箱庭療法入門

制作 : 河合 隼雄 
  • 誠信書房
3.48
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本棚登録 : 153
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784414401172

感想・レビュー・書評

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  •  箱庭療法の紹介本。前半が簡単な理論、後半が実例いっぱい。箱庭療法について知識ゼロで読んでも、わかりやすかったです。
     50年前の本なので、随所に時代を感じます。「学校恐怖症」とか、「精神分裂病」とか、今は聞かない診断名もあるし。ADHDって、この頃まだなかったんだっけ。あと、治療薬の使用もほとんどないっぽい。

     箱庭療法は、砂の入った木箱にフィギュアを並べる作業を通じ、深層意識の一端を表に出させることで、感情の整理とか、感情を受容される安心とか、そんなものを得る治療だったり、診断みたいなものでした。
     箱は水色に塗ってあり、砂を掘り下げると湖や川の表現ができるようになっているのは、楽しそう。
     フィギュアは、野生動物、家畜、人間、囲い、家……といくつかの分類があり、何をどこに、どんなふうに置くかは自由。

     人の心の中には、闘争とか、逃走とか、回避とか、融和とか、……なんか、いろんなものが拮抗しているんだなぁと思いました。それらが自覚されずに沈み込んで、全部いっしょくたになってしまい込まれていると、もう本人にも何がなんだかわかんなくなって、おかしな方法に噴出してしまったり。
     箱庭療法することで、無意識下の攻撃性とか、葛藤観とか、自己否定感情とか、そういうのを少しだけ、出すことができる。なるほどこれがユング系。

     自分が箱庭やったら、何つくるんだろう。もう解釈の仕方を知ってしまったので、まっさらな気持ちではできないけれど。

  • 人の心の中の葛藤がビュアライズされている。インタフェースとして箱庭は完成されている。デザインポイントがしっかりしている。様々なクライエントの心の中の物語を観ているだけでも面白い。

  • 短い頁数ではあるものの、非常に密度が濃い。理論編と実践編に分けられており、理論編で河合が大方の理論を説明した後に、事例編ではそれぞれの著者が事例をつぶさに検討しており、更にそこに河合がコメント(分析)を加えていくこととなる。本著をつぶさに読んでいけば(非常に言い切ってしまっては危険なことではあるが)箱庭についての大まかな傾向はつかめることだろう。

    以下箱庭についての要点+考察。箱庭は、ローエンフェルトが開発し、世界療法の一種とされた。それは、個人の内的な世界を表現する一種の投影法的治療法といった意味合いである。それをカルフがユングの心象・象徴理論と組み合わせることで発展させ、それを河合が日本へと持ち帰ったというのが日本における箱庭の歴史である。箱庭自体は、遊戯療法と絵画療法の中間的性質を持ちうる。遊戯療法に比べればさまざまな制約を受ける(箱庭という枠に制限)される反面で、絵画よりは創造性が低いが、その分、抵抗なく実施しやすい。また、技術面に支配されることも絵画に比べれば少ないので見やすいし、遊戯に比べれば枠が固定されていることから、分析を加えやすくも在る。とはいえ、河合はテストとしてよりも、治療としての箱庭を評価しており、そのためには安易に分析に走ってはいけず解釈を押し付けてもいけないとしている。そのかわりに受容の精神を持って自由に箱庭を行わせてやる。治療者の役割は受け容れることと、解釈を通してクライエントが感じていることをある意味素のままに感じることなのだろう。河合は解釈をしてはいけないとは決して述べず、むしろ適度な解釈は必要なのだと言う。このバランスが難しいのだろうが、簡単に言ってしまえば、解釈を押し付けることなく解釈に拘泥することもなく治療者は治療者なりの解釈を不断に行っていけばよいということなのだろう。そうすれば、クライエントは自ら問題を解決してゆくとうことが本著では示されており、このあたりがロジャースにも近しい。意外とユングとロジャースって近しいものだと思われる。ちなみに、箱庭における傾向としては、まず統合性がある意味で一番の尺度である。箱庭は言うなれば心象風景であるのだから、ある程度の混乱は必至だがそれが統合されるような兆しがあれば基本的その人は健康的であると言えるのだろう(俺は混沌も好きだけれど)。ただ、心象風景というのは妄想や想像ではなくてそこには現実世界が介入しうるものである。実際に、右側には意識・自我・現実要素が入り込みやすく、左側には無意識・エゴ・空想的要素が入り込みやすいという傾向もあるものの、自我が中央に存在する場合もありその場合は中央に人間などが置かれる場合もある。ここで統合性が重要視されうるのはユングの言う個性化(自らを統合して成長していく)のプロセスを箱庭を通して実現することを目指しているからであろう。また、上下、左右に世界が分裂していることはよく見られるが、例えばそこに橋などがあったり、動物の行き来などがあれば完全に断絶しているわけでもないということがわかりそこに統合性が見受けられる。また、分裂した世界がきれいに対立していれば、そこには均衡=統合が見受けれるし、動きがあればそれはアクティブな活力としてプラスな評価を加えられる。危険なものは柵であるが、特に箱庭という枠に更に柵を与えているような場合(極度の閉鎖性)には精神分裂病などのかなり危険な状態が危惧されるし、逆に世界があまりに空虚的だったり(隅にものが一つだけだったり)、逆にあまりに無秩序すぎたり(これは自我の薄弱さの発露と考えられる)する場合も同様に治療が困難であることが予想されうるとのこと。しかし、自らの心象風景と自ら向き合い続けてゆける箱庭療法はあっている人にはかなりあっていると思える。あれこれ理論を立てているけれど、ここには「理屈じゃないんだよ?」的なナニカが働いているように思われる。

  • 高校の時、箱庭の世界に憧れて読んだ本です。
    (司書さんにお願いして購入していただいた思い出があります。)
    箱庭の世界が展開されています。

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