ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ ポップカルチャーで読み解く世界の名画

  • 誠文堂新光社 (2017年5月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784416516409

作品紹介・あらすじ

「興味はあるけど、アートってハードルが高いよね」
そう思っていらっしゃる方は多いと思います。
しかも、美術史はほぼそのまま世界史と同じ。
長大ですし、「印象派」や「フォービスム」など流派の名前も膨大です。
ですから、各流派の名前は聞いたことがあっても、具体的にどんな絵なのか? 
なぜその流派が発生し、廃れたのか?
まで把握している方は少ないのではないでしょうか。
しかし、知らないままではアートに対して抱えているコンプレックスは消えません!

そこで本書の登場です。
本書では、過去から現代にかけて西洋絵画の世界で何が起きたかを俯瞰していただけるよう、
「空想の美術館」を本の中に作りだします。
そして、当館のガイドであるアートテラーのとに~さんと一緒に各部屋を回りながら、
「ムンクとセットで語られる『表現主義』って何?」
といった疑問に答えてもらうQ&A式の構成になっています。

芸人のとに~さんですから、解説も非常に親しみやすく、わかりやすいものになっています。
その大半は、マンガや映画、アイドルやテレビ番組といった親しみやすいポップカルチャーです。
これなら、アートに関する予備知識はほぼ必要ありません。

本書は、西洋絵画史の流れがわかるようルネサンス以前から19世紀美術、
そして多様性を帯びた20世紀美術までをご紹介していきます。

とに~さんはご自身の職業「アートテラー」のことを、楔を打つ仕事だとおっしゃっていますが、
まさに本書が「へぇ、この作家ってこんな背景があったのか。親しみやすい人だな」
「そんな理由で描かれた絵なんだ。実物を見てみたい!」と
読み手の心に楔を打ち込む内容になっています。

感想・レビュー・書評

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  • ◆きっかけ
    「美術館」でググってAmazonでチェックして。2017/6/11

  • 17世紀の絵画を前に「僕らは当時の人達にとっての未来を生きています」‥目から鱗の内容が盛りだくさんで、読み終わると世界が広かったような感覚になります。

    「○○の部屋」と冠した章が並び、Q&Aの形で美術史、その時に描かれた絵画を説明されています。語り口調は柔らかで、専門用語は脚注があり、丁寧。軽く読み流しても楽しめるし、参考書として使うこともできるのかな。

    文章の上手さなのだと思うのですが、ひとつひとつの章がもっと知りたいと思わせる結びで、楽しみが広がります。全てを書き切らず、誘導するような感じは、まさに「テラー」、美術館に行く前に読み返したくなります。

    コラムの、形で書かれているザ・ドリフターズとアートの関係やアートとお金の話も大変興味深かったです。

  • 西洋美術史の時代に沿って、質問に対して回答し、その時代の代表画家、表現方法を、現代のポップカルチャーを引用しながらガイドのように解説していくというスタイルの一冊。

    なかなかわかりやすく、面白かった。
    芸人さんならではのツッコミも随所に入れつつ。(作者は本来は芸人さんとのこと。)

    読書メモ

    ・14世紀 ルネサンス・・・イタリアのボッティチェリ、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、ティツィアーノ。

    ・16世紀 マリエリスム・・・ギリシャのエルグレゴ。

    ・バロック・・・ドラマチックな構図と演出が流行に。イタリアのカラヴァッジョ、スペインのベラスケス、オランダのレンブラント、フェルメール、ドイツのルーベンス。

    ・ロココ・・・フランス。繊細で装飾的な様式が流行に。「ぶらんこ」を描いたフラゴナールくらいで、あまり有名な画家はいない。

    ・ロマン主義・・・「裸のマハ」で有名なスペインのゴヤ、(エルグレコ、ベラスケス、ゴヤ、ダリ、ピカソ、など、100年に一度くらい天才が現れる、と作者は述べている。面白い着眼点)フランス革命をテーマに描いたドラクロワ、産業革命初の風景画家と言われたイギリスのターナー。

    ・18世紀末 新古典主義・・・「泉」を描いたフランスのアングル。

    ・1850年頃 フランス写実主義・・・初めて個展を開いた画家クールベ。テクニックだけでなく、産業革命後、支配階級と労働者の格差が明確に。現実の貧しさや悲惨さをありのままに描いた。

    ・バルビゾン派・・・風景画で有名。100名ほどいた。ミレー、コロー、ルソーなど。冬になると寒いため、みんなパリへ帰った。

    ・印象派、後期印象派、新印象派・・・初めてグループ展を開いたのが印象派。(ここで、サロンは今で言うM-1グランプリ、と作者はたとえている。なるほど!)
    印象派女性画家モリゾ(朝ドラっぽい人物と述べている。これも納得。モリゾヒロインの朝ドラ、普通に見たい。)を始め、女性画家は少ないが存在はした。17世紀、カラヴァッジョのフォロワーと言われたジェンティレスキ、ロココのルブランなど。

