われた。私はそれにしますと答え、バニラシロップは値段かかるんですかと聞いたら「+50円です」と言われた。高いなと思ったが”自分の一貫性を保つために”引き下がれなかったのである。結局そのコーヒーは苦く、どれだけ牛乳を足しても飲めず家で捨てました。この店員さんは、影響力の武器を知っていたのだろうか。

    ③社会的証明
    一言でいうと、特定の状況である行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断することである。この影響力が強くなる条件は2つある。1つは、「不確かさ」である。人は、自分の置かれている状況が曖昧な時、ほかの人々の行動に注意を向けて、それが正しいものだとして受け入れてしまう。例えば、17時という図書館の閉館時間を知らずに滞在し、周りの大勢が彼らの都合で16時に退出しようとしているところを見ると、あたかも閉館時間が16時だと思い込んで自分も退出してしまう。条件の2つ目は、「類似性」である。人は自分と似た人の行動に従う習性がある。例えば自分の大学の人がこの「影響力の武器」という本を読んでいると、自分も読むべき本だと思って読んでしまうし、自分の会社の人が読んでいると自分もまた読もうとするだろう。

    ④好意
    人は自分が好意を感じている人に対してイエスという傾向がある。好意に影響する要因は全部で5つある。1つ目は「身体的魅力」である。外見が魅力的であると、目には見えない才能や親切さといった部分も優れていると思えるのである。2つ目は「類似性」である。我々は自分と似た人に好意を感じ、そのような人の要求には自動的にイエスという傾向がある。3つ目は「称賛」である。ノーマルなお世辞なら好意を高め、承諾を引き出しやすい。4つ目は「人や関連させたい事物との接触を繰り返し、なじみをもたせる」ことである。これは不快な環境ではなく、快適な環境の中で接触が起こる場合に当てはまる。特に相互の協力によって成功がもたらされる場合。(メモ「本の中の事例」:白人の子供と黒人の子供を仲良くするために共通の目的をもたせる)5つ目は「連合」である。好ましい事象と自分がむずびついていることで効果を発揮すること。逆に自分と好ましくない事象は積極的に他者の目から切り離そうとする。最後の例として、最近みたCMに”東京オリンピックとカップラーメンを結び付けてカップ麺の宣伝をするというものがある。この本を読んだ私は内心、「カップ麺はオリンピックとなんら関係がないのにな」と感じていた。

    ⑤権威
    人は権威者から命令されると、自分の意に反していても逆らうことなく服従してしまう。これは、本当の権威者は優れた知識と力をもっているからだけでなく、社会的に権威者に従うことが正しいという固定観念があるからでもある。(例えば、教師や親のいうことは意味を考えずに服従すべきだという習性)また、権威者そのものではなく、肩書、服装といったシンボルに反応してしまうこともある。

    ⑥希少性
    人は機会を失いかけるとその機会をより価値あるものとみなす。具体的には、デパートやスーパーで「数量限定」や「最終セール」といった文句があるだけで、その商品には価値があり今買わねばならないと感じてしまうことである。希少性の原理が効果を上げる理由は2つある。1つ目は「手に入れにくいものはそれだけ貴重なものであることが多いので、ある品や経験を入手できる可能性が、その質を判定できるてっとり早い手がかりとなる」からである。2つ目は「ある品やサービスが手に入りにくくなっているとき、私たちは自由を失っているから」である。さらに希少性を高める状況として、自分の目の前で、あるものが新たに希少なものとなっていくときや、希少性が高い上に他者と競い合わなければいけなくなったときが挙げられる。

    【感じたこと】
    この本の最初の七面鳥の母鳥の例を読んだとき、「なんて愚かなんだろう」と少なからず思ったところはあった。しかし読み進めていくうちに、現在の私たちの日常にこの母鳥のような行動はあふれているものだと悟った。もちろん私個人の経験にも当てはまり、長い本だったので読み進めるのは大変であったが、内容的は興味深く、私たちにかなり普遍的なものであったと思う。
    そして本の最後にもあったが、著者の言葉を借りれば「カチッ・サー」行動は、無数の情報を誰でも簡単に手に入れることができるゆえに、情報過多に陥ってしまう現在の問題を一言で表していると感じた。人間はその他動物と比べると、本能だけではなく思考をして行動できる動物ではあるが、この「情報過多」で目まぐるしく変化する時代ゆえに、もはや人間以外の本能的な動物に逆行してしまっているところがある。

