成田屋の食卓

著者 :
  • 世界文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418165124

作品紹介・あらすじ

市川團十郎の夫人、堀越希実子さんが作る季節ごと、行事ごとの成田屋の食卓を通して、その料理にまつわる様々な思い出、エピソードをまとめる。料理のレシピも掲載。テーマは食卓を通して見えてくる家族の風景であり、歌舞伎の家、市川家の一年である。

感想・レビュー・書評

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  • 雲南省から東京に移って、最初は羽田空港の格納庫に住んでいた。やっとまともな生活が蒲田でできるようになってから、始めたのが歌舞伎鑑賞だった。日本の伝統芸能を知りたかった。高校の後輩の奥田健太郎歌舞伎ソムリエにあってから、歌舞伎の見方がよくわかるようになった。
    歌舞伎役者で好きなのは、海老蔵である。なんと言っても、オーラをまとった存在感である。
    一般の生活とはかけ離れた梨園の食事って、どんなもんだろうと思って手にとった。
    成田屋の堀越希実子。故十一代目團十郎の妻であり、海老蔵のお母さんである。文章も品があり、凛としている。「私がお話しできるのは、毎日毎晩、家族と一緒に食べたごはんのこと」という。自分のポジションをよくわきまえている。歌舞伎役者の身体づくりの陰の立役者・サポーターである。
    「私が見つけた答えらしくものは、先祖がやってきたことに工夫をプラスして次の人に伝える。形を守り、長く続けるうちにいつか心が入ってくる。そうして心と形が一緒になった時、大事が行われる」うーん。食卓を守りながら、これだけのことを話せるのが素晴らしい。
    東京杉並で生まれ、お嬢さんとして成長し、学習院小学校から学習院大学で学び、そして團十郎と結婚する。團十郎は、白馬に乗った王子様だったのだ。
    堀越家の祖先は、堀越十郎。天正末年、成田山新勝寺に近い下総国に住んでいた。十郎のひ孫が海老蔵。その海老蔵が役者となって、荒事(武士や鬼神などの荒々しさを誇張して演じる)の開祖、市川團十郎となる。江戸歌舞伎の開祖となる。なかなか子供が生まれなかったので、成田山に祈願したら子供が授かったということで、成田山への感謝を芝居とし、「つわもの根元曽我」を演じることになり、成田屋と言われるようになる。
    麻央は、天ぷらをあげるのがうまく、とりわけエビがうまい。團十郎は、それを美味しいと言って食べたという。本来なら、エビを食べない習慣があったようだ。
    團十郎は、マグロが好きで、自らさばいていたという。鯛の薄造りも團十郎がつくる。正月から季節に沿った料理の写真が美味しくうつっている。季節を感じさせる。豪華で、手が混んでいる。なるほど、こんな風に、料理に立ち向かうのかという心構えが見えてくる。いろんな料理本の中でも、群を抜いている。成田屋の家紋がついたミツマスのお椀がいい。レシピも巻末にあり、ロールキャベツ、イワシハンバーグなどは、チャレンジしてみよう。

  • ざっと目を通した程度だけど、手間のかかる食事が多い印象。おいしそうだし、こんな食事が出てきたら嬉しいわ…。

  • 歌舞伎のことはよく知らないのだけど、このお母さんは素晴らしい人なのではないか?と思い、希実子さんについて知りたくなり手に取った。
    しゃんと着物を着こなして、すがすがしい居住まいの方。
    読んでみると、お嫁入りされてからいろいろ頑張ってこられた様子で、伝統とか家庭の味とはこうやって作られていくのかなと、しみじみした。
    こんなふうに家庭の形を作っていける姿に憧れと感激の気持ちを抱きました。
    洋風の料理も和食器に盛り付けられて、見ていて違和感なくとてもおいしそう。
    家族やお嫁さんである真央さんへの態度も暖かくて、見習いたい点がたくさんありました。
    やはり料理は誰か大切な人のために作るのが、上達やおいしさの秘訣なのかな。
    こんなふうにお料理して家庭を支えていけるのはとても素敵と感じました。

