知られざる縄文ライフ: え?貝塚ってゴミ捨て場じゃなかったんですか!?
- 誠文堂新光社 (2017年3月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784416716168
作品紹介・あらすじ
現代を生きる私たちにとって、誰もが知っているようであまり知らない、縄文時代。
この本は研究から見えてきた縄文を、小難しいことを抜きにしてザックリ知るための縄文入門です。
縄文時代ってどんな時代だったのでしょう?
1万年というとてつもなく長い年月の中、縄文人たちはどのように暮らしていたのでしょうか?
ご飯は? トイレは? 服はどんなものだった??
そんな身近な疑問をヒントにすれば、意外と知らなかった縄文時代をノゾキ見するための手掛かりがきっと見つかるはず。
遥か遠い昔にこの日本列島に暮らした縄文人の暮らしに思いを馳せてみませんか?
感想・レビュー・書評
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◯絵がとても可愛くて、文章も読みやすい、縄文時代入門の本。
◯ただ土偶の写真は前回読んだ本よりも大きく掲載されており、実物を想像しやすくてとても良い。
◯この本は高校生くらいを対象にしていそうな感じはあるけれども、自分のような学生の頃に歴史で勉強した、くらいのライト層にもぴったりだった。
◯便利さに溢れた現代社会に慣れていても、縄文時代の住居、食事、生活を読んでみると、案外悪いものではなく、むしろ今よりも人間として生きていることを実感できるのかな、と思ったりした。ただ、成人の儀式で歯を抜くのは怖すぎて出来ないと思う笑詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今日の縄文ブームに一役買っているはずの、著者の本。縄文の魅力を、豊富な知識と類推を駆使して紹介している。学者ではなく、純粋な縄文ファンだから書けたと思われる。専門性と分かりやすさの同居。弥生ファンである私などは、これを是非誰か「弥生ライフ」でやって欲しいと思う。スソさんのイラストが、絶妙にアシストしている。
巻末あたりの国宝縄文土偶五体を10ページにわたって紹介しているコーナーなんかは、正に縄文愛に満ちている。以下、そうは言っても「なるほど!」と思った所をマイメモ。
・縄文の気候と環境。縄文前期の時代は、早期に間氷期があった他は、ほぼ寒かったし、海は現代よりもかなり沖合にあった。(←ならば、前期遺跡はほとんど海の底なのではないか?何故見つかるのか?)
・所謂「縄文海進」はBC40の辺り。現代よりも+2°Cもあって、海面も5-6メートルも高くなっている。でも2000年ほどで終わっている。
・土偶によって、ヘアスタイルを想像している(34p)けど、あんな複雑な結い方をするものだろうか?
・糞石は、まだヒトかイヌか判断つかないようだ。
・縄文犬と弥生犬の形状は違う。縄文は額から鼻にかけてのくぼみが少ない。弥生渡来人とともに犬もやってきたと捉えるべき。
・縄文人の平均出産は、15-6歳初潮(栄養状態が良くなかったから)、18歳初産と考えると、平均4人ほどと考えられる。栄養状態が完全ではなかったので、授乳期は妊娠し難いから。
・愛情いっぱいの子育てをしていた。子だき土偶(東京・宮田遺跡)や、各地の手形・足形土版を観ると、わかる。
・平均寿命は、昔と違い40歳ぐらいという風に言われている。86体の人骨の65歳以上は32.5%という研究報告あり(岩手県蝦島貝塚、千葉県祇園原貝塚等)。
・200キロのイノシシを捕らえたら、100キロの肉となるとして、5人家族の五軒の20食分の食糧になる。狩は週に3日ほどではないかと考えられている。
・クリの栽培だけでなく、大豆やアズキの栽培もしていた。前期の野生種豆が、中期の豆になると、急激に大きくなっていた。
・合掌土偶(青森県八戸市風張1遺跡)のウエストは意外にもくびれている。お尻の穴まで作っている。後ろから見ると、異様な顔は、仮面である可能性が高い。
2019年3月読了 -
写真や説明ばかり、でないので、勉強というより雑学かなって思ってたけど、なかなか内容も細かく、分かりやすく縄文時代の事がわかる。
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いま人気を呼んでいる縄文時代。その魅力をわかりやすい文章と、かわいらしいイラストで紹介しています。
狩猟採集民といわれる縄文人。それは間違えてはいませんが、一般的に思われているほど彼らの暮らしは原始的ではなく、むしろ自然との調和に根差した、現代人にとってはある意味「理想的」な暮らしであったことがわかります。
一万年以上もつづいた縄文時代には、単なる懐古趣味にはとどまらない何か特有の魅力があることを伝えてくれる一冊です。作者は「はじめに」で次のように述べています。
「文字としては残ってはいませんから、彼らが残したモノでしか、私たちは当時の様子をしることが出来ません。それも、確かなことはわからない。それでも、学校で習ったこと以上のことが研究によってわかるようになってきたのです。(改行)私は、この本でそれを皆さんと共有したいと思っています。」
いわゆる先史時代のことは「文字」ではなく「モノ」を通じてしかわかりません。しかし、言語と事物の相関性の外部について考えさせる21世紀の哲学=思弁的実在論の魅力がそうであるように、本書は「確かなことはわからない」、「それでも・・・わかるようになってきた」、「それを・・・共有したい」という著者の思いにあふれています。
個人的には、その後のシリーズ作『知られざる弥生ライフ』『知られざる古墳ライフ』を含めても、本書がいちばんのお気に入りです。 -
縄文世界がイラストと文章で楽しくよくわかる~。
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可愛らしいイラストが各ページにあり、分かりやすい文章でサクサク読める。
暇潰しと知的好奇心が簡単に満たせて読んでいて楽しかった。 -
かみ砕いた説明と、豊富なイラストで、とてもわかりやすかった。
縄文人についての入門的なエッセイで、小中学生くらいによさそう。
正面からの写真が多い土偶を、多角的に鑑賞するのが新鮮。
正面からではわかりにくい厚みや、背面のディテールなどが味わえて、おもしろい。
文献が残っていない縄文時代、遺物のみから推測できることには限りがあり、想像の「でしょうか」「かもしれません」がおおい。
文献を根拠にして推定できるのちの時代とは、すこし確度がちがう。 -
縄文時代の人々のくらしについて、親しみやすい切り口で教えてもらえる。気になるトピックについては別で掘り下げるのがよさそう。
イラストや再現写真などは視覚的にわかりやすい。
国宝土偶たちのいろんな角度の写真があるのが個人的にはよかった。
2017年初版発行なので、紹介されているグッズたちを調べたらもうないのもあって残念でした。