    しかし私は、この事実をマイナスにとらえているのではない。言い換えれば、これらの影響力の武器さえしっかりマスターすれば、より多くの人々に自身のサービスを使ってもらえるのである。
    もちろん、悪質で、サービスを承諾した人が後々どう考えても不必要で悪だと思うモノを提供するのはよくない。しかし、サービスの需要者が、彼らにとっては必要だけれでもただ気づいていないだけ、というケースもある。私は、自分が春から入社する会社のサービスを(まだ深く理解しているわけではないだろうが)確実に世の中の企業にとって良いものだと思っているから、そして今働いている企業のサービスが必ず役に立つものだと確信しているから、喜んでこれらの影響力の武器をマスターしたいと思う。
    逆にいうと、心から営業したいと思える対象に出会えている自分はかなり幸せだなと思います。(自分は対象に対してよく思っていないのに、利益のために影響力の武器を使わざるを得ないのは悲しすぎる。)


    【これから実践していくこと】
    今回は、内容は理解しやすいが実践は難しそうなテクニックが多く、またインプット量もかなり多かった。これを読んだだけですぐに何かに実践に移すことは難しいように思える。できることは、まず業務においてこれら影響力の武器1つ1つをどう生かすことができて、具体的にどのような言い回しを使用していけばいいかについてシミュレーションすることであると感じている。

  • 返報性、コミットメント、社会的証明、好意、権威、希少性。本書で紹介されている6つの「影響力の武器」。いずれも汎用性が高く、あらゆる交渉シーンで役立つ。一方で、情報洪水の波に乗じてこれらを悪用し、真実を捏造した宣伝広告が後をたたない。私たちは、著者が警鐘を鳴らした通りに、判断のヒューリスティック=思考の近道を多用せざるおえない時代の泥沼に嵌った。その傾向が加速するのは明白だ。まずは、このようなバイアスの存在を意識することが、自己防衛の第一歩となる。加えて、自分にとって価値のある情報を選び抜き、再構築する力こそが、AI時代を謳歌するために必要なスキルではないだろうか。

  • 今まで読んだ本の中で一番夢中になって読んだ本。

    6つの影響力の武器
    返報性、
    一貫性、
    社会的証明(お墨付き、出典、有名な〇〇さんも使っている、累計100万部のベストセラー、など)
    好意、
    権威(肩書き、制服、装飾品)、
    希少性

  • 名著。人の心の動かし方が書いてある。人間って単純だなぁ。

  • 本書は450ページ近くあるボリューム大の作品。
    読み終えて思ったのは、この本に書いてあることを
    完全に理解して、活用すると本当に人間を
    操作できてしまうのでは、と思いました。

    タイトル通り人間へ影響力を与える術が書かれています。
    これを悪用ではなく、適切に使えれば有効な手段ともいえると思いました。

    筆者の綿密な研究成果や経験からまとめられており、
    特に権威や希少性のあたりの内容は、そんな状態あるよね、
    と感じる事多数です。

  • 人生のバイブルになる本。

  • 第一章 影響力の武器
     ・人間は、思考における近道のための自動的反応(カチッ・サー)を備えており、そのメリットは効率性と経済性。
     ・しかし、この反応は、一片の情報に反応するため間違いを犯す可能性があり、人から利益を得ようと企む人には注意。
     ○人にお願い、説明する時には「ので」(カチッ)が重要
     ○対象のコントラストを活用するために、値段の高い物から見せる。

    第二章 返報性
     ・子どもの頃から返報性を守るように叩き込まれる。
     ・返報性は、「非常に強い力を持つ」、「望みもしない行為を受けた場合にも適用される」、「不公平な交換を助長する場合がある」という3つの特徴を持つ。
     ・拒否されたら譲歩法は、返報性の応用。使われた人は、相手と合意を取りまとめたという責任感と満足感により、将来同様の要求にも同意する傾向が強まる。最初の要求が大きすぎると逆効果。
     ・最大の防御方法は、最初の申し出を杓子定規に拒否することではなく、計略と分かった時点で、相手の行為を計略と再定義し直すこと。