  • 何品か真似して作ってみました!
    素朴な味わいのレシピが多かったかな。

    印象的だったのは、希実子さんがご自身のことを歌舞伎も何も知らない素人、と言うフレーズが何度か出てきていたことです。
    梨園の世界はとても想像が出来ませんが、いろいろ大変なことも多かったと思います。
    そんな中で、家族のことを想い、料理を作る姿は一般家庭の奥さんと変わらないのかな、と感じました。

  • 12代目市川團十郎夫人の著書。
    市川團十郎家のレベルの高い食生活、著者がいかに気を配っているか家族への愛情を感じた。
    闘病についての記述には迫力があった。
    海老蔵襲名披露公演の弁慶はかろうじて拝見出来たが、舞台裏では大変なことになっていたとは。
    改めて故人の功績を称えたい。

  • レシピと美味しいものの話も面白いが、歌舞伎役者の毎日を支える家族の大変さが知れる本。それに加えての闘病…それが終わったところで麻央ちゃんへと綴られるが、その相手のお嫁さんさえも先に亡くしてしまったのか…と思うと切なさがこみ上げる。

  • 歌舞伎にそれほど興味がないんで、純粋にレシピ本と思って読んでみると、イセエビとかマツタケとかいった食材を普通に使うのね、ということより(てか、こういうご家庭なら使ってないわけないよなあ・・・)、ずいぶん手間暇かけて丁寧に作ってることにビックリ。忙しい毎日なんだろうに。お手伝いさんの手を借りてるにしても。いくつか作ってみたいなあと思う料理はあったけれど、例え特別の日のことだとしても、私にはこんなにじっくり料理には向き合えないです。

  • 継承した味が無いなりに頑張って築き上げたという素敵な料理本なのに、ページが飛んでいたりレシピがあるのかないのか分かりにくかったりして、中途半端で残念な感じでした。
    そして、麻央ちゃんのために書いたのに・・・という結末も残念過ぎる。
    旦那がどんな人で何を考えていたのか等もっと書いてほしかった。この人は、お嬢様育ちでぽわんとしたとらえどころのない人なのではないかという気がした。

  • 図書館予約入れて待ってからでしたので。
    真央さんの折れ口後にアタシは手にとりまして。
    そして、どのタイミングで書かれたのか…
    わかりませんが。

    真央ちゃんのために。
    の、成田屋レシピ。でした。

    牡蠣むき用のグローブ
    屋上からの桜

    季節にあったお料理。

  •  十二代目市川團十郎、十一代目市川海老蔵が食べてきた、成田屋の食卓。確かにこれは梨園ならではの世界でしょ、という面もありながら、意外にも庶民の我々も真似したくなる食事も多く、参考になる。ぜひ、「タイ風春雨サラダ」と、「豆腐としらす、枝豆の和え物」は我が家のレパートリーに加えたい。
     ハッとさせられたのは、團十郎の「歌舞伎役者は肉体労働者だ」ということ。それだけに、舞台の期間中はパフォーマンスを一定にするために、毎朝同じものを食べていたり、時に朝からステーキを欲することにも合点が行く。
     最高のパフォーマンスを追求する人とそれを支える人、そして、家族愛に溢れた1冊。

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著者プロフィール

東京生まれ。学習院大学仏文科卒業後、
1976年に12代目市川團十郎(当時は10代目市川海老蔵)と結婚。
長男は11代目市川海老蔵、長女は日本舞踊市川流の3代目市川ぼたん。
現在は、着物ブランド「茶屋ごろも」、
ブライダル和装ブランド「麗」のデザイン・監修を手がけ、
多忙な日々を送っている。
著書は『成田屋の食卓―團十郎が食べてきたもの―』(世界文化社)。

「2018年 『成田屋のおくりもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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