ぼくらの家。 9つの住宅、9つの物語

  • 世界文化社 (2018年7月13日発売)
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784418184125

作品紹介・あらすじ

建築家、独立10周年・・・
「いかなる建築にも、物語があるものです。
とりわけ住宅という建築には、住まい手たちの物語があり、それは、どこか生命体のように、設計者である建築家の意図をはるかに超えて、時間とともに大きく成長していきます。
住宅には、住まい手たちを中心にしてコスモロジーがつくられていくのです。
それを、ぼくなりに綴ったのが、この一冊です。」(あとがきより)

内田樹氏の自宅兼道場《凱風館》で建築家としてデビューした著者は、それからどんなふうに家をつくってきたのか。
10年間でつくった8つの住宅と、いつかつくりたい未来の自邸をめぐる物語。

感想・レビュー・書評

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  • この本は、筆者が設計した9つの家を、それぞれの住人や関係者の目線から語り口調で紹介するというスタイルで進行していきます。

    なぜなら、筆者は設計士として、住宅を作るということは、住居者のライフスタイルについて考えることと同義であると考えているためです。

    ところで、私は、DIYが好きで、全てのものを自分で作りたいと思う性分なのですが、どうやらそう考える人は少ないらしく、周りの人から何故買わずに作るのかと聞かれて、答えに困ることが多かったのですが、この本を読んで、私の思考を代弁してくれているかのように感じて、嬉しかったです。

    p105 「家の本当の機能は人間の生活を守るシェルターだ。あるいはより快適に、自由に生きようとする道具でもある」

    つまり、家には2つの側面があって、シェルターのような商品として考えたときには前者、自分のライフスタイルを表現するための道具として考えたときには後者の側面があり、私は後者として捉えているということ。

    p108 住空間に「ひだ」が多く、住まい手がつい何かしたくなるような家は、いつまで経っても完成することがない。ずっと未完のままということは、住宅という機械(道具)を常にいろんな角度から操ることを住まい手が試し続けている証でもある。いつも考えて、自由に変容する空間を楽しみながら、絶えずつくり続けること。そうすると、住宅が日常空間を彩るメロディを奏でることができるだろう。

    つまり、私がモノを作ったり、作ったものをスクラップしたりリビルドしたりリサイクルを絶えず考え、常に何かしらを作ろうとしているのは、人生のライフスタイルの変容に応じたより快適な住環境へのアプローチであり、自由の表現方法だから、楽しいんだということが、理解できました。

  • これから家づくりをスタートするにあたり、わたしも「開かれた家」にしたいなと思った。
    P238
    私は、凱風館で過ごした時間を通して、他者に開かれた家はとても生き生きするということを学んだ。沢山の人に開かれるということは、その人たちがそれぞれに、自分たちの居場所をつくり出すことを意味するからだ。

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著者プロフィール

光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ)
建築家/一級建築士/博士(建築学)
1979年米国・ニュージャージー州生まれ、小学校2年生の頃日本・奈良に帰国するも、少年野球(5番キャッチャー)に熱中。中学からカナダ・トロントと英国・マンチェスターで過ごし、野球に加えてNBAにハマる。高校で再度帰国し、バスケに明け暮れて、バンド(英語の発音がよくて声がデカイだけのボーカル)をやったり、村上春樹を通して読書に目覚めたり、麻雀を覚えたりする。2004年に早稲田大学大学院を修了し、単身ヨーロッパへ。ドイツ・ベルリンの設計事務所で職を得て、4年間働く。2008年に帰国し、光嶋裕介建築設計事務所を開設。2011年に処女作として、内田樹先生の道場兼自宅《凱風館》を神戸に完成させる。竣工後すぐに入門し、現在は合気道参段。2021年より、神戸大学特命准教授。主な作品に、《旅人庵》(京都)、《森の生活》(長野)、《桃沢野外活動センター》(静岡)など。2015年にAsian Kung-Fu Generationの《Wonder Future》全国ツアーのステージデザインとドローイングを提供。主な著書に、『増補 みんなの家。』(筑摩書房)、『つくるをひらく』(ミシマ社)など多数。最新刊は、『ここちよさの建築』(NHK出版)。

「2023年 『つくる人になるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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