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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784418232161
作品紹介・あらすじ
気鋭の脳科学者が挑む「音楽とは何か?」。知的刺激に満ちた音楽理論書
・脳科学者が音楽のしくみ・存在意義を科学的に掘り下げる
・音楽家・音大生他、音楽を愛する全ての人に
・「音階/音律の成り立ちに関して、本書がもっとも理にかなって分かりやすい」(ピアニスト・角野隼斗氏推薦)
「音楽の仕組みや存在意義に根本から科学的にアプローチした本書は、多くの演奏家にとっても気づきの多い内容だと思う。音階/音律の成り立ちに関して沢山本を読んだが、本書がもっとも理にかなって分かりやすい。脳科学的な「緊張と弛緩」の話は、全ての時間芸術において成り立つと思う」(ピアニスト角野隼斗氏推薦文より)。 脳科学者が挑む、音楽とは何か?耳の構造から音を読み解き、なぜドレミ音階なのかを経て、音楽の誕生を考察。物理学、心理学、脳科学的視点から重層的に「音楽」を探求する流れは、知的刺激に満ちて感動的。
感想・レビュー・書評
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小さい頃にピアノを弾いて、この音は悲しいとか、楽しい感じみたいな感情を味わった記憶がある。それ自体はテレビか何かで既に刷り込まれた映像と音のリンクを再現させただけかも知れないが、音楽には人間の感情を揺さぶる力があり、それが先天的なものなのかが気になっていた。本書が、脳と音楽の関係性を語ってくれると期待して読み始める。
正直、「面白いと思う内容」と「難しくてついていけない」という部分がある。面白いのは脳と音楽の関連性や音楽そのものの多様性について。難しいのは音楽理論の話。音楽については、ジョンケージの無音とかスティーブライヒとかハイドンの「びっくり交響曲」とか。本書にQRコードがついているので、そこからYouTubeを開いて実際に音楽を聞きながら楽しめる。
ライヒは現代音楽のジャンルのひとつであるミニマル・ミュージックの代表として、「繰り返しと変化」の解説てま紹介される。『十八人の音楽家のための音楽』という曲だが、私もよく好きで聞いていた。そこからYouTubeでザッピングしてMatthew Herbertを思い出す。どれも懐かしい。
そう、この懐かしさが何だったか。いつもながら、本とスマホを行き来する。残念ながら、音の記憶について詳しく述べられてはいない。だからこれが映像と関連づいて記憶されるから音楽に悲しさや楽しさが宿るのか、生まれつきのものかは分からない。ただ、経験的に赤ちゃんを見れば、そうした喜怒哀楽は生まれつき音楽に宿るという気もする。この点は本書でも触れられるが、音楽ではなく、音として捉えた場合、その大きさや重なり、波、リズムで快感や不快感を与える作用がある。
ー 感覚的不協和は、個々の音の知覚が原因の比較的単純な感覚ですが、文脈的不協和は、音と音の関係をどう捉えるかという脳による解釈がからむ、複雑で奥深い感覚です。そのため、文脈的不協和には、時代や文化や個人の音楽経験の違いによって感じ方に個人差が生まれます。
言葉は時に記憶から忘却されるが、音楽はいつまでも身体が覚えていて、思い出のインデックスになっている。今でもYouTubeで漁ってしまう時があり、最近は読書の妨げになるため、聞かない事も増えた。昔は聞きながら勉強もできたのだが。まだまだ、興味は尽きない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
よく、音は音波で、周波数が高くなると音高も高くなって、周波数の整数比がどうこうとか、そういう類の音楽理論書をかなり読んできたけど、でも本書が言うようにたしかに、でもけっきょく人間がどうそれを感受するかどうかが重要なんじゃないの?
本書は脳科学の観点から音楽の認知を論じた本だ。
物理的な音波にも還元できる音楽と、人間の脳が認知する音楽。その相関関係を探ったスリリングな書。
なんと耳の構造から、ドレミファソラシドや、ダイアトニックコードができあがっていくプロセスを説き起こす。
そのくだりにもっとも興奮した。おそらくここが本書のハイライトだろう。
その後、脳科学の観点から音楽史をたどりなおす。
クロード・シャノンの情報理論からすると、情報は確率がレアであるほど情報量が多い。つまり、脳にとっては驚きが大きい。こうした観点からたどる音楽史がすごぶる面白かった。
言語は翻訳できるが、音楽は翻訳できないというレヴィ・ストロースの指摘にも膝を打った。 -
音楽と脳に関する本のうち、比較的一般向けのものをいつか読みたいと思って、この本を書店で繰り返しチェックはしていたが、今回やっと手に取って読むことにした。音楽理論というか、そういうものを分かりやすく解説してくれて、そして後半にいくにしたがって脳機能との関連を解説してくれる。随所に、関連した音楽サンプル(YouTube動画)へのアクセスQRコードを、譜面等と合わせて示してくれているため、筆者が説明したい内容が具体的に伝わってくるのが、大変役に立った。他にも「音楽と脳」に関連した本を読みたいと思っているので、ここから手を広げていきたい。
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全章とっても面白い。めちゃくちゃ分かりやすい。
特に、"旋律→和音→不協和音の登場"の流れを知ると、現代クラシックの理解できない複雑さもいずれ耳慣れて楽しめるようになるんだと思えて、未来にワクワクする。より音楽が好きになった。 -
大雑把にまとめれば、これまでの音楽理論で言われてきたことを、心理学や脳科学によって説明し直した本なのだが、その射程がすごい。
