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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784418112234
みんなの感想まとめ
ヴァイオリンの魅力とその背後にある物語が詰まった一冊です。著者はヴァイオリンドクターとして、ストラディヴァリウスやガルネリなどの名器を修復し、数々の著名な演奏家たちとの出会いを通じて、楽器の奥深い歴史...
感想・レビュー・書評
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類まれなるヴァイオリン・ドクターが日本にいると知っただけでもホッとさせるものがある。
それにしてもロケット博士、糸川英夫氏が半分諦めていた(?)自作ヴァイオリンにまで生命を吹き込んだとは、まったくもって恐れ入った技量の持ち主というべきだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いわゆるヴァイオリンドクターこと弦楽器制作家・修復家である著者が、今までに出会ってきた、修復してきた数々のストラディヴァリウスやガルネリなどの名器にまつわる話、そうした楽器を演奏してきた演奏家達などの逸話が満載。
あの独創的かつ魅力的な演奏で聴衆を魅了するヴァイオリニスト:ギトリスの愛器ストラドの“サンシー”の調整をしていたのも著者だったとは! -
世界で活躍するヴァイオリンドクターによる、ストラドを中心に、ヴィンテージヴァイオリンに関する歴史や蘊蓄エッセイ。業界裏話みたいのも。
ストラドの偽物とか、そーんなに出回ってるんだね! まあ美術品みたいなもんだもんねえー。大変な業界だー。
個人的には美しくも繊細なストラドより、野性的で野太いグァルネリの音の方が好きだったりするんだけども。
それはさておき、何事もプロの話は面白いわー。 -
ストラディヴァリウスについての話。
バイオリンの先端?部分だけ外して売られることがあると知って驚愕した。
たとえ共鳴箱から外れたとこでも少しは音に関係あるはずなのに… -
ヴァイオリンドクターという肩書の著者ならではの視点から語られる興味深い話もあったが、中盤からは、著者のしてきた仕事や出会った人たちの話など、「ストラディヴァリウスの真実と嘘」というメインテーマとは関係のない話題が多くなった。「真実と嘘」という内容を含むのは全5章の内、第1章と第5章だけである。
オールドヴァイオリンに魅せられた著者の情熱や活動は賞賛に値するが、本の出来栄えという点ではやや退屈であった。文章は非常に読みやすいが、構成や内容に不満が残る。ヴァイオリンドクターとしての活動報告や半自叙伝というテーマであればそれでいいが、ストラドやオールドヴァイオリンの読み物としての出来は良くない。
著者のストラディヴァリウス(特に音色)に対する考え方を拾ってみると下記の通りになる。これは本書を、読む・読まないの判断材料にも使えるだろう。
・ストラディヴァリウスの音色は最高であり、誰も越えられないものである。その音は再現できない。
・ストラドの彫りの深い音色を奏でるには高度な技量が必要。そう簡単には鳴り響かず、なかなか本来の音を引き出せない。時間をかけて弾きこんでストラドらしい音色になる。
・ストラドは雑音(倍音)が他のヴァイオリンに比べて格段に多い。至近距離では雑音に聞こえるが、大ホールでは美しい音色となる。ある程度の規模の演奏会場でないと、どのくらい響くかなど、きちんと把握できない。
・ストラドはヴァイオリニストの音色を吸収し、音色を蓄えていく。
・ニスと音色の関係については、「ニスは特別なものではなかった」という2009年の仏独の研究報告を紹介。
・木の材質。ストラディヴァリが生きていた時代には木目が均質に詰まった材料を調達できた。
・ストラドは年輪の細かい材質の木を使い、優美で華麗な音色。グァルネリは年輪の幅が広めの材質を使い、男性的な強い音色。
・名器のブラインドテストをしても当たらない。ヴァイオリンの音色は楽器が持つ固有の音、演奏家の技量、演奏家の音楽性が三位一体になって生まれてくるもの。
・ストラディヴァリが特別なのは、ニスや材質など物質面ではなく、木と対話する天才的な才能を持っており、55個程の部品をヴァイオリンに仕上げる超人的な技能を持っていたから。
【付属のCDについて】10曲入った付属のCDは本のおまけとしては上出来の部類だ。もっとストラドの聴き比べを楽しみたいなら、ジャニーヌ・ヤンセンの「12のストラディヴァリウス」というアルバムがおすすめである。 -
水尾図書館
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ストラディヴァリウスに関する物語、噂、事実、著者の想像が詰まった本。様々な名器と出会い向き合ってきたからこそ書けるストーリーがたくさんあり読みごたえがあった。
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音楽、特に弦楽器をたしなむ人には面白いと思います。なぜあの小さな楽器に億円単位の値段がつくのかが書かれています。また楽器商、楽器制作、楽器補修をされている方の執筆だけに、名奏者のエピソード等が満載で、一気に読んでしまいました。
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一度弾いてみたいものです。
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ヴァイオリンの帝王と呼ばれ、すばらしい音色を奏でる名器・ストラディヴァリウス。とにかく高価なことで有名なこのヴァイオリンを世に送り出したのは、アントニオ・ストラディヴァリ(1644?~1737)。作られて350年経った今もなお名器と呼ばれ、愛され続ける理由は、いったいどこにあるのでしょうか。
