マンガでわかる日本料理の常識 日本の食文化の原点となぜ? がひと目でわかる

  • 誠文堂新光社 (2021年4月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784416520864

作品紹介・あらすじ

麹菌は世界最古のバイオ? 口づけ器は日本だけ? 台所の語源は?
日本の自然・風土や民俗、科学、歴史の視点で、食文化の原点から日本料理をひもとき、なぜ? という疑問にマンガやイラストも交えて解説します。
日本料理に関わる人、根拠や背景を知りたい人、日本の食文化について知りたい人、必見の書籍です。

いま、世界中で日本料理が注目されています。
そうした状況に対し、日本料理人、そして私たち日本人は、日本料理の歴史や文化について十分に知っているといえるでしょうか。

本書は、日本料理を、日本の風土や民俗、科学、歴史の視点から、ときに欧米との比較を交えて紹介します。
本を読むのが苦手という若い方たちでも楽しく読み進められるように、マンガやイラストを盛り込み、3人の登場人物(親方、親方の下で日本料理の修行をするフランス人・エマ、親方の孫で日本料理人志望の男子高校生・学)が案内する形式にしています。

1章では、まず、日本の風土が日本の食文化を決定づけたことに注目します。
アジアモンスーンに位置することが稲作を可能にしたこと。
雨量が多く山がちな国土だからきれいな水が豊富で、それが生食を可能にし、繊細なだしの文化を生んだこと。
そして森林資源に恵まれ漆があったことが、器を手に持って口づける食べ方が定着したこと。
四方を海で囲まれ、生で食べられる魚に恵まれたこと。
「神饌」や「包丁」の節では、神道や穢れといった日本人の精神性が食文化に色濃く影響していることを探ります。
「発酵」や「うま味」では、長らく肉食を禁忌してきた先人が、いかにおいしさを求めて工夫を重ね、20世紀初頭に「うま味」を発見したかを追います。

2章では、日本の饗応料理の歴史をたどります。
おかずや台所の語源、食前に「いただきます」と手を合わせる習慣、結婚式の三々九度や、食い切りの形など、現在の私たちの生活に残る痕跡から、各時代の料理の様式を学びます。

3章では、1章、2章で学んだ知識をもとに、いざ、実践!
監修者の長島博先生の手による会席料理を美しい写真とともに紹介。
会席料理をいただく際のポイントや器の基礎知識についても学びます。
続くマナー編では、料亭などへ行った際に役立つ部屋の造りの基礎知識や、食事をする際に間違いやすい事柄をクイズ形式で紹介します。

近年、気候変動や食糧問題、環境問題などさまざまな問題が叫ばれています。
エピローグでは、国連が2030年までの世界の目標として掲げた「持続可能な目標(SDGs)」に触れ、日本料理人をめざす若者たちへのメッセージで締めくくります。

