北欧 木の家具と建築の知恵 北欧デザインのルーツはここにあった

  • 誠文堂新光社 (2018年1月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784416717417

作品紹介・あらすじ

北欧の木造家具や建築を長年研究してきた著者が今だからこそ伝えたい、北欧現代デザインを生み出した人々の生活の知恵の数々。

北欧の家具や什器、建築のデザインに興味のある人はもちろん、
そのルーツを探ることで見えてきた、日本人にとっても重要な木の文化や、ものづくりの原点について、
著者が現地で撮りだめてきた多くの写真とともに解説した書籍です。

はじめにより~
北欧の木造建築、さらに当時のままの家具や什器などを見ると、
技術的には劣っていても、木を如何に活かすかを考え、木を丸ごと活かす工夫が見られます。
特に椅子を見るとそれを強く感じるとともに、モノの本来の在り方にまで思いを巡らせていることが理解できます。
19世紀になっても、北欧の人々にとって、家は一家の主を中心として家族総出で造るものでした。
什器や椅子、テーブルなども勿論、主を初めとした使い手の手作りでした。
そのため現代でも、家の補修さえ専門家に任せることなく、自ら行う人々が多く見られます。

もちろん私達日本人も、歴史的にも木との関わりが強く、木に対する親しみの深い民俗です。
しかし現代の私達はそれを忘れかけているように思えます。
日本では早くから専門分化が進み、家を建てるのも家具什器を作るのも、もっぱら工人の仕事となっていきました。
それによって専門家の技術は発達しました。
一方で、それらを使う立場の者は木との関わり・木への想いが薄れたとも云えそうです。
現代では、「住まい」は耐久消費財として住宅メーカーの手にわたり、住み手との関りはますます遠のいています。
住み手は、「住まい」を共に「造る」のではなく、「買う」感覚になってしまっています。

近年、各種メディアで古民家や木の家具が取り上げられます。
しかし常に一過性のブームに終わってしまう。
日本の森は、戦後植林された杉、檜が成長しているにも関わらず、手入れがされないため、70%が“死の森”となっていると云われます。この森との関わり方にも、現代の日本人が置き忘れた大切なことが感じられます。

このような北欧の人々の木や自然への想いを知るにつけ、
私たち日本人にも親しみやすく、優れた“北欧デザイン”の根底には、
その想いを基にした“ものづくり”の思想があるのではないか、と考えるようになりました。

民家の調査行を通して得たエピソードを交えつつ、
第二章に示した、無名の人々の手によって作られた、北欧の民家の中の家具・什器等、云わば民芸品の数々を通して、
それらに込めた彼らの強く、深い木(樹)に対する想いを伝えたい。
そして、彼らの想いの表れた“ものたち”から、「北欧デザイン」の根底にあるものを読み取っていただきたいと考えています。

感想・レビュー・書評

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  • フィンランド、スウェーデン、ノルウェーで永年古民家の調査を行ってきた著者の成果。写真と考察。

    表紙はフィンランドのカレリア地方の保存された民家。
    次ページにはスウェーデンの民家。とてもよく似ている。ノルウェーの民家もやはり木製。こちらは屋根に草を生やしている。サーミのテント住宅も。高床式倉庫も木製で3国やはり似ている。

    北欧を考える時、緯度によって北緯66度以北の「北極圏」、北緯60度~66度の「北の北欧」、北緯60度以南の「南の北欧」に分けて考える。北極圏は大きな木は無く、「北の北欧」は最も北欧らしい北欧の地域で面積も広く、森林が豊か。「森の北欧」とも言われる。樹木の種類は少なくほとんどが針葉樹の赤松と唐檜。フィンランドでは白樺が多い。こういう環境が3国の木製古民家が似ている理由なのか。3国に共通する生業は林業だった。森はかつて畏怖の対象であり切り開いた土地だけが人間の世界であり、取巻く森林は魔物の棲む世界であるが、樹木信仰が生まれる、とある。・・ここらへんイギリス、フランスの感覚とちがうところか。

    オスロ、ストックホルム、ヘルシンキは北緯60度前後にある。南の北欧になるとカシやブナなどの広葉樹も生え、北欧らしくない北欧といわれる。デンマークはすべて南の北欧となり、植生も生業も建物も違う。

    スウェーデン南部のスコーネ地方の民家は白壁になっている。これはヴァランダー警部で舞台になっている地方。

    他にイスやベット、スプーン、ゆりかご、など。また便器もありいずれも木製が紹介されている。便器は穴が開いたイス。またノルウェーでは2階建ての家の2階角に1階壁より外に張り出し、下に穴があけられ汚物はそのまま下に落ちる。下は豚小屋になっていて餌となるしくみ。中国西部からチベットへの旅行記「西域八年の潜行」でも似たような便所が出て来た。


    018.1.22発行 図書館

  • 著者が民家調査で出会った、木でつくられた建築、家具、道具を、北欧の環境的・文化的背景とともに紹介する書。材料そのものの特性を活かした構法上の合理的な工夫と、その中にも垣間見れる装飾的要素が読み取れて面白い。

  • 北欧 木の家具と建築の知恵 長谷川清之

    貧しさが生み出した知恵
    素朴さの中に盛り込まれた工夫

    北欧独特の寒さによる厳しさによる
    自然を共有する堅実さが創り出す用の美意識

    工業化社会の物的な合理化に
    埋没する現代社会において
    質実剛健な手のぬくもりが
    改めて見直される時代の中で
    静かに光を放つ北欧の生活感覚
    そんな中でもフィンランドは
    他の北欧文化とは別の流れを持つようだ

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著者プロフィール

長谷川 清之:1941年  静岡県下田市出身。日本大学芸術学部美術卒業。建築・インテリアデザイン (現、建築デザインコース) 専攻。1988年  日本大学芸術学部美術学科教授・日本大学大学院芸術学研究科教授などを経て、建築設計、北欧民家・木造建築調査研究を継続し、現在に至る。北欧建築・デザイン協会、北欧文化協会会員。著書に 『フィンランドの木造民家』『スウェーデンの木造民家』『ノルウェーの木造民家』(ともに井上書院刊)ほか、共著も多数あり。

「2018年 『北欧 木の家具と建築の知恵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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