    第三章 コミットメント
     ・一貫性の欲求は、「一貫性を保てば社会から評価を受ける」、「一般的に日常生活にとって有益である」、「複雑な現在生活をうまくすり抜けるのに役立つ」という3つの特徴を持つ。
     ・最初のコミットメントを確保することが、承諾を引き出す上での鍵。コミットメントが最も効果的に働くのは、それが「行動を含み」、「広く知られ」、「努力を要し」、「強制されたものでないと考える」とき。
     ・コミットメントを伴う決定は、自分がしたコミットメントに新しい理由や正当化を付け加えることにより、最初の有利な条件がなくなる等状況が変化しても効力を持続することができる。(承諾先取り法)
     ・防衛方法には、「胃」と「心の底」からの合図に耳をすますこと。相手に「こんな風に丸め込まれそうになっているのは、馬鹿げた一貫性を保とうとしているからであり、自分はそんなものに拘りたくない」と説明する。「胃」は騙されそうと認識して初めて機能するが、「心の底」は、「今知っていることはそのままにして時間を遡ることができたら、同じコミットメントをするだろうか」という質問を自分に問いかける。コミットメントの一貫性は、高齢者と個人主義的な社会で効果を発揮する。
     ○クリスマス商戦の売り切れ
     ○中国の捕虜に対するエッセイコンテスト
     ○フラタニティの地獄週間

    第4章 社会的証明
     ・社会的証明の原理によれば、人がある状況で何を信じるべきかを決めるときに重視するのが、他の人びとが何を信じているかである。この作用は、大人、子どもにも見られ、購買の意思決定、寄付行為など様々な領域で認められる。
    ・社会的証明は、2つの条件下(不確かな状況の時、自分と似た他者がリードした時)で強い影響力を持つ。
    ・類似した他者が行っている偽りの証拠には敏感であり、自分の行動を決定する際には、その者の行動だけを決定の基礎にしてはならない。
     ○群衆から一人を分離して、助けを求めなければならない。(不確かさを減少させることに繋がる)
     ○ウェルテル効果

    第5章 好意
    ・行為を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。
    ・身体的魅力はハロー効果を生じさせ、他の特性に関する評価を高める。
    ・行為と承諾に影響する他の要因は類似性、称賛である。このほか、馴染みをもつようになること、連合が好意と結びつく要因である。
    ・防衛の有効な手段は、承諾を引き出そうとしている相手に対して過度の好意をもっていないかということについて敏感になること。申し出の内容を心の中で切り離し、申し出のメリットだけを考える。
     ○タッパ・ウェアーパーティー
     ○天気予報や車のコンパニオン
     ○ランチョン・テクニック

    第6章 権威
    ・服従に関するミルグラムの研究から、正当な権威者に従おうつする力が働き、これは体系的な社会科の訓練から生じていることが分かる。
    ・権威者に対する自動的反応は、実体ではなく、権威のシンボル(肩書き、服装、車)に反応する傾向がある。このケースにおいて、人は、自分の行動に及ぼす権威者の影響力を過小評価する。
    ・防衛法は、「この権威者は本当に専門家か」、「この専門家はどの程度誠実なのか」を問いかけること。2点目は、少し不利な情報を提供してくる人もいるので注意しなければならない。
     ○電気イスの実験
     ○ウェイトレスのこっそりお勧めの料理を教えること

    第7章 希少性
    ・人は、機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす(希少性の原理)。
    ・希少性の原理が効果を上げる理由は2つ。手に入れにくいものは、それだけ貴重なものであることが多いので、ある品や経験を入手できる可能性がその質を判定する手っ取り早い手がかりになること。ある品やサービスが手に入りにくくなるとき、私たちは自由を失うことになる(心理的リアクタンス)。
    ・心理的リアクタンスは2歳児と十代に強く現れ、制限に対して敏感になる。
    ・希少性の原理は、情報にも応用でき、ある情報へのアクセスが制限されると、人はそれを手に入れたくなり、また、それに賛同するようになる。
    ・希少性の原理は、ある品が新たに希少なものとなった場合、他人と競い合っている場合に、強く発揮される。
    ・防衛手段としては、頭にカッと血が上らないように注意すること、血が上ったら、興奮を鎮め、なぜそれが欲しいのか考えること。
     ○メッセージは、何が得られるかより、何を失うかの観点から描写する。
     ○同じ時間に車を買いたい人を呼ぶ。

    第8章 てっとり早い影響力
    ・現代は情報が溢れ、選択の幅が拡大し、知識が爆発的な勢いで増加している。人はこの変化に対応するため、意思決定の方法を単一の情報を基礎にした承諾に変えた。