本書が、日本料理人を目指す若い人たちが日本の食文化の伝承をになう一助となること、そして、すべての食べ手がよりよく食べるための一助となることを願っています。

■目次抜粋
第1章 日本料理を形づくる8つの柱
第2章 日本の饗応料理とすしの歴史
第3章 饗応の実践
エピローグ

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感想・レビュー・書評

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  • おもしろい
    各章見開きでマンガ 次ページより数ページで解説。文字びっしりではなくて見開き半分は絵の説明がある。
    主人公、学がが料理人の祖父に料理を教わるストーリー。祖父の店で修行中のフランス人エマも参加し、フランス料理と比較するところも面白い。
    第1章、日本料理を形づける8本柱 米・水・木・魚・神饌(しんせん)・包丁・発酵・うま味
    第2章、料理の歴史とすしの歴史
    第3章 饗応(会席料理)の実践。盛り付けから部屋のあつらえまで
    料理の形式
    大饗料理 平安時代より。貴族、皇族対象。儀式のための料理で人や紙にいかに美しく”見せる”かにこだわる。日本料理の特徴の元になっている。品数が多く、見た目華やか。自分で調味につけて食べるスタイル。おいしくいただくより目で楽しむ料理。台所、おかずの語源もこの料理より生まれている。おかずは漢字で「お数」。大饗料理は副菜の数が多いいことがごちそうと考えられていた。副菜を「かずもの」と読んでいて、これに「お」がついた。台所は料理が並べられた「大盤」と呼ばれた長方形のテーブルより。
    本膳料理 
    室町時代で成立。武家対象の饗応料理。儀礼的なものに、l精進料理の調理技術を足してできた。日本料理の形式の基礎となる。1汁3菜、ご飯は左、汁は右、昆布とかつお節のくみ合わせなど。1人1人ごとにお膳(銘銘膳)を置き、複数並べておかずを並べた。奇数の料理が出されるようになる。(ちゅいうごくは偶数を重んじる。日本は従来奇数だった)匙を使わず箸で食事するよになった。
    。宴会の形式「式三献」。酒とさかな(酒を飲むときに付け合せる小料理)、大中小3枚の杯をいただき、膳を下げる(1献)これを3回(3献))、計9杯酒をすすめる。三三九度はこれが起源。ご飯を先に食べ、酒を飲む。各膳には必ず汁物がついた。1膳目はご飯のため、23膳目は酒を飲むために吸い物。酒よりも食事がメインだったことに留意。
    江戸時代後期には簡略化され、冠婚葬祭の偽冷食として引き継がれる。昭和初期には婚礼疲労の食事として本膳料理が出されることも。
    この箇所で、包丁人の活躍が書かれている。複数の派があり、料理数、次席、食材の切り方、見せ方ルールが多く、秘伝や奥義をとして伝えられた。
    このルール、上流知識人しかわからなかったとある。膳を前にして、上流知識人どうしが並んだ時、料理に関する話をしたんだろうか?すごい知識量だなと。やはり成熟社会では勉強が重要なんだなと思った。


    懐石料理 安土桃山時代より。文化人対象。茶の湯がの発展とともに、本膳領地と精進料理が合体、精神性を重視、洗練されたのが会席料理。暖かい料理を時系列で出すようになる。品数少なく、見た目質素。千利休がお茶を喫する前に軽い食事を考案。1汁5菜から1汁3菜へ。飯と汁に向付、煮物、焼き物、で三菜。向付(むこうつけ)とは飯汁の奥に置くもの。飯汁の次に1番目に箸をつけるもの。
    利休の時代は懐石料理。江戸時代後期には町民にも広がりこちらを会席料理として漢字を変更。別物とする。懐石の語源はググってくれ。

    会席料理 江戸時代より。都市経済が発展。高級な料理店ができ、お金を払えば誰でもおいしい料理が食べられるように。ここで提供されたもの。ご飯と酒の順番が逆となり、酒盛りの後にご飯となる。料理屋で酒を飲み、歓談で味わう。今に続く流れとなる。

    江戸時代参勤交代などの影響で一人暮らしの男性がとても多かった。移動式屋台が出始め人気となる。すし、ウナギのかば焼き、天ぷら、そばが人気。酢、みりん、しょうゆが普及した。
    関東でみりんが本格的につくられる。そばがきからそば切りの食べ方が考案された。醤油の原料は大麦から小麦へ味が向上する。時代初期では上方の醤油が主だったが、後期には関西薄口、関東濃口が主流となる。1日2食から3色へ。初物信仰(初物食べて75日元気)大食い大会。食通の誕生。



    精進料理 仏教の戒律を元に、肉魚を使わず植物性の食品だけで作る料理。従来の茹でる、焼くにプラスして、煮る、和える、揚げるなどの方法がプラスされ大きく進歩した。煮るは調理の過程で味を追加するのは大饗料理と比べて大きな特異点をなった。和えるものは禅僧により宋から伝わったすり鉢、すりこぎが伝わり一般的になった。


