自我同一性: アイデンティティとライフ・サイクル

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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784414402469

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  •  最近、中国残留邦人の孫と知り合いになった。中国残留邦人とは、戦後「旧満州」であって中国の東北三省には日本の開拓民が多数残されたひとのことである。1972年に中日国交の国複は残留孤児、残念婦人たちの帰国のきっかけとなった。私の友達の両親が中国人、家で中国語を話しており、もともと日本で生まれ育っているという状況で、自分が日本人か中国人かと友人に聞かれると、彼は家で中国人、外で日本人と答えた。そして、アイデンティティのことを説明した<自我同一性>この本を読みたいと思った。
     自己アイデンティティについて、「内的な斉一性と連続性を維持する個人の能力が他者に映る自己の意味の斉一性と連続性と合致するという確信である」確信というと、内的な不変性と連続性を維持する各個人の能力が、他者に対する自己の意味の不変性と連続性との合致する経験から生まれた自信は、「たしかな未来に向かっての有効な歩みを今自分は学びつつあるという確信」つまり、自分が理解している社会的現実にはっきりと位置づけられるようなパーソナリティを自分は発達させつつあるという確信である。
     この本の筆者Eriksonと言われている。エリク・H・エリクソンはアメリカ合衆国の発達心理学者で、精神分析家。「アイデンティティ」の概念、エリクソンの心理社会的発達理論を提唱し、米国で最も影響力のあった精神分析家の一人とされる。訳者小此木啓吾はフロイト研究や家族精神医学の分野では本邦の第一人者である。著書はいずれも平易な記述であり、難解な精神分析理論を専門家のみならず広く一般に紹介した功績は大きい。
     過去30年前後、特にアジア地域の域内において、国境を超えた結婚をするための結婚移民は急増している。多文化背景を持って子どもたちは将来の日本にとって貴重な人材になる。また、それぞれ繋がりを持つ日本と国々との国際交流、コミュニケーションを実現する貴重な架け橋になりうるのである。日本で生まれ育った子どもたちが日本人ではない自分、或は日本人であるのに周りと違う自分の状況をどのように認識しており、どのような過程を経て自分のオリジナル、個性を受け入れることができるのか。中国残留邦人の後代だけでなく、在日外国人児童にとって、自分の内部的アイデンティティと確立することは重要な課題と考える。

     自我同一性―アイデンティティとライフ・サイクル (1973年) エリク・H.エリクソン(著者),小此木啓吾(訳者)

     誠信書房 4000円

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