これ、なんで劇場公開しなかったんですか? スクリプトドクターが教える未公開映画の愉しみ方

  • 誠文堂新光社 (2017年3月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784416517222

作品紹介・あらすじ

世の中には「このままではなかったことにされてしまうかもしれない映画」があります。
それが「劇場未公開映画」。

毎月、レンタルショップには何十本というDVD作品が入荷され、
話題作以外、特に劇場公開されなかった作品は、
そのまま誰の目にも触れないまま棚の隅に追いやられ、最後には廃棄、
またはレンタル落ちとしてワゴンセールされてしまうのが現状。
しかし、そんな中にも、「面白い」作品は数多くあるのです。

本書では、そんな劇場未公開作品をとりあげ、それが「いかに面白いのか」を解説。
レンタルショップで埋もれてしまうにはあまりにももったいない「掘り出しもの」を、
「どこが」「なぜ」良いのか、映画監督にして脚本家、
そしてスクリプトドクターとしても現在活躍中の著者が、
アカデミックかつユーモラスに徹底紹介。
B級作品から文芸作品まで、劇場未公開映画の愉しみ方を伝授します。

あなたの「生涯の一本」は、劇場未公開映画にあるかもしれない!

※本書は「よみもの.com」にて連載した内容に加筆、修正を加えたものです。

感想・レビュー・書評

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  • スルーされるにはもったいない未公開作品を紹介

    技法や背景、意味を解説するのではなく、人間の心の機微を軸に作品を紹介していくスタイルは作品をとても魅力的に魅せてくれた。

    だれか、三宅監督に映画紹介番組をもたせて!

  • 映画はもちろん好きですし、B級や隠れた名作がとくに好きなので共感できる内容が多かった。

    ・映画へのハードルが低くなり、簡単に観れてしまうので、幸福度が下がった。という記述。
    この気持ちはとてもわかる。だから、今でも掘り出し物を見つけた方が楽しい。誰よりも早く観て,レビュー上がる前に観たい。

    ・スラッシャー映画の登場人物たちはあえて記号化されている、というのは分かりやすかった。感情移入させずにエンタメを楽しませる、これもまた映画の醍醐味だと思う。

  • 紹介されている作品が面白そうなのは勿論だけど、その紹介の語り口がロジカルで、読み物として面白い。

    本書で紹介されている作品の中では、僕は『ファイナルガールズ』は観た。あと『NINJA』は観てないけど、続編の『ニンジャ・アヴェンジャーズ』は観た。どっちも面白かった。

    こういう本を読むと、ウォッチリストに追加される作品が増える。

  • 映画や登場人物に対する眼差しの誠実さ、あたたかさが伝わってきてよかった。普段あまり食指が伸びないようなストーリーにも挑戦したくなった。

  • 男性神話と女性神話

    男性神話とは「少年が大人になるための冒険譚」
    例えば、平和な村に住んでいた少年が、何らかのきっかけで村を出て、旅を始めます。道中、少年は様々な苦難を経験しながら(便宜上の死と再生を繰り返しながら)、自分の実力を高め、自信を身につけ、最終的には自らの選択と努力を持って、何らかの勝利を掴み取ります。旅を終えた少年は村に帰りますが、そのときすでに彼はかつての少年ではなく、勇者へと成長している。この流れが典型的な「男性神話」の軌道。
    一見すると、いわゆる「剣と魔法の物語」にのみ適用可能な構造のようですが、実は「現代社会における人間の成長過程」と同質の構造。
    若者が親に守られてきた生活を捨て(つまり、実家を出て)、社会に飛び出し(就職し、一人暮らしを始めて、自ら家賃を支払い)、「その道」の師に鍛えられ(会社の上司や得意先のひとたちに揉まれ)、志を共にする仲間と出会い、彼らと切磋琢磨を繰り返しながら(同僚たちと数々のプロジェクトを成立させ)、自らの選択で「社会的地位」を築いていく
    他社との関わりを学ぶことで、モラトリアムで利己的だった視点から、誰かの役に立てるようにと利他的な視点を持った人元に変わっていくのが「社会的成長」の根源であることを考えると、男性神話=社会的自立の物語と同一であることがわかると思う

    かたや女性神話は「承認欲求」の物語
    典型的な女性神話の主人公は、親に定められた生き方(古い世界)に依存することで身の安全を確保できている反面、内心では抑圧され、自分らしさ(ありのままの姿)との狭間で苦しんでいます。そんな主人公が「親の目の届かない外世界」の住人から何らかのきっかけをもらうことで(相手から見初められたり、主人公の側から相手に好意を抱いたりすることで)、実は元々、自らの内側に存在していた「輝きの種」に気づきます。このことは「承認欲求のくすぐり」にあたります。主人公は「新たな世界」に魅了されつつ(ありのままの自分を認めてもらったことに歓喜しつつ)、なかなか「古い世界」との決別を果たすことができません。自らの輝きを自覚しつつも、それを信じきる覚悟がなく、失敗するのが怖いからです。しかし、それでは「自分自身の問題」と直面することはできませんし、事態を根本から解決することもできません。
    社会と自分との関係性のバランスを保つため、主人公が「ふたつの世界」を行き来しているうちに、いつしか必ず破綻が訪れます。どちらかの世界の住人として生きていく覚悟が問われる日がやってくるのです。具体的には、「新しい世界で、リスクはあるかもしれないが、ありのままの自分として生きるのか」それとも「古い世界で、安全ではあるものの抑圧された<親に決められた人生>を辿るのか」を選択しなければなるのです。この大きなリスクを伴う選択をする瞬間が、女性神話のクライマックスにあたります。多くの場合、女性神話は「おとぎ話」に応用されている構造なので、幼いろに童話や絵本で読まれたことがあるかと思います
    「シンデレラ」などは女性神話の典型ですし、最近では「アナと雪の女王」なども女性神話の応用です

    ハイ・コンセプト
    ハリウッド製娯楽映画のような「2行であらすじが言えるような企画」

    ソフトストーリー 
    ヨーロッパ映画

  • タイトルが気になって手に取った本ですが期待以上の面白さでした。
    未公開映画と言うと低予算と全然知らない俳優に
    ショボい演出、やっつけな感じの終わらせ方
    というイメージを勝手に持ってしまっていたのですが
    この本で紹介されている映画はどれも見てみたくなりました。

    そもそも著者のどんな映画でも楽しもうとするスタンスや
    映画の楽しみ方、ストーリーの組み立て方の説明など分かりやすく
    今まで単純に映画を見て偉そうにあーでもないこーでもないと
    文句を言っていたのが恥ずかしくなりました。

    今回は未公開映画の紹介でしたが普通に公開映画の紹介も見たいなぁと思いました。

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著者プロフィール

脚本家・映画監督・スクリプトドクター・心理カウンセラー。
主な作品に、映画『ホワイトリリー』『劇場霊』『クロユリ団地』『七つまでは神のうち』『呪怨 白い老女』、テレビドラマ『デッドストック~未知への挑戦~』『ほんとにあった怖い話』『世にも奇妙な物語』など多数。
著書に『スクリプトドクターの脚本教室・初級篇』『スクリプトドクターの脚本教室・中級篇』(新書館)、『これ、なんで劇場公開しなかったんですか? ~スクリプトドクターが教える未公開映画の愉しみ方~』(誠文堂新光社)などがある。
日本では数少ない「スクリプトドクター」として、国内外の映画企画に多数参加。東京藝術大学大学院や各種大学、シナリオ学校などで講師も務める。

「2017年 『スクリプトドクターのプレゼンテーション術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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