シンデレラ

Kindle版

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  • 世界文化社 (2011年7月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (24ページ) / ISBN・EAN: 9784418118106

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

独特な視点で描かれたシンデレラの物語は、安野光雅の美しい水彩画と茶目っ気ある語り口によって新たな魅力を放っています。物語の基本的な筋はそのままに、街並みや建物の構図が引き立てられ、シンデレラに感情移入...

感想・レビュー・書評

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  •  1974年発表の(本書は2011年の復刻版)、文も絵も安野光雅さんが描いた『シンデレラ』は、ファンタジー要素満載な夢物語というよりは、その中世ヨーロッパを舞台にしたような服飾や世界観に、当時としては親しみやすい、くだけた文章もあることで、とても現実感の強い物語に感じられて、たとえ魔法の力を借りたとはいえ、そこから垣間見えたのは、安野さんの絵による、人の見えない素敵な部分を見事に表した、そのシンデレラ自身の絵から醸し出される、素朴な優しさの中にも凛と佇む、一人の女性としての気高さであった。

     シンデレラと共に暮らす、2度目の母と2人の姉達が彼女に付けたあだ名は、「灰まみれのきたない娘」と、聞いただけで怒りが込み上げてくるような呼び方だが、それでも隠しきれない彼女自身の魅力として、勿論、朝から晩までよく働くような優しい人柄もそうだと思うが、これが安野さんの絵で描かれることによって、彼女のファッションからも、それを感じさせられたことが、とても印象的だった。

     そのオフショルダーのワンピースは、確かに下の方に縫い合わせた跡が見られたりするが、私が気になったのはそこではなく、それを上品に覆い隠した多彩な色(表紙のそれとはまた異なる色)を散りばめたストールに加えて、それと合わせた同じ色のスカーフを頭に巻いている、彼女の素朴ながらも、思わずハッとさせられる、一つの主張の表れに、「ああ彼女は、毎日こんな思いをさせられながらも、彼女だけの何かをしっかりと持ち続けているのだな」と、決して彼女自身、あまり個性的な会話が無くても、その着ているものだけで充分に感じさせられる、彼女の女性としての在り方を、安野さんの絵は伝えてくれながらも、その色の多彩さこそ、一見地味に見えながら、その中には、色取り取りのたくさんの思いで満たされている、シンデレラの内面のように思われて、それは彼女が寝るベッドのデザインにも、よく表れていると思う。

     そして、安野さんの絵自体の魅力も多彩であり、それは、シンデレラに限らず、魔法使いのおばあさんの、涼しい色合いのアーガイル柄のワンピースを着ながらも、どこか漂わせる、その人の好い雰囲気や(彼女の凄いところは、全ての場面に於いて、必ずどこかでシンデレラを見守っていること)、シンデレラの夢心地の心境を表したような、お城へ向かう道中の、その地の底が計り知れないような大胆なデザインに加えて、建物を大きく、人物を小さく描写することにより、それでも目に留まる麗しい優雅な様や(シンデレラのダンスの美しさといったら)、人のやり切れない儚さといった繊細さが(あの鐘の聞こえるシーンは見ていて切ない)、より如実に表れて見えるのも印象的である。

     更に特筆すべきは、やはりシンデレラの変身前と変身後の見開きの対照性であり、そこで感じられた、ため息ものの美しさこそ、シンデレラ本来の心の中の姿であり、それは奇跡などではなく、普段から彼女自身が自然とありのままに見せていた、優しくも確固とした気高さを抱いていた、一人の女性としての存在意義を認められた証なのではないかと、私には思われたのであった。

     最後に、私が印象的だったのが、おそらく安野さんが意図的にそうしたと思われる、ウィスタリア色の見返しであり、「ウィスタリア」は和名だと「藤」になるのだが、色としては、前者の方が後者よりも、濃い色ということで別のものとなり、その花言葉、『ようこそ美しき未知の人』には、これまで辛い思いをしてきた、シンデレラの可能性に満ち溢れた未来が宿っているようで、それは魔法使いのおばあさんと共に心を込めた、安野さんの彼女への祝福のしるしとも感じられたのであった。


     ちなみに、本書のシンデレラについて、最初は大人向けのそれと感じましたが、何度も読み返す内に、はたして本当にそうなのだろうかとも思い、こればかりは、子ども次第と思うところもありながら、別に読み手があれこれ説明しなくても、子ども自身で何かを感じてくれるものも、きっとあると思い(安野さんの絵には、品の良さと人懐こさが共存している)、そうした安野さんの決して子どもに媚びない対等な姿勢に、絵本作家としての誇りを感じました。安野さんの場合、この絵本だけがそうではありませんがね。