    244道元禅師が「典坐教訓」にて精進料理を体系的にまとめる
    1645隠元禅師が中国より帰国し普茶料理を伝える

    関西コンブだし、関東カツオだし。
    昆布ロード
    室町時代まで 蝦夷地で収穫→日本海経由敦賀へ。陸翔から琵琶湖水運で京都や大阪へ。江戸時代敦賀から日本海を下り、下関へ。瀬戸内海を通り大阪へ。この西回り航路を昆布ロードとよんだ。①大阪へ運ばれた昆布は上質な物から売れていき、売れ残りが関東に運ばれたため、関西ほど昆布だしが発達しなかった。
    かつお節
    757年の書籍に前進の堅魚、煮堅魚(干しかつお、かつをを煮て干したもの)。がある。
    江戸時代中期 かつおを燻し水分を抜く燻乾法が開発、荒節に近い熊野節となる。(それまで比熱で乾燥させていた)。
    1700年カビ付の技法が開発され、明治初年に3番カビ付m明治40年代に4-6番のカビ付をして本枯節が誕生する。
    海外との出汁の違いは、海外は何時間を煮込むことで食材の最大の成分を引き出す。日本の出汁は、乾物を用いてごく短時間で必要な成分を取り出す。長時間の時間をかけて熟成させた乾物自体に生ではない複雑な成分が多く含まれてくる。出汁の味をほかの食材に移したり浸透させたりすることも日本の出汁特有。
    水 
    軟水 地形が急峻で火山性の地層を通りるため(火成岩質)。ご飯を炊くとふっくらして粘りのある味わいに。
    硬水 地層をゆっくり移動しミネラルを吸収するため(石灰岩質)。出汁をとるとミネラルの作用であくがでる。。ご飯を硬水で炊くとパエリアのようなパラッとした仕上がりになる(これはジャポニカ米でもいえることだろうか?)肉の煮込みによい。

    漆器 
    漆は使うほどに色艶がでる。漆器の完成後も塗膜の中の酵素が生き続け漆の硬化作用が進む。固まった漆は酸やアルカリなど化学物質に強く、耐水性、防腐性に優れる。平安時代初期に貴族中心だったが、後期には一般人も使用するようになる。江戸時代には現在の漆の産地が誕生した。江戸時代中期には磁気が普及し始めるが後期までは汁ご飯椀は漆器だったらしい。

    3大食法
    手食40% ヒンズー教、イスラム教。インディカ米、いも、果物など
    箸食30パーセント 仏教、儒教。ジャポニカ米、麺
    ナイフフォーク・スプーン30% キリスト教。パン肉類。
    箸食でもすべて箸を使うのは日本だけ。器を持ち上げ口につける文化は日本独自で、漆により器が熱くならないことも関係しているらしい。


    黒潮 南から上がってくる太平洋側の海流。上から見ると青黒いらしい。赤道から莫大な熱エネルギーを運んでくる。
    親潮 北から降りてくる太平洋側の海流。黒潮に比べて弱いが深いところまで流れがあり魚のえさとなるプランクトンが多い。たくさんの魚を育てるので親潮と言われる。
    親潮・黒潮の合流地点は三陸沖。世界三大漁場の一つ。(他3大漁場 ノルウェー沖、カナダ・ニューファンドランド島沖(グランドバンク))

  • 日本料理を成立させる骨子、歴史・背景、考え方、果ては器や会席上の設えまで、知っているようで知らなかった知識を楽しいマンガと一緒に教えてもらえる。

    著者が日本料理の巨匠という事で、学者が書いた精密さを重要視するよりも実際に日本料理を受け継ぐ現場で重要と思われる本質的な所を紹介してくれているのが良くわかる。
     
    日本の食文化を改めて勉強したいなと数冊読んだが、本書が一番わかりやすく頭にも残る印象。

    題目は

    1. 日本料理を形作る8つの柱
     米、水、木、魚、神饌、包丁、発酵、旨味

    特に包丁をただの調理器具と見るのでなく、神道と結びついて宗教的な儀式の意味合いが強かったのは意外。
    それにより包丁を扱う人物は高貴な人物とされ、日本料理では割(包丁)烹(煮る)という順番で切るという調理法が最上位とされた。
    だから高いお弁当には必ず刺身が入っているのね。