    ・ラファエル前派・・・「オフィーリア」を描いたイギリスのミレイ。

    ・ナビ派の後の19世紀 アール・ヌーヴォー・・・フランス、ベルギーで流行。ルネラリック、エミールガレなど。チェコのミュシャなど。
    ロココとの違いは、曲線を使いつつ、怪しいもの、退廃的なモノ(虫やキノコなど、グロテスクなモノ)が受け入れられるようになったこと。

    ・20世紀前半 アールデコ・・・デコラティブで直線的、幾何学的なもの。NYのエンパイアステートビルが有名。
    自動車、飛行機が市民の生活に入り込み、照明がガスから電気になるなど、庶民の生活の変化が現れ始めた頃。

    ・世紀末芸術・・・オーストリアのクリムト。

    ・素朴派・・・フランスのルソー。50歳で画家に転向したという。(ヘタウマと言われている。原田マハさんは好きと言っているが、私は個人的にはまだ魅力を掴み切れていない。)
     
    ・フォービズム・・・野獣派。フランスのマティス。

    ・キュビズム・・・ピカソ、ブラック。この頃から絵が難解になっていく。

    ・20世紀初頭 抽象主義・・・オランダのモンドリアン、ロシアのカンディンスキー。

    ・20世紀前半 エコール・ド・パリ・・・世界各国から夢見る若者がやって来てボヘミアン的な生活をした一派。
    藤田嗣治、ロシアのシャガール(毒舌。6歳年上のピカソとも仲悪かったらしい)、ポーランドのキスリング、ピカソやダリ。
    (作者はエコールドパリをトキワ荘に例えている。うん。これも分かりやすい)

    ・ロートレック・・・世紀末芸術、エコール・ド・パリどちらとも言える人物。
    私の中で、初めてアートをデザインに発展させた人物だという認識。彼が美術史の上で特別視される意味が少しずつ分かってきた。

    ・ダダイズム・・・フランスのデュシャン。(彼の芸術も高度だ。私はまだ理解出来ない)

    ・シュルレアリスム・・・超現実主義。「無意識下」を描いた派閥。スペインのミロ、ドイツのエルンスト、ベルギーのマグリット、スペインのダリ。
    不思議で、つい、何かドラマが潜まれているのでは無いかとじっくり見てしまう絵が特徴ですね。

    ・表現主義・・・ノルウェーのムンク。

    ・アクションペインティング・・・アメリカのジャクソンポロック。

    ・アメリカンポップアート・・・ウォーホル、リキテンシュタイン。

    時代背景や、文明の発展などによって、その時の美術の流行も変遷していくということが理解できた。
    西洋美術。まだまだ奥が深いな❗️

  • 先日行った富山県立美術館で購入した「西洋美術の流れがラクラク頭に入る美術館へ」読了。
    とに〜さんの美術館でのキュレーションが面白くて買ってみたけど、本もめちゃくちゃ面白くて大満足!

    美術史の大きな流れと、アーティストにまつわる小ネタがバランスよく盛り込まれていて、読み応えのある一冊でした。

  • 芸術って、ほんとに何でも思ったままでいいんだー、って思わせてくれる。
    そして、色々な絵を見たくなる。そういう意味で素晴らしい。
    あと、解説されている絵の一部しか載ってないから、スマホでいちいち調べて見たくなるのね。面倒くさいんだけど、そこまでして見たい、と思わせるところがまたいいのかな?とも思う。

  • 全くもって知らない芸人さん?ですが、
    この本、なかなか引き込まれましたね。
    とに~?さん? はい、やっぱり知らない。

    解説もあちこちに見られる「現代だったら・・・」という譬えも納得しますね。
    他の解説本にはない話で、私みたいな素人が読んで面白かったです。

    ただ結構残念なのが、表紙デザインとタイトル。
    ぜんぜん魅力感じないなあ。
    美術関係のコーナーになかったら、この本を手に取らなかったかも。
    私が彼を知らないせいなのかもしれませんが。

  • 美術史の流れって複雑ですが、とても分かりやすく解説されてます! 歴史の流れを理解できたら、もっと絵を見るのが楽しくなりそう。

  • それぞれの時代に好きな画家を
    ピンポイントで知っていても
    絵画の流れを理解するのが
    大変なんですよね
    そこを たとえばマンガやアニメ
    お笑いなんかに例えて
    分かりやすく解説してくれます

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著者プロフィール

とに~

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら、趣味で続けていたアートブログが人気となり、
独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」に転向。
現在は、美術館での講演やアートツアーの企画をはじめ、
雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など幅広く活動している。
著書に『東京のレトロ美術館』(エクスナレッジ)『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社)『こども国宝びっくりずかん』(小学館)がある。

「2021年 『名画たちのホンネ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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