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本 ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784418242214
作品紹介・あらすじ
人気シリーズ東京版、5年ぶりの改訂出来
さあ今日は、どんな古民家カフェに会いに行こう
・変わりゆく街・東京の路地に残る、42軒の古民家カフェをご紹介。
・文筆家・喫茶写真家の川口葉子さんが美しい文と写真で綴る、古民家と店主の珠玉の物語。
・2019年版から新収録14軒、再掲カフェも再取材・最新情報に。
古民家カフェの屋根の下には、建てられた当時のゆるやかな時間の流れがまだ音楽の残響のように漂っていて、訪れる人々は無意識のうちにその豊かな響きを聞き取っているのかもしれません。(はじめにより)
築50年以上の建物のかつての姿は、長屋や銭湯、養蚕農家など。カフェに生まれ変わったその軒下で、珈琲の香りを楽しみながら、古民家の記憶をたどる旅へでかけてみませんか。
感想・レビュー・書評
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古民家カフェ〜‼︎
紹介されている42店、どのお店の個性的かつノスタルジーでとっても素敵。お休みの日にゆっくりコーヒー飲みながら読書できたらなんて幸せなんだろう。
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東京の古民家カフェを紹介する本。
とにかく写真が綺麗。カフェについてだけでなく建物の歴史についても触れているので、実際に自分の目で見てみたい訪れてみたいと思わせてくれる。
こういうカフェで読書とか憧れる…! -
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000072532
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巻末にもありますが、老朽化による維持費、円安や原材料費の高騰を考えるとメニューが高くなっているのは一目瞭然です。
また、前著からコロナを乗り越えてきても体力的にキツイので精一杯応援したいです。 -
路地に残る家:
散ポタカフェのんびりや
CAFE IMASA
花重谷中茶屋
上野桜木あたり
HAGI CAFE
カヤバ珈琲
喫茶ニカイ
葉もれ日
ルーサイトギャラリー
雨音茶寮
すみだ珈琲
KiKi北千住
竹むら
松庵文庫
モモガルテン
古桑庵
藤香想
蓮月
旧尾崎テオドラ邸
喫茶居桂詩
街道沿いの家、森に包まれた家:
POUND
旧白洲邸武相荘
繭蔵
noco BAKERY&CAFE
CAFE D‐13、ときどき五味食堂
耕心館喫茶ストーリァ
カキノキテラス
森のアトリエ
概要:
本書は、東京とその近郊に存在する魅力的な古民家カフェ42軒を紹介した書籍「今日も、東京 古民家カフェ日和」からの抜粋に基づき、古民家カフェという文化現象の背景、多様な店舗の事例、そしてその運営における重要なテーマやアイデアをまとめたものです。単なるカフェ紹介に留まらず、古民家が持つ歴史的、文化的価値、それを活かす人々の思い、そして地域との繋がりといった多角的な視点を提供します。
主要テーマと重要なアイデア・事実:
古民家の定義と価値:
全国古民家再生協会では、古民家を「築50年以上の家」と定義している一方、文化庁の登録有形文化財の登録基準は「建築後50年を経過した建造物」とされています。本書では、築90年を超えるような歴史を持つ邸宅も紹介されています。
古民家は、単なる古い建物ではなく、「伝統的構法」や「昭和の器」といった時代や文化を伝える貴重な存在です。「古民家の屋根の下には、それがまだ音楽の残響のように泣いている」という表現は、古民家に宿る歴史や記憶の重みを詩的に示唆しています。
