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- 本 ・本 (428ページ)
- / ISBN・EAN: 9784417003557
感想・レビュー・書評
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マルクス経済学の基本問題を解説している本です。
「経済原論」のタイトルをもつ本には、マルクス経済学をはじめて学ぶひとに向けて書かれたものも多く刊行されていますが、本書は初学者にはやや難解な叙述になっています。その一方で、「論争」という項目が随所に置かれており、マルクス経済学研究における争点が簡潔に整理されています。そうした意味で、本書はマルクス経済学の基礎を学んだことのある読者が、マルクス経済学研究の世界に入っていくための手引きとして利用できる内容になっています。
ただし本書の解説も、中立的なものではなく、編者である平田清明の解釈がある程度反映されています。平田は本書の「まえがき」のなかで、「私たちにとって、語り継ぐべき統一的主題はやはり、近代市民社会の経済学的自己認識ではなかろうか」と述べています。『資本論』は、近代市民社会における個体的な私的所有が資本主義的な法則となっていったことや、その事実が隠蔽されていることを明らかにする、「経済学批判」の書であるという点にその革新的な意義があるという立場が示されています。本書はこうした立場から、主として日本のマルクス経済学研究における論争に分け入り、解説をおこなっています。
その意味で、本書の説明に一定の偏りがあることも事実ですが、マルクス経済学を学ぼうとする読者にとっては争点が明確になっているという意味で、かえって有益な内容になっているように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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