男の傑作品 愛するモノの選び方 (BIGMANスペシャル)

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  • 世界文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418111558

感想・レビュー・書評

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  • 身の回りのものへのお金のかけ方がかっこいい。
    流行りに流されず、自分の信念を貫く。

    毎年のトレンドはある程度は仕方ないけど。
    流行だから身に着けるという考え方が好きじゃなかったので。

    自分が心から良いと思ったものに投資する。
    それを身に着けることで気分を上げていく。

    そういう考え方はすごく好きですね。
    シャツ、ジャケット、靴、鞄、コート、ネクタイ、マフラーなどなど。

    ちょっとずつお金を貯めていいものを手に入れていきたいですね。
    こういう人がもうこの世にいないということが寂しいですね。

  • トレンチコートの季節がやってきました! 春です!

    以前、マッキントッシュのコートが愛される理由( http://togetter.com/li/226603 )でコートのお話をいたしましたが、今回はその真打ち、バーバリーのお話です。おなじみの服飾評論家・落合正勝氏の話題を交えてお届けします。

     * * *

    トレンチコートといえばアクアスキュータムか、それともバーバリーか。議論のつきないところではありますが、落合さんはバーバリー派でした。新聞社に入った昭和40年代のはじめに購入したトレンチは、取材に明け暮れる若き記者の相棒として大活躍しました。

    「ポケットに、取材のためのテープレコーダーや筆記用具一式、ライターや煙草を突っ込み、楽屋、ロケ現場、警察、自衛隊などどこでも赴いた」(『紳士のブランド もちもののものさし』小学館刊)

    トレンチコートは鞄代わり。ポケットに両手を突っ込んで、守衛には片手を出して「おはようございます!」とやる。このスタイルが「取材のために何かと便利な道具だと気づいた」といいます。

    コート姿は取材相手に胸襟を開かせました。屋外のセットで三船敏郎に話を聞いたときも、「ホテルのティールームで、テーブルを中に挟み、双方スーツ姿ではこうはいかなかったろう」と書いたほど、実にスムーズに運びます。

    これぞトレンチコートの不思議な力。「着る人に、少しばかりの度胸をつけてくれるものらしい」(前著)と落合さんも不思議顔です。しかしながら、トレンチを着た男には、確かに自信と野心が宿るように感じるのです。

    学生時代はピーコートやダッフルコートなど、ウールメルトンのコートが幅を利かせていた気がします。直線的なシルエットが浮き上がるギャバジンのコートを、ベルトをギュッと縛ってウエストをマークする着こなしは独り立ちした大人の男だけに許されたスタイルのように思えたのです。

    寸胴でボックス型のメルトンコートは、どこか甘えたスネ齧りの印象がつきまといます。トレンチが似合う男になったとき、男として円熟したことを確信できるのではないでしょうか。そういえばスクリーンの中で、ピーコートやダッフルコートを纏ったハードボイルドなヒーローは記憶にありませんから。

    昭和45年に起きた『よど号』ハイジャック事件では、犯人グループがトレンチコートの下に日本刀を隠し持っていたことから以後トレンチの印象が怪しくなります。トレンチスタイルで飛行機に乗ろうとした落合さんは、景観に詰め寄られ連行されたという苦い経験に気分を害し、トレンチをやめてオーバーコート派になろうとしたのですが……。

    ポケットにものを詰め込むとプロポーションが崩れるうえ、フットワークまで落ちると感じ、「オーバーコートは、着る本人がどこかかしこまる。現場の仕事向きではないのだ」(前著)と溜め息。結局次のシーズンには、再びバーバリーのトレンチを引っ張り出します。

    かくも男のモチベーションを左右するトレンチ。日々を闘い続けるビジネスマンに、是非とも着てほしいものです。


    ~『男の傑作品 落合正勝流 愛するモノの選びかた』より

     * * *

    落合さんは「男のモチベーションを左右する」とおっしゃいましたが、これは男女共通のような気もします。トレンチを羽織ると、そのシルエットゆえか女性もきりっとした気持ちになりますし、シャープさが女性の華やかさを逆に際立たせるような気も。なにはともあれ、トレンチコート万歳。



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    「お洒落な人が選ぶシャツのポイントって?」

    『「よいシャツの条件とは、ジャケットの下で邪魔にならず、ジャケットと共に動くこと」ブリーニ社長、エッツィオ・パティエス・モンタニエの言葉です。落合(正勝)さんも共感したこの言葉を裏付けるためには、最高級の生地が必須なのです』

    と本書(『男の傑作品 落合正勝流 愛するモノの選びかた』)で言及されています。最高級のものをお金に糸目をつけずに入手できるのは、ファッショニスタだからこそという声もあると思います。しかし、きっとそれだけではないはず。

    では、お洒落な人が選ぶシャツは、ふつうの人のそれとどこが違うのでしょうか。そのポイントを探ってみましょう。

     * * *

    先日、ユナイテッドアローズのクリエイティブディレクター、鴨志田康人さんから「シャツに大切なのは、まず生地である」と伺いました。サイズ感も重要ですが、素材こそシャツの命であると。

    そういえば、落合さんも、同じことを書いてらっしゃいます。


    「僕は、シャツの本質は素材であると、しつこく繰り返す」(『男の服装 お洒落の基本』小社刊)