最終的に、音楽とは何かを考えようとしているのだ。
まず音とは空気の振動ではなく、人の耳に入って脳に知覚された感覚のことだということから話が始まる。
音の説明として、音波の形や振幅などを取り上げていくものはこれまでにもいくつかの本で目にしていたが、本書ではその音波の振動が耳の中で処理され、電気信号となって脳に伝わっていくかが説明されていく。
脳科学的な説明が加わることで、経験的に知られていることの理由がわかっていくことが面白い。
例えば、一オクターブ離れた音が同じ音と認識される(オクターブ等価性)ことの理由は、耳の蝸牛にある組織であり、音波の振動を感じて神経伝達物質を放出する基底膜の反応から説明できるらしい。
神経細胞の集合の発火パターンが、整数倍の関係にある周波数同士で似ているからだそうだ。
また、臨界帯域(一つの周波数に対して振動する基底膜の範囲を周波数に換算して表現したもの)の幅が、音の分離や、全音の決め方に関わっているとか。
さらに、臨界帯域は低音部で広く、高音部で狭いため、ピアノ上で同じ一オクターブ離れた音程でも、高音域ほど変化の幅が大きく聞こえることにもつながるとも。
こうして全音が規定されると、今度は音階がどう生まれるのかが、今度は聴覚心理学を用いて説明される。
一オクターブの中をどう区切るか。
筆者は三つの前提を作り、その三つの塩梅のいいところで現在の7音から成る全音階ができた、と説明する。
前提1 旋律のために広い音程を避ける
前提2 和音のために協和的な音程を優先する
前提3 音楽を複雑化できるよう、音階数を増やす
このあたりになると、ややどうかな?と思う部分もある。
自分も詳しくは知らないが、アラビア音楽などは全音の四分の一の音程を持つと聞いたことがある。
電子楽器(キーボード)でも、四分の一の音程が出るとも。
和声をあまり重視しないのか何なのか。
自分でも機会があったら調べてみたい。
そのあとは和声や楽式論を情報学から説明していく。
緊張と緩和の話に、クロード・シャノンの情報量(起こる確率の低いものほど情報量が多い)の考え方を持ち込んで説明する。
一つの音階の中でこの音、この和音が来るのは起こりにくいから緊張につながる、などと説明されることとなる。
繰り返しが緩和につながるなどというのも、経験から考えてもわかりやすい。
このあたりから俄然読みやすくなっていく。
最後に脳科学の話がまた帰ってくる。
音楽を表現したり、聞いたりするための特定の部位(音楽野)はない、という話だった。
むしろ驚いたのは部位が限定される言語野の方を特殊だと考えるべきだということ。
そうそう、「音楽とは何か」という問いには、筆者は言語との対照によって答えていた。
単語とモチーフ、統語と旋律、韻律など、言語と音楽には類比できる要素があるが、両者の大きな違いとは翻訳可能性だ、という結論。
おお、そういう方向へ行くのね。
驚くほど多領域の議論を参照しながらまとめあげていくのが見事だった。
いろいろ勉強になった一冊だった。
理系の人ならもっと、すっと読み進められるのかも。 -
【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/490166 -
「音と音波は異なる」との指摘は目から鱗を落とすのに十分だ。要は五感情報を「物語に書き換える」のが脳という装置の役割なのだ。つまり妄想(笑)。
https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2025/07/26/224959 -
難しかった。でも、とても面白かった。
音階の成り立ち、耳の構造、神経→脳の構造、音楽と言語の違いなど、あらゆる角度から音と音楽を切り刻んで解説されていた。
正直言って各章の後半はどれも難しく、理解できなかった。しかし、次の章の冒頭になれば、また簡単な解説から始まるので、なんとか読めたという感じ。しばらく時間をおいてから、また挑戦したいと思う。 -
大人の教養シリーズ。
音は空気の振動そのものではなく、それが脳に届いて感覚として感じるもの。
その一連のプロセスや音の集合である音楽を解説してある。途中の音から音階、楽理以降は難しい。 -
脳から見た「音楽とは何か?」を筋道立てて考察しており面白いですが、結論は「よく分からない」そうです (*^▽^*)
・物理事象(音波)⇒聴覚(音)⇒認知(音階/音律)⇒情動(音楽)という流れで、脳科学/物理学/心理学/音楽理論など様々な観点で考察しています。程よい内容のバランスと深さで、専門知識無しでも素直に読めました
・聴覚(音の高さ、大きさ、音色をどう感じるか?)は、耳の仕組みから論理的に説明が付くそうです。認知は、聴覚の仕組みと音の認知に関する経験則(音楽理論等)/実験結果から、ドレミのような音階/音律がどのように成り立ってきたのか=十分条件は説明できるようですが、論理的=必要条件の説明には至っておらず、情動としての「音楽」は、殆どわかっていないとのこと
・特に分からないのが、「言語」と何が違うのか?のようです。物理事象⇒聴覚⇒認知⇒情動というプロセスは同様なのに、脳は「言語」と「音楽」を識別できる、かつ、言語は翻訳できる(異なる言語=異なる音の組み合わせでも同じ意味を伝えられる)のに対して、音楽は翻訳できない(音の組み合わせが異なると違う曲になる)というのが興味をそそられます -
2025.2.13 朝日新聞広告欄より
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人間にとって音楽とは何なのか?
かなり興味深い内容で面白かったです。
伊藤浩介の作品
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