  • 第1章 影響力の武器

    動物にも人間にも固定的行動パターンが備わっており、それはある決まった信号刺激によって反応する。

    例えば我々には「高価なもの=良質なもの」という固定的行動パターンが備わっている為に、「価格」という信号刺激のみによってその商品の価値を判断することで、購入に至るというものだ。



    この信号刺激は基本的には良い結果をもたらすことが多い。様々な情報の海にいる現代人にとって一つのことについて深く考えている余裕はないので、このような信号刺激での判断は重要だからである。しかもその判断は往々にして正しい場合が多い。



    ただし当然弊害もある。

    この信号刺激にばかり頼り過ぎると、本当に重要な判断を迫られたときに誤った判断を下してしまうことがあるからだ。

    その影響は本書でも紹介されている事例にもあるような「機長症候群」に代表される「権威」という信号刺激によって、盲目的に機長は優秀であるから間違えるわけはないという判断による悲劇的な事故にもつながっている。



    コントラストの原理(2番目に提示されるものと最初に提示されるものがかなり異なったものである場合に引き起こされる原理)をビジネスにおいて有効に活用するのであれば、基本的には高いものを先に提示してその後で安いものを提示することである。



    第2章 返報性

    返報性のルール・・・他人がこちらに何かしらの恩恵を施したら、自分は似たような形でそのお返しをしなくてはならないというルール。

    返報性のルールはその相手への好感度すら凌駕するほど強力である。

    お返しをしなければならないという「借り」に対しての義務感は例え相手のことをよく思っていなかったとしても拒否することが難しいのである。

    よくある無料での試供品配布などがいい例で、最初に試供品を配りその後で商品を買わせるという手法である。



    政治の世界では返報性のルールは色濃く反映されていることは、かつて議会出身でなく人脈形成をしていなかったアメリカのジミー・カーター大統領が就任後なかなか法案が通らず苦労したことからも明らかだ。

    このことを考えると2016年の大統領選で仮にドナルド・トランプが当選したとしても同じような問題が起こるのではないか?

    よくあるロビー活動や政治献金なども典型的な返報性のルールの影響が出ている。

    彼らはそれを受けた見返りに議会での投票行動を決定しているのだ。



    返報性のルールのもう一つの大きな特徴は、私たちの心が余計なお世話をされた場合でも、恩義の感情が生まれるようにできていることである。



    譲歩を受けた場合も譲歩を返さなければならないという義務感が生じる。

    これら全てに共通していることは、親切、あるいは譲歩を最初に行った人物が

    最初の親切、譲歩の性質だけではなく、お返しの性質も決定しているということである。



    第3章 コミットメントと一貫性

    ひとたび決定を下したり、ある立場を取る(コミット)すると、自分の内からも外からも、そのコミットメントと一貫した行動を取るように圧力がかかる。



    何らかの商品をクリスマスに在庫切れで買えなくしておいて、クリスマスが終わった後にまた広告を打つことによってクリスマスが終わった後に買わせることができる。

    なぜならその商品を買うことを恋人に約束【コミットメント)してしまっているからだ。

    当然クリスマス自体は別な商品を買わせている。

    このコミットメントと一貫性は最初に何らかの少額の商品を買わせてから、後から高額の商品を買わせるテクニックとして使えるが、それはある意味信頼を得たことによるとも言えるのではないだろうか。



    アメリカの大学にあるフラタニティなどに代表される集団の加入儀礼がその集団に対しての非常に強いコミットメントを引き起こすのだとすれば、それはその集団が正しいか正しくないかという判断基準ではなく、ある意味での「洗脳」と言えるのではないか。



    子供の教育についての手がかりとして、やってはいけないことを「自らの意思でやらない」と教える為にはどうすればいいのだろうか。

    明らかなのはやってはいけないことをした時に罰を与えるなどの脅しでは、一時的な効果はあってもそれは外部からの圧力によって従ったに過ぎないので、長期的にはほとんど効果はない。

    「自分の意思に反して賛同したものは、元の意見を持ち続ける」サミュエル・バトラー



    コミットメントと一貫性を利用した罠から逃れるための方法は2つあり、1つはその選択は本当に自分がやりたいことであるのかを考えること、もう1つは「今知っていることをそのままにして時間を遡ることができるとしたら、自分は同じ選択をしただろうか」と考えることである。

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