    シャツを購入するときは、まず素材をチェック。スタイルやディテールを優先させたシャツは、往々にして失敗します。確かに、自分にも覚えがあるような……。

    600枚を超える落合さん所有のシャツの中でも、特に愛用していたブランドは、フライとブリーニでした。どちらもごくベーシックなシャツばかりラインナップするブランドです。ただし、素材は厳しく吟味されています。

    落合さんにとってブリーニは、ここ一番のときの勝負シャツ。その理由については「伝統の踏襲、素材のよさ、スタイリングという3つの点で、もっともバランスがとれたシャツ」(『こだわりの服装術』小社刊)と評しています。そして「ブリーニは最高級の素材を惜しげもなく使う」(『私の愛するモノ、こだわるモノ。』小社刊)とも。

    現在はブリオーニ傘下のシャツファクトリーとなったブリーニですが、落合さんは'90年代後期に当時の社長エッツィオ・パティエス・モンタニエ氏と対談されています。そこで学んだシャツ学は、後の落合さんのスタイルに大きな影響を与えたようです。

    エッツィオ氏によれば、ピンホールもタブカラーも、セレモニーには着用すべきではなく、クレリック・シャツについては「エレガントだが、ややカジュアルな雰囲気を感じさせる」(『クラシコ・イタリア礼賛』小社刊)とも。

    ジャケットのVゾーンに、ほんのわずかに覗くシャツですが、選ぶべきはデザインではなく素材、素材がよければ、総体としてスタイルが必ずや美しく見えるのだといいます。

    そういえば鴨志田さんも、いつもベーシックなシャツを着てらっしゃいます。ファッショニスタとは、シンプルな服を、お洒落に着ることができる人。

    慌ててクロゼットの奥に眠っていた、デザインシャツをごっそり処分しました。~『男の傑作品 落合正勝流 愛するモノの選びかた』より

     * * *

    ひと言でまとめると、やはり「神は細部に宿る」ということでしょうか。「シャツでさえ」なのか、「シャツだから」なのか。

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    「今こそ、本当のお洒落について考える」

    「お洒落」って簡単なようで難しいですよね。好きな服と似合う服は違うことも多いですし、色もまたしかり。服装をシーンに合わせたり、寒暖の差に合わせた調整も必要。かといって欲しい・必要と思ったもののすべてを家に置けるかというと、そういうわけにもいきません。

    服飾評論家の故・落合正勝氏は「ファッションとは流行を追うことばかりでない。普遍的なクラシックがある」と提唱し、ファッション界に一石を投じたかた。その落合氏が服選びについて大切なことを教えてくださっています。さて、本当のお洒落とはいったい――。

     * * *

    「街行く人が振り返るなら、その服装は誤っている」

    ボー・ブランメルの有名な言葉は、服飾評論家・落合正勝さんの「本当のお洒落とは、お洒落をすればするほどに目立たなくなる服装のことである」に同じです。誰もがひと目でそれとわかる、奇抜で目立つ服装は、お洒落とは真逆の服装術でしかありません。

    落合さんが追い求めたのは、正統なクラシック服を、どう選んで、いかに着こなすかという服装術でした。

    この本(『男の傑作品 落合正勝流 愛するモノの選びかた』のこと)で紹介されているモノは、すべて落合さんが、自身のお洒落のために購って実際に着ていた服、靴、小物を踏まえて選ばれています。

    落合さんのクロゼットに遺されたモノと同じように、そこに人目を引く煌びやかさはあまり見られません。どちらかといえば地味で実直で目立たないモノばかりです。しかしそれは、どれもまじめに作られたモノたちです。

    良質な素材と確かな技術によって培われた確かなモノを選べば、本当に愛せるモノに出会えます。愛せるモノに出会えたら、どう着こなすか考えることが楽しくなるはずです。まずは、愛せるモノと出会うことです。

    この本を通して、モノに出会う目を養っていただければ、落合さんも喜んでくれるのではないでしょうか。~『男の傑作品 落合正勝流 愛するモノの選びかた』より

     * * *

    実を言うと、こちらは引用書籍の“まえがき”。本書のタイトルには「日本に“本物”を紹介した男のワードローブとエピソード」というひとことが書き添えられており、本文では本物を選ぶ目の育てかた、落合流のセレクトのポイントがつぶさに解説されています。その根底に流れているのが、衣服への深い「愛」。愛さえあれば、いつなんどきでも、シーンに合わせて着こなせる最高のお洒落ができるのだ、と。

    衣服への愛、あなたはどのくらい感じて服をまとっていますか? 改めて尋ねられると戸惑うかたもおられるかもしれません。この機会に一度見直してみませんか。ただ便利なだけの服よりも、愛していてかつ似合う服を着ることは、お洒落の方向性はもちろん、心のありようもがらりと変わりますから。

  • 私の趣味には合わなかった。

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著者プロフィール

東京在住。子どもが幼少期に少食だったため少しでも「食」に興味を持ってもらえればと
可愛いお弁当を作り始める。2005年、お弁当の記録としてブログ「わくわくキャラクター弁当」を開設し
2006年からお弁当作家として活動を開始。現在は、雑誌、書籍、webを中心にお弁当を制作中。
ジュニア野菜ソムリエ/KIJ Advanced修了/食品衛生責任者/飾り巻き寿司インストラクター1級

「2023年 『新装版 絵あわせカード めんめんめん!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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