カウンセリングの実際問題

著者 :
  • 誠信書房
4.11
  • (27)
  • (18)
  • (18)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 298
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784414401196

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 数年ごと読むたびに発見のある本。クライエントに真剣に向き合う大切さが幾度となく説かれているが、「実際問題難しいこともあるよね」とカウンセラーとしての葛藤も認めており、ページを捲るごとに襟を正そうという気になる。この暖かさの中にある厳しさこそが、まさに河合先生のカウンセリングなのだろう。

    カウンセリングの技法を学んだけれど自信が持てない初学者、そつなくケースをこなせるようになった中で伸び悩みを感じる中級者、臨床だけではなく指導する立場になった上級者と、あらゆうカウンセリングに関わる人に勧められる良書。

  • 評価するなんて烏滸がましいんだけれども何度読んでも臨床へのモチベーションとか「やりたいこと」を思い出させてくれる本。

  • 学生時代のゼミのテキスト。基本を学び、忘れられ無い本です。

  • センシティブになっているクライエントに対して、カウンセラーが自分の心に正直に話をするべきだということが意外だった。心理学の技術などいろいろなことを習うけど、結局本音を大切に接するという対人関係の基本はカウンセリングの基本でもあるんだなと思った。何度も読み返したい。

  • これは定期的に何度も読み返したい。わかりやすい言葉で描かれてるからすらすら読めるけど、果たしてどれくらい理解できたんだろうか。カウンセリングって結局は人対人で、向き合うだけにどれくらいの覚悟が必要なのか。自分の臨床を反省せざるを得ないな

  • 院生の時点で読んで置いてほんとうに良かったと思う。自分の臨床を一度見つめ直したい。

  • 共感することが沢山ありました。かっこいいことばかり書かれている表面的な内容でなく、まさにタイトル通り「実際問題」が書かれています。
    正直、河合隼雄さんのことはそれまで知らなかったのですが、他の本も読んでみたくなりました。お亡くなりになったと言うのがとても残念です。ご存命の時にお話を聞いてみたかったです。


    この本を読んでいると『二律背反』という言葉がたくさん目に付きます。
    ものごとには表と裏の二面性があるなどとよく言われることですが、カウンセリングはその『二律背反』が多い現実の中で、微妙なバランスを取りながら行う必要があるということがよく伝わってきます。つまり、これが正解ということがないので、とても難しいというわけです。


    『二律背反』の一つの例として現実吟味ということがあります。
    人が成長するためには、まず現実をよく知るということが必要となってくるわけですが、逆に現実吟味が強すぎても適応しにくくなるということもあります。
    例えば、誰かが病気をしたといったら気の毒だと思いますが、本当に病気になった人の悩みがそのまま伝わってしまうと生きていくのは難しくなってしまうでしょう。
    つまり、本能的に自分を守るために他人の悲しみを適当に知らないような「自我防衛」の機能を持っているのです。また、『二律背反』の多い現実をすべて知ってしまうと恐くて動けなくなってしまったり、自分にとって逆にマイナスになってしまいます。そのため、本能的に自分にとって都合のよい情報だけをフィルタリングする機能を持ち合わせているのです。
    そのため、誰しも自分の自我を高めたいという気持ちがある一方で、危ないことには触れずに今のままでよいという2つの気持ちも持ってます。
    ひとつの段階の自我が次の高い次元の自我へ発展していくためには、この2つの気持ちがあるということをきちんと理解している必要があるのです。


    もう一つ『二律背反』の例をあげてみます。
    カウンセラーの態度として、『genuine』である必要があると言われてます。
    日本語訳では「純粋」とか「本当」などに訳されています。
    ただ、単に「純粋」というと誤解されることが多いようです。
    例えば、会う約束をしていたのに直前になって疲れてやめたくなったとします。
    この場合「疲れたので会いたくない」と素直に言うのが「純粋」と思われることが多いです。でも、本心は「会いたくない」という気持ちと「約束したから会わなければいけない」という気持ちの両方があるはずです。両方あるのが本心のはずなのに、一般に本心というと悪いほうを叩きつけるものだと思う人が多いです。
    この2つの気持ちを一つのハーモニーとして溶け込んだような態度が『genuine』ということです。
    (ただ、一般の社交の場では『genuine』でないことのほうが多く、実際そのほうが良いということです。これは先に書いた「自我防衛」の話と似ています。)



    他にも『二律背反』の現実が沢山書かれていますが、こういった『二律背反』の中で河合先生がいかに悩みながらカウンセリングを進めていっているということを、一章まるまる(30ページ余り)をかけて一つの事例で紹介されています。苦悩しながらカウンセリングをしている河合先生の心情がすごく伝わってきます。
    カウンセリングを行う際にはカウンセラー自身の「自己防衛」の力を弱めてやる必要があり、河合さんが「カウンセラーなんて好き好んでやるもんじゃない」と仰られるのも分かる気がします。


    この本が私の生まれる前に書かれているというのもまたびっくりしましたが、
    今なお版を重ねていっているというのは、この本が本当に良い本であるという証拠でもあるかと思います。私もこれまでいろんな本を読みましたが、自分にとってそのまとめとも思えるような本でした。
    ハードカバーのごつい本ですが、こういった部類の本としてはかなり読みやすい本だと思います。「コーチング」とか「自己実現」といったことに興味があれば手にとって見てもらえればと思います。

  • カウンセリングをするときにカウンセラーの方に生じる実際問題。
    僕にとっては、心の問題と切実に向き合うときの実際問題の、先生的な著。
    心の対話について。

  • 迷うと戻る本、のうちの1冊。

全21件中 11 - 20件を表示

河合隼雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
河合 隼雄
村上 春樹
河合 隼雄
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×