放置され忘れ去られていた古民家が、人々の手によってカフェとして再生することで、新たな物語を紡ぎ出し、地域に再び賑わいをもたらす事例が紹介されています(例:「カフェおきもと」)。
多様な古民家カフェの事例:
本書には、様々な背景を持つ古民家を活かしたカフェが登場します。
洋館: 関西の貿易商の別荘として建てられた洋館(宝塚市の旧松本邸も手がけた川匂忍が設計)がカフェ空間として再生され、往年の調度品や庭の緑を楽しむことができる事例(国分寺市の「カフェおきもと」)。
「往年の調度品やラジオが残る洋館の応接間」
「縁側から緑が望める都下のカフェ」
商家: 江戸時代から続く材木商の店舗兼住宅を改修し、当時の暮らしや文化を偲ぶことができるカフェ(神田の「CAFÉ IMASA」)。
「江戸から続く裕福な材木商の暮らしと文化をしのんで」
「材木商の材木置場で、大名屋敷を並び建てる際に呼び寄せられて神田に移り住んだ」という辿藤家の歴史が紹介されています。
花屋: 明治時代創業の花問屋の建物をリノベーションし、花と茶の時間を楽しめるカフェ(谷中の「花重 谷中茶屋」)。江戸時代の長屋の柱が改修中に現れたという歴史的な発見も紹介されています。
「明治三年創業の生花問屋で 花とお茶の時間」
「改修工事中にベニヤ板の壁を剥がしたら現れた」江戸時代の長屋の柱。
銭湯: 明治末期創業の銭湯を改修し、当時の空間を活かしたカフェ(入谷の「快哉湯」)。銭湯の面影を残しつつ、落ち着いた雰囲気の空間が提供されています。
「洗い場の壁一面の巨大な鏡」や「ガラス戸越しに見える富士山のペンキ絵」など、銭湯時代の名残が紹介されています。
民家: 築90年の民家を自分たちの手でリノベーションし、日本茶を提供する茶屋(北千住の「KiKi北千住」)。かつての生活道具を再利用するなど、趣向が凝らされています。
「築九十年の民家を自らの手でリノベーションして日本茶喫茶を開いた。」
酒蔵: 親族が営んでいた欄間作りの蔵を改装し、酒を提供する場として再生した事例(湯島の「らんまん酒場」)。
「このお店は親族が携わっていた欄間作りの蔵をまた、場として開かれたのだ。」
その他: 劇場、邸宅、工場など、様々な用途で使われてきた建物をカフェとして再生した事例が紹介されており、それぞれの建物が持つ歴史や物語を空間やメニューに取り入れていることがわかります。
古民家カフェ運営における重要な要素:
地域との繋がり: 町会の人々との交流(「もや」)、地域のイベントへの参加(「もや」の神輿担ぎ)、近隣住民との協力(「カフェおきもと」の庭の手入れや「大真庵」の地域住民による味醂作り教室)、地域の人々が気軽に立ち寄れる場所としての役割(「藤見想」の縁側のようなカフェ)など、地域社会との連携や貢献が重要視されています。
歴史と記憶の継承: 古民家に残る歴史的な要素(建築様式、調度品、庭など)を尊重し、それをカフェの魅力として活かす工夫が見られます。「時代を経てきた物に残る魅力」を活かし、再び人の集まる場所へと変身させる試み(東上野の事例)。
運営者の情熱と創意工夫: 老朽化した建物の維持管理の苦労(「カフェおきもと」の修繕、「花重」の経営困難の克服)、独自のコンセプトやメニュー開発(「Think」の自家製酵母パン、「Spice Cafe」の本格インドカレー、「大真庵」の手打ち蕎麦と自家焙煎珈琲)、空間デザインへのこだわり(「KAYABA COFFEE」のモダンな和の空間、「喫茶ニカイ」の水色をテーマカラーにした内装)など、運営者の熱意とアイデアが古民家カフェの個性を形作っています。
持続可能性への意識: 古い建物を長く維持していくための努力や、地域文化の継承への思い(「CAFÉ IMASA」のNPO法人との連携、「花重」の伝統技術の継承)が語られています。「古い家と共に江戸の文化をいかに受け継いでいくかを念頭に、折々の伝統行事も大切に行いたいと思っています」(「CAFÉ IMASA」のNPO法人の