    • akikobbさん
      たださん、こんばんは。
      なおなおさんもこんばんは。

      安野さん大好きなので、たださんが安野さんの絵の魅力をこんなにすてきに言葉にされていて、...
      たださん、こんばんは。
      なおなおさんもこんばんは。

      安野さん大好きなので、たださんが安野さんの絵の魅力をこんなにすてきに言葉にされていて、じーんとしてしまいました。
      シンデレラも、ただ可哀想で美しくて優しいだけでなく、どこか芯の強さを感じさせるところがあるよなあと思っていたのですが、それに通じるようなご感想も書かれていて、私もこの本でシンデレラ読んでみたいなと思いました。
      2023/11/21
    • たださん
      なおなおさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます(^^)

      私も図書館で見つけなかったら、安野さんがシンデレラを描いていたこと自体、...
      なおなおさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます(^^)

      私も図書館で見つけなかったら、安野さんがシンデレラを描いていたこと自体、気付かなかったかもしれないので、いつもの図書館に感謝しております。

      ありがとうございます!!
      ようやく気付いてくれたのです ね(^^;)
      2023/11/21
    • たださん
      akikobbさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます(^^)

      安野さん大好きなのですね!
      その魅力は、最初、センスのある独特な美...
      akikobbさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます(^^)

      安野さん大好きなのですね!
      その魅力は、最初、センスのある独特な美しさだけかと思っていたのですが、シンデレラについては、人間の表情から、その全体の佇まいまで描いたことによって、絵から感情が立ち上ってくるといいますか、そこに潜んでいたのが、美しさだけではなくて人懐こい親しみやすさだった点にも、安野さんの人柄を感じさせられたようで、とても印象的でしたし、シンデレラも、安野さんでしか描けない魅力がいっぱい感じられると思うので、是非、読んでみて下さい(*'▽'*)
      2023/11/21
  • 安野光雅さん版シンデレラ。たださんの☆4つレビューで出会うことができました。ありがとうございます。
    独特で厳かな迫力が漂う街角や建物のどこかに、まほうつかいのおばあちゃまが意外なところに隠れていて探すのが楽しい。
    2どめのおかあさんとおねぼうおねえさん達の顔つきとシンデレラとの大きさの差(2倍位ありそう)がコミカル。馬車は屋根にカボチャが載っている。
    「ぷっぷるぷっぷ ぷー。はっぱらぱっぱ ぱー。」らっぱの音が話の展開を替える様に響く。紙芝居になりそうな懐かしさ。

    • たださん
      ☆ベルガモット☆さん、お返事ありがとうございます♪

      はい、本編全ての絵に、まほうつかいのおばあちゃま、いらっしゃいます。中には、風景に溶け...
      ☆ベルガモット☆さん、お返事ありがとうございます♪

      はい、本編全ての絵に、まほうつかいのおばあちゃま、いらっしゃいます。中には、風景に溶け込んでいるのもありまして、その細かさは、まさに○○を探せ的だと思いましたよ(^_^;
      2023/12/10
    • ☆ベルガモット☆さん
      たださん、よくみたら☆4つでしたね!
      直しました、失礼しました♪
      風景に溶け込んでいるおばあちゃま、見つけきれないほどの細やかさ安野さんワー...
      たださん、よくみたら☆4つでしたね!
      直しました、失礼しました♪
      風景に溶け込んでいるおばあちゃま、見つけきれないほどの細やかさ安野さんワールドですね!
      2023/12/12
    • たださん
      ☆ベルガモット☆さん
      わざわざ、御丁寧に報告下さり、ありがとうございます。
      そして、細かいこと書いてしまい、すみませんでした<(_ _)>
      ...
      ☆ベルガモット☆さん
      わざわざ、御丁寧に報告下さり、ありがとうございます。
      そして、細かいこと書いてしまい、すみませんでした<(_ _)>

      いっその事、おばあちゃま、そこにいますよ、と教えてあげたい気持ちに駆られてしまいますが、そういうわけにもいかず、困っております(^_^;
      でも、楽しまれたようで良かったです!
      2023/12/12
  • 大好きな安野光雅さんによるシンデレラ!
    話の筋は大きくは変わらないけど、語り口でこんなにのほほんとした感じにできるんだーと面白く感じた。

    例えばこんな感じ。

    (引用)
    ぷっぷるぷっぷ ぷー。
    ぷっぷるぷっぷ ぷー。
    「みなさん おしろからの おしらせでーす。(以下略)

