二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)

著者 : 司馬遼太郎
  • 世界文化社 (2001年2月12日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (47ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418015047

作品紹介

「子どもは何をしなくてはならないのか?」「人は何のために生きるのか?」その答えが、司馬遼太郎の肉声で聞こえてきます。二十一世紀を迎えた、日本人のすべてに語りかける心のメッセージ。むだのない、考え抜かれた名文が私達の感動をよび起こします。

二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)の感想・レビュー・書評

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  • 全国区ではないけれど、小学6年の国語の教科書にこの論説文が
    載っています。司馬遼太郎の珠玉の言葉の数々が、この時期に
    ふさわしいように思えたので、ちょっと書いてみますね。

    司馬さんというと「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」などなど、数々の歴史小説で有名です。
    「菜の花の沖」もそうですね。
    その大作家が、なぜ小学生のためこのような作品を書いたのか、読ん
    でみると明らかになります。

    『私は歴史小説を書いてきた。もともと歴史小説が好きなのである』という書き出しで始まります。
    『この楽しさは、もし君たちが望むならおすそ分けしてあげたいほどである。ただ、さびしく思うことがある。私が持っていなくて君たちが持っている大きなものがある。未来というものである。』
    司馬さんは、二十一世紀の担い手である小学生に向けてこのあとこのように述べています。

    『君たちは自己を確立しなければならない。自分に厳しく、相手にはやさしくという、素直で賢い自己の確立。自己といっても自己中心におちいってはならない。人間は助け合って生きているのである。
    このため、助け合うということが、人間にとって大きな道徳になっている。助け合うという気持ちや行動のもとは、いたわりという感情である。いたわりとは、他人の痛みを感じることと言ってもいい、やさしさと言い替えてもいい』

    そして、私の最も好きな言葉はこの次に続きます。
    『私たちは訓練をして、それを身につけなければならないのである。
    その訓練とは簡単なことである。例えば友だちが転ぶ、ああ、痛かっただろうなと感じる気持ちを、その都度自分の中で作り上げていきさえすればよい。』
    ひとは、訓練して身に付くのは体力や知力だけでは無いということです。「ありのままに」「自分らしく」などどいうキーワードに騙されてはなりません。一歩誤れば「野猿」を山に放り込むような行為になります。
    おだやかで、他人を愛せるような大人になるには訓練が必要なのです。それ無しでは「いのちを大切に」というスローガンも、ただの「絵に描いた餅」になります。
    思いやりの心やいたわりの心など、何も教えられてない子供たちが、何と増えてしまったことでしょう。

    司馬さんは、この著書を書くことで「長編小説を書くよりもエネルギーがいりました」とコメントしています。それだけ、子供の心をいかに鼓舞しはぐくもうとしたか、真剣に取り組んだということなのでしょう。

    父親が「そこに座りなさい。今から大事な話をするから」と言って、諭してくれた子供時代を、思い起こさせるような内容です。
    今じゃ、そんなことをする家庭も少ないのでしょうか。
    ひとつ残念なのは、この論説文の載った教科書を採択した地区が
    少なかったということ。読まれた方、いっしょに残念がってくださいね。

  • 繰り返して読みたい本。
    司馬さんの願いが、ひしと伝わってくる。

  • 司馬遼太郎さんの歴史小説はたくさん読んでいますが、こういった作品があるとは知りませんでした。
    小学生の国語の教科書として執筆されたこの文章は、未来のこどもに向けた、多くの歴史にまつわる作品を書き続けた司馬さん独自のメッセージです。

    ・歴史
    「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生がそこにつめこまれている世界なのです」
    ・自然こそ、不変の価値。自然に生かされている
    ・自己を確立しなければならない。自分に厳しく、相手にはやさしく
    ・「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」を訓練して身につけなければならない

  • 「人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている。」

  • 司馬遼太郎記念館でプレートに刻まれた『二十一世紀に生きる君たちへ』を読んだ時、涙が出ました。司馬遼太郎さんが若い者達に伝えたい想いがひしひしと感じられました。

  • 素晴らしい

  • 小学校国語教科書に収められた「二十一世紀に生きる君たちへ」
     「洪庵のたいまつ」を収録。

     五月の連休に娘の家に行った時、旦那さんの本棚で見つけた本。
     息子が大きくなったら読んでやりたいと購入したというので、「どんな
     本かな?」と読ませてもらったのだが、感動してしまった。
     本の内容にも感動したけど、この本を息子(孫)に読ませたいと思う
     旦那さんにも感動したのだ。
     内容は二つとも小学校の教科書に収められた文章だ。
     どちらも良かったけど、「21世紀・・」の中に書かれていた
     「人にやさしく自分に厳しく」のはという当たり前のことだけど、
     これは本能ではないから「友が転んだときに、ああどんなに痛かった
     だろう」と思いやることを繰り返すことによって得られる・・というような
     ことが書いてあって「なるほどなあ」と思ってしまった。
     当たり前のことだけど、本当に大切なことを平易な言葉で書いてあり
     あっという間に読めてしまう。でも何回も読み直したい本だ。
     買えばいいのにまたしても図書館で借りてしまった私(ーー;)
     でも読みたくなれば、また借りればいいか・・・。

  • これまで歴史を書いてきた司馬遼太郎だからこそ、未来を語る時に素晴らしい説得力が出る。涙が止まらない絶品。

  • 【引用】

     鎌倉の武士たちは、
    「たのもしさ」
    ということを、たいせつにしてきた。人間は、いつの時代でもたのもしい人格を持たなければならない。人間というのは、男女とも、たのもしくない人格にみりょくを感じないのである。

     もう一度くり返そう。さきに私は自己を確立せよ、と言った。自分にきびしく、相手にはやさしく、とも言った。いたわりという言葉も使った。それらを訓練せよ、とも言った。それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。そして、“たのもしい君たち”になっていくのである。

  • 240430

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