    2. 日本の饗応料理とすしの歴史
     平安時代 ⇒ 大饗料理
     鎌倉時代 ⇒ 精進料理
     室町時代 ⇒ 本膳料理
     安土桃山 ⇒ 懐石料理
     江戸時代 ⇒ 会席料理 

    家庭でも外国人観光客にも人気な握り寿司、天ぷら、ざるそばなどはいづれも江戸時代にいわゆるファストフードとして発達したもので、歴史ある日本料理の伝統とはちょっと違う系統というのは覚えておいた方が良いだろう。

    3.饗応の実践 (現代の会席料理)
     先付
     お椀
     造り
     焼物
     煮物
     蒸物
     酢の物
     食事・止椀・香の物
     水菓子

    これは写真付きで料理を紹介するが、見ていて惚れ惚れする。ちなみに自分で作ろうという意思は打ち砕かれる。

  • 383/マ/

  • 【学内】
    https://mol.medicalonline.jp/library/ebooks/detail/?id=8842

    【学外】スマートフォン・タブレット
    MyLOFTアプリ > おすすめ電子ブックから利用
    【学外】パソコン
    eリソースコネクト(MyLOFT)へログインし、上記URLにアクセス
    ◆ログイン
    https://app.myloft.xyz/user/login?institute=cmcbjubjq0a62ldhkbp7cxuvy

  • 日本の料理についての特徴や略歴をわかりやすくまとめている

    マンガというより、イラストや写真などが多くて見やすい。
    日本人として知っておくべきとも思える内容を簡潔にまとめている。
    科学博物館の「和食」展に似た感じで、それよりも詳しい。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1382717

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/761672

  • テーブルコーディネートや料理が好きなのですが、テーブルコーディネートの先生から「和食はルールが複雑なので、展示の際は必ず調べてください」と言われています。
    複雑なコーディネートでなくても普段から迷うことも多く、日本料理は奥が深いなと思っていたところで本書を見つけました。
    タイトルはマンガでわかるとありますが、文章多めです。

    マナーや約束事の他、食文化の歴史なども知ることが出来て面白かったです。
    特に海外との文化の違いを興味深く読みました。
    例えば、口の中で複数の食べ物を混ぜ合わせ、自分好みの味を作りながら食べる「口中調味」。
    日本人はご飯を口に入れ少し噛んでからおかずを口に入れて味わうことを普通としていますがそういう文化はあまりないそうです。
    確かに海鮮丼はかき混ぜないけど、ビビンバは混ぜてから食べるね!

    他にも、宣教師が見た日本の食文化、として挙げられた一つに「我々は食事と同時に酒を飲むが日本人は食後に酒宴が始まる。また、我々は話しながら食事をするが歌ったり踊ったりはしない、日本人は黙って食事をするが、食べ終わった後に歌ったり踊ったりする。」「ヨーロッパでは普通女性が食事を作るが、日本人は男性がそれを作る。そして彼らは料理のために厨房に行くこと立派なことだと思っている」などと書かれていたそうで、なるほどねと。

    文化の違いのほかにも、関西は昆布だし、関東はかつおだしが主流になった理由の一つに、もちろん航路の都合もあったのだけれど、関西の水は軟水で昆布だしをひくのに適しているのに対して、関東の水は関東ローム層の影響で昆布だしのうまみ成分が溶けにくい性質だそうで、関東では濃いだしがとれるカツオが主流になったそう。

    あと覚えておきたいなと思ったのは盛り付け方の基本で、丸い器には角型に作られた料理を、角型の器には丸く作られた料理を盛り付けるといいそうです。丸い椀物(みそ汁)の具は角ばった要素にするとか、お造りは丸い器に盛るというのがお約束なんだって。

    和食って奥が深いね!勉強になりました。

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