    また、絵が割と引いた構図で描かれている。シンデレラのような物語は絵の上でも主人公にスポットライトが当たりがちだけど、本作は街並みや建物の内装がわかるような形で描かれていて、シンデレラに感情移入しすぎることなく読める距離感が結構良い。

    魔法使いのおばあさんの絵さがし絵本的にも読めるので、子どもと読んでも一番楽しかった。(わざわざ読み聞かせようと思っている訳ではないのだけど、読んでいると大抵見つかってしまって「みつけちゃった(ニヤリ)よんで!」って言われてしまう。

  • あの「シンデレラ」が安野光雅さんの手によってよみがえった1冊です。
    .
    ディズニーのシンデレラのような華やかさもありません。素敵な王子さまもいません。でもここには安野氏の魅力が凝縮されています。何が……って、水彩の美しさと繊細さ!街並みの構図なんて美しいのなんの、とても立体的で安野氏の世界観そのものです。
    .
    お話しの内容は少し端折っていてシンデレラを知らないお友達には向かないかな〜。お話しを知っているからこそ、削ぎ落とされたシンプルさが素朴で魅力的なんだと思います。
    .
    安野氏らしい茶目っ気のある語り口と、どのページにも魔法使いのお婆さんがいて、シンデレラを見守っている感じがとっても好き!子供達も魔法使い探しに夢中になること間違えなしです。
    .
    柱の木目、お城や石橋の細かさ、そして1人1人の目の表情、動物達の可愛いしぐさにひきこまれます。
    .
    最後のページはとっても素敵!
    .
    こんなシンデレラも是非読んで見て下さい!美しい本、そのものです!
    .
    #シンデレラ
    #安野光雅 文、絵
    #世界文化社

  • 安野光雅さんのシンデレラ♪
    さすが安野光雅さん♪
    まほうつかいが隠し絵みたいにいるいる
    ( *´艸`)
    12時にまほうがとけるのは
    まほうつかいのからだがもたないから。

    はじめてきいた解釈?!
    面白いっ^^*

    最後はあっさり(笑)

    安野光雅さん好きだわぁ♡

  • パッと見は、ダイジェスト版シンデレラなのだけれど、かの安野光雅がそれだけの絵本を作るわけがないと読み返してみたら、やはり仕掛けがありました。すべてのページにまほうつかいがいるではないか!
    さすがです。

  • シンデレラの要約版。華はない。
    娘は「ディズニーの絵の方が可愛い」とのこと。

  • シンデレラが、おうじさまの、おきさきさまに、なれてよかった。

  • 名作絵本、どの本で読み聞かせしてあげようかなと悩んでいる最中。
    安野さんの描かれたシンデレラを見つけた。文章が綺麗。絵が美しい。大人向けかな?と思いきや萌ちゃんもしっかり見て聞いてくれた。

  • 安野さんが描くとまた違った物語のよう。ヤモリやねずみが突然出てくるのではなく、変身させられる前までもちらちらと描かれてあったり、魔法使いのおばあさんがいたるところからこっそりと見守ってくれていて面白い。シンデレラよりも描かれている回数が多いくらいの頻度で見守ってくれている。

  • 2012年5月27日

  • *未購入*
    2歳10ヶ月時、図書館にて借。

    安野光雅さんのイラストは、娘の好みではないみたい・・と思っていたのに、図書館で選んできた。
    シンデレラがとにかく大好き。

  • 1974年発行の人気童謡絵本シリーズ「ドレミファランド」の中からシンデレラのみを抜粋した絵本。
    大まかな話の流れはよく知られているシンデレラと同じだが、そこはさすが安野光雅氏といったところで、構成や台詞にも氏らしいウィットにあふれたものに仕上がっている。
    注目して読みたいのは、なんと話の最初から最後まで全ページに登場している魔法使いのおばあさん。
    単にドレスとガラスの靴と馬車を与えるだけの存在ではなく、シンデレラを見守り続けながら、頼もしくもチャーミングなストーリー上の進行役をつとめているのが面白い。
    しかもそのおばあさん、まさかなぁと思うところに描きこまれているので、目を凝らして見つけたときは嬉しくなってしまうのだ。
    そんな嬉しい仕掛けもあって、大人も子どもも楽しめる絵本に仕上がっていると思う。

  • 安野光雅さんのシンデレラ。

    何となく地味なところがいい。
    あちこちに魔法使いのおばあさんが登場していた。

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著者プロフィール

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『安野光雅文集』(全6巻)『片想い百人一首』などがある。2020年没。

「2025年 『文庫手帳2026』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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