クラシックに興味がないかたでも、たまに耳にする「ストラディヴァリウス」の言葉がちょっとわかって楽しくなる、そんなお話です。どうぞ。
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ストラディヴァリウスとは、他の幾千というヴァイオリン製作者の作品とどこが違うのか。かの名器を超えようと、数多(あまた)の弦楽器製作者たちがさまざまな試行錯誤を繰り返してきました。しかし、今までストラディヴァリウスに匹敵する作品を作った人はいず、ストラディヴァリウスを超えるヴァイオリンも存在しません。
(中略)
ロンドンで200年の歴史を誇る名門楽器商だったヒル商会(W・E・ヒル&サンズ)が刊行した書物(Antonio Stradivari: His Life and Work 初版1902年、1980年改訂版)には、ハンガリー人の偉大なヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒム(1831~1907)が、ストラディヴァリウスを弾いたときの逸話が記されています。
ヨアヒムはメンデルスゾーンやブラームスと親交があり、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の初演ヴァイオリニストとしても知られます。埋もれかけていたモーツァルトの協奏曲を発掘して世に送りだしたり、音楽大学の学長を務め多くのヴァイオリニストを育てたりと、多大な功績を残した名手です。
そのヨアヒムは、当初ストラディヴァリウスという楽器に懐疑的だったそうですが、初めて1690年製の「タスカン」を弾いたとき、「なんてよく鳴るんだ。なんて澄み切っていて輝かしいのだろう」と驚嘆の声を発したそうです。
「タスカン」は、ストラディヴァリがアマティの影響から徐々に抜け出し、音色がいっそう力強く深みを増すロングパターン製作期における名作の一つです。
その後、ヨアヒムはストラディヴァリウスの魔力に取り憑(つ)かれたようになり、愛奏したストラドは1715年製「イル・クレモネーゼ」、同年製「ヨアヒム」、1722年製「ナポレオン」など記録に残っているだけでも18挺を数えます。
かの「メシア」も、ヨアヒムは奏でたことがあり、次のような言葉を残しています。
「あのストラディヴァリウス、独特なメシアの音色は何度も私の記憶に蘇ってくる。私の胸を打った甘美な荘厳さとともに。メシアがあれほど有名なのはもっともなことだ。できることならいつの日にかもう一度、この私の手で弾いてやりたい」
音楽の“原点”は音色だといわれます。ストラディヴァリはアマティの工房から独立してから60年近くも超人的な製作活動を続けており、幾度か作品のモデルチェンジをしています。しかし、ストラディヴァリウスという弦楽器には、共通する固有の音色、音の表現力があるのです。
もっとも際立った個性は、澄み切って明るく、温かみのある木の味わいが感じられると同時に、全体として音が多彩なことです。とりわけ高音部には“金粉を鏤(ちりば)めたような”高貴な響きがあります。その音色は通称「ダイヤモンドトーン」といわれていますが、まさにダイヤモンドのような強さと煌(きら)めきに類比されるからでしょう。
ヴァイオリンの音色は、楽器の中で人間の声にもっとも近いといわれます。外国のヴァイオリニストは愛器のことをよく「私のレディ」と呼びますが、ストラディヴァリウスはソプラノを歌うプリマドンナのような音色なのです。
ただし、ストラドの彫りの深い音色は、演奏家の高度な技量があってこそです。実は、ストラディヴァリウスはそう簡単には鳴り響かず、なかなか本来の音色を引き出せない楽器なのです。
そして何よりもストラディヴァリウスの魅力とは、あらゆる名手の要求に応える潜在能力を持つ、並外れた“器”にあるのです。だからこそ、演奏家の力量が試されるたいへんな楽器でありながらも、音楽史に燦然(さんぜん)と輝く“ヴィルトゥオーゾ(卓越した技量を持つ演奏者)”たちがこぞってストラドの崇拝者となったのでしょう。~中澤宗幸著『ストラディヴァリウスの真実と嘘』より
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いかがでしたか。ストラディヴァリウスの持つ魅力は“魔力”でもある……と。エピソードを知れば知るほど、なるほどと頷けるものだと思いませんか?
こちらでご紹介したのは、物語のほんの冒頭部分。1冊を通して読むと、このヴァイオリンがどう人間を動かし、関わった人々の間に生まれた様々な物語が浮かび上がってきます。いい話です。本当に。 -
ヴァイオリン製作職人である著者が、仕事のことなどまとめたもの
たまたま、ストラディバリウスに関係する本を続けて読んだ。こちらは実際ストラディバリウスを修復した経験などから書かれているし、写真や、思い出話なども多く、エッセイのように読みやすかった。先に『ニューヨークのヴァイオリン職人』も読んでいたこともあってよりわかりやすかった。真贋の見極めのことや、ヴァイオリンと奏者の世界が垣間見える。ようやく入手したヴァイオリンを強引に日本人社長に買われてしまった、というエピソードから、当時の日本のバブルの雰囲気が伝わってくる。
ただ、せっかくヴァイオリン制作者の方が直接書いているんだから、もう少し、職人仲間の世界とか、修業時代のこと、あとは工房の様子なども読みたかった。そこが少し、物足りない。とはいえストラディバリウスについての本だから、それも当然か。
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