用の美 上巻 柳宗悦コレクション―日本の美

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  • 世界文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418082070

作品紹介・あらすじ

柳宗悦がその生涯をかけて蒐集した"美の世界"に親しむ。珠玉の名品を撮りおろした「民藝」決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 日本民藝館が、何度も行った駒場の東大のすぐそばに1936年の昔からあったなんてぜんぜん知りませんでした。気がついていれば足繁く訪れたのに、今となっては残念無念でした。

    この本は大型本ですがたった176頁で、ところせましとばかり写真に撮られた漆器・陶磁器・沖縄の器・家具・調度品・着物・彫刻・絵画・石仏・絵馬などがすべて自信に満ちて美しい光彩を放っています。

    柳宗悦が、日本全国の無名の作り手たちの日用雑貨・器に美を発見して、腕によりをかけて選んで蒐集した逸品が勢ぞろいしているのです。

    柳宗悦は123年前の1889年3月21日に東京で生まれ、51年前の1961年5月3日に72歳で亡くなった民藝運動を推し進めた美学者・思想家。

    彼のことは、わが敬愛する鶴見俊輔のその名もズバリ『柳宗悦』によって鮮明な薫陶を受け、彼自身の『民藝四十年』『民藝とは何か』『茶と美』などを読み強く魅かれるものを感じました。

    もともと私は、小野二郎の『ウィリアム・モリス ラディカル・デザインの思想』や『装飾芸術 ウィリアム・モリスとその周辺』などによって圧倒的に、アーツ・アンド・クラフツ運動を起こしたウィリアム・モリスを刻印され、彼の『ユートピアだより』しか読んでいなかったので、『理想の書物』『民衆の芸術』をはじめ晶文社の『ウィリアム・モリス・コレクション』全9巻を熱中して読んでいました。

    ところでこの民藝の世界では、なんでも鑑定団的な骨董品・美術品の目利きは挫折するしかありません。名人が作ったとか、伝統的なとかいう価値観はまったく役に立たたないからです。

    ただ使えば使うほど底光りするような、素朴美とでも呼ぶような、ジワーと身震いして感極まった感動が押し寄せるとでも表現するのでしょうか。

    言ってみれば、単なる道具にすぎないはずなのに呼吸しているようにみえる、人間そっくりの感じ。きっと、作った人と使った人の魂が交感してモノに生命の原初形態が宿ってしまったのに違いありません。


    レビュー登録日:2011年7月18日  (下記は機能ミス表示)

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著者プロフィール

名もなき工人たちの手によって生まれた“日用の雑器”に美を見出し、生涯をかけて蒐集した柳宗悦。彼が中心となって設立を企画し、有志の援助を得て1936(昭和11)年、東京駒場に開かれたのが日本民藝館。初代館長を柳が務めた。約1万7000点にも及ぶ国内外の名品が収蔵された「民藝の殿堂」として知られている。

「2021年 『愛蔵版 用の美 李朝ほか海外編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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