おいしいものと恋のはなし

  • 世界文化社 (2015年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784418155118

作品紹介・あらすじ

見ないようにしていた、心の奥のせつない気持ち。そばにいても気づかなかった、好きなひとの意外な表情・・・・・・恋するときの様々な感情を思い起こさせる、珠玉の作品9編を収録。恋人たちの食卓に並ぶのは、ねぎ焼きやぶどう、深夜に食べる禁断のステーキなど。読むだけで心も満たされる“おいしいもの”がもりだくさん。恋にまつわるあれこれと、“おいしいもの”がギュッとつまった、田辺聖子アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  •  大好きな田辺聖子さん節にたっぷり触れられた一冊。個人的には、田辺さんの潔く、軽快な、一方で磨き抜かれた審美眼が鋭く光る人間描写が大好き。
     ただ、読みながらどうしても、"今どきの人たちがこれを読んでどう感じるんだろう"と、気になってしまう。実際、本書の最終ページには、「現在では差別的表現と受け取られかねない表現が含まれていますが…〜」などと注釈してある。それでも尚、田辺さんの人間描写が好きなのは、言葉の根底にしっかりと流れるあらゆるキャラクターの人間への好奇心(愛と言っても良いのかも)が感じられるからだと思う。
     私自身はそのような表現を読んでいると、「こんなに自由に思ったことを言葉にして良いんだ!」と驚きとともに開放感を味わう。それだけ普段、"他者に対する好みを言葉にしたり、他者をむやみに評価してはいけない"、"外見で人を判断してはいけない"などのルールを自分に課しているのだと気付かされる。もちろんそれも正義。でもそれは、他者に必要以上に介入しないようにするとか、それが加速すると人間というものへの好奇心の薄れにも繋がる気がする。"人間を純粋に面白がる"ことを思い出させてくれる田辺聖子さん節が、やっぱり私は好きだと感じる。



  • 初めて田辺聖子さんの本を読んだ。
    短編集全てが関西弁なのが新鮮で、あまり他にはないフレーズが盛りだくさん。
    男性がなぜかお酒に潰れてダメンズ展開みたいになってる話もあったが、それもリアルな恋愛なのだと思った。
    出てくる料理が想像するだけで美味しそうで、食欲も出てきて、とてもユーモラスな所もあり楽しめた。舞台になった関西各所を廻ってみたい。
    恋愛ものを読みたかったので、満足です。

  • はじめての田辺聖子さん。大人でも読める小気味良い恋の話。恋っておかしなものだな。笑えてくる。ごはんと結びつくと尚ユーモラス。そういうものなんだと思う。ごはんも恋も本能だから。

  • 短編集。題名通りに恋と食べ物の話しが詰まっています。舞台は大阪。軽快でいて、庶民的で、あったかい普段着の大阪人のはなし。
    ユーモラスで楽しい話しがいっぱいです。

  • 2015年に本が発行されてるんだけど、
    中身は1980~90年代の作品のため、時代を感じる部分も
    あったけど、すんなり読めましたー。
    何より表紙が可愛いー!!

    バレンタインデーの話の「金属疲労」がおもしろかったー。
    今とは違って、バレンタインデーがすごく重みのある
    時代で、女性がチョコを男性にあげることに
    四苦八苦する感じがおもしろかったなー。
    昔は義理チョコなんて言ってたけど、今は男女関係なしに
    友チョコとかあげるし、多様性な時代になってきたのかなー
    なんて思ったよ。

    今の時代も何年かしたら、友チョコも古くなるんだろうな。
    あっ…村田沙耶香ワールドっぽくなるかも…。
    なんてねー笑

  • 2015年発行の短編集だけど、中身は1975年〜1998年までに書かれたもの。
    装丁も可愛くて、田辺聖子さんを知らない若い世代にも手に取りやすい感じ。
    私は多分全部読んだと思うけど、あんまり記憶にない話もあり、楽しく読んだ。
    時代を感じさせる細かい部分はあっても、男と女のアレコレ、スッタモンダはいつの時代も変わらず、やっぱり田辺聖子さんの省察力、それを文章にする才能に改めて感じ入る。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140338

  • 男女の間のあれこれを書いた短編集です。

    スマホもLINEもない昭和の恋愛。
    まどろっこしくて面倒くさいかもしれないけれど、人間が人間相手に恋愛していた頃のお話です。

    小気味よい大阪弁で、ちょっと格好悪い男も不運な女も憎めなくて愛らしい。
    男と女ってこんなんでええんやって、肩の力が抜けるかも。

    春間近、かわいい装丁も含め手に取ってみたい田辺聖子の一冊です。

    図書館スタッフ(東生駒):ほっこり

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/823294

  • 久々のおせいさん。
    かなり古い作品ばかりなので、時代を感じるところも多いのだけど、懐かしくてよかった。
    でも、男性目線のお話は、ちょっと好みではないかな。
    元気な女性がヒロインで、元気な大阪弁でしゃべるのが好き。

  • 図書館で借りて読みました。

    好きな人と美味しいものを食べる、ってステキなことだなと思いました。
    「婚約」の陽子とは気が働かない、ぼーっとしているというところが似ていて一番共感しました。
    だからか一番印象が残っていて好きな話です。

  • 美味しいものを好きな人と食べる!美味しいもので季節を感じる。これ以上の幸せはきっとありませんっ。

  • 既読の作品もあったが、読むと心が温まる。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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