- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784415087498
作品紹介・あらすじ
この広い東京で、なぜめぐり逢ってしまったのか。もし出会わなければ、それぞれに別の人生があったはずなのに…。妻との平凡な幸せそうな日常が約束されていながら二代目社長高島は暗い過去がある美青年渉とのひと時のために、家庭を会社を自分のすべてを失っても運命の愛に賭け支え合って生きるのだ。
感想・レビュー・書評
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寿たらこ先生の挿絵目当てで手に入れました。文庫サイズのはずなのに、既成の文庫カバーには入らないというやや大きい文庫サイズ。
徹頭徹尾、シリアスでした。
はじめの1ページ目から閉塞感と寂寥感、それに急き立てられるような熱を感じさせる文章はすごいなと思いました。
攻の高島の目線で話は進んでいき、地の文も高島の一人称なので、高島以外の人間がなにを考えているかは最後までわからないままです。受の渉くん以外にもたくさんの人間が関わってきますが、彼らがどこまで高島のことを理解し、許しているかは不明。それがもどかしくもあり、リアルです。
高島と渉が出会って、お互いに運命的な惹かれ方をするところは好きだったのですが、だんだんと同じことばかりを言い続ける二人に辟易としてしまって。
当て馬にしては豪華な扱いを受けた、高島の妻の朝子のほうがよほど喜怒哀楽がはっきりとしていたかもしれません。
高島が渉を好きなのは、ほぼ毎ページ、好きだ、愛してる、会いたい、と呟く高島から伝わってくるのですが、渉が情事のたびにだめです、いや、痛いといいつつ流されまくって、しかもそこまで快感を得ているようにも思えない描写にもやもやが募りました。
ただ、たらこ先生の耽美なイラストは最高でした。まさかの弁護士イラストまであって、絵柄だけで見ると弁護士の黒川が一番好みでした…。
特に感動したのは、妻の朝子が取り乱すイラスト。涙と、彼女がつけているクロスのネックレスと、あえてワンピースの下の女性的なボディラインを描いたところに、たらこ先生のセンスと才能が光ります。あのイラストだけで小説が書けそうな、奥行きを感じさせました。詳細をみるコメント0件をすべて表示