観じる民藝

  • 世界文化社 (2010年5月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784418102075

作品紹介・あらすじ

買うのはモノの「美しさ」。ただ、ひたすらに観じる-。魂の震えを覚えたらそれこそが手元に置くべきもの。そう語る著者のコレクションから日本や李朝の器、塗物をはじめ、ちょっと"?"な珍品まで"用の美"300点を厳選、一堂に。

感想・レビュー・書評

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  • 駒場の日本民藝館で学芸員を務めていた著者による、自身が愛用・愛蔵している民藝の品々を豊富な写真と軽妙な文章で紹介している一冊だ。

    冒頭に、「骨董」というタイトルの本だと売れるけれど「民藝」だと売れないから駄目だと編集者に言われ続けてきた・・・というようなエピソードがあるのだけれど、今だったら逆じゃないかなあ、というくらい、「民藝」はブームになったし、認知度の高い言葉になったと思う。

    尾久さんはテレビなどのメディアにもたまに出るし、なんとなく気のいい古民藝好きのおじさん、というイメージしかなかったのだけれど、もともと叔父さんが民藝運動に傾倒していて若い頃から民藝に接していた、というエピソードや、柳宗悦に心酔していることなど(民藝館に勤めていたのだから当たり前か)初めて知ることも多く、興味深い内容だった。

    紹介されている品の中で、ぜんぜん別のところで手に入れたものを一緒に組み合わせたり、つないで額装したりしているものがあって、こういう風に自分で自由に仕立てて楽しんでいいんだな、とはっとする。

  • 観る目を育てるには、まずたくさん観なければならない、というごく当たり前な、しかし忘れられがちなことを教えてくれる本。
    誰かから「教わる」ということはその教える人の目になる、ということ。自分の観る目は、自分が観なければ育たない。

    文中でたびたび紹介される柳宗悦の言葉がとても良い。
    「なぜ民藝のなかに美があるのか」ということがすっと筋の通った論理でからだに染み込んでくる。
    次はこの方の著作にも挑戦してみたい。

    「自分のコレクションを集めた写真集のような本を作りたかった」という意図はわかるのだが、好きになったら知りたくなるのが人の心というもの。
    コレクション一点一点の説明に少し物足りなさを感じた。

  • 樹木希林さんとの共演で知った尾久さんの本。

    民芸品の楽しみ方、美の見方などが書かれている良書。

    民芸運動の柳宗悦の言葉を沢山引用してその民芸品の中に生きる美を解説しているところがとてもわかりやすく入門的にも使える。

  • 民藝についてさわりしかわからないという人、ビームスやブルータスの特集で民藝を知ったという人、もと学芸員の古民藝の愉しみ方を知って見て下さい。

  • 民藝とは、芸術性が「無意識」のうちに備わった、民衆の本当の日用品である。

    そんな柳宗悦の言葉とともに、肩肘はらずに、物と向きあうことができる本である。

    物を金銭的価値に換算しないこと。
    現代社会においては、実はこれは非常に難しい。

    でも、自分が最近考えている、いろいろなことの道筋は、こちらの方向な気がしている。

    またひとつ、いい本に出会った。

  • 著者の蒐集した民藝品の写真集、といった趣が強い。自分がこれまで観ることの多かった陶磁器には、いいなあと思うものが多かった。他のものは自分の目が鍛えられていないので、なんとも、なのだが、李朝の工藝品の慎ましい美しさは特徴的だった。

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著者プロフィール

日本民藝館主任学芸員

「2005年 『大津絵 日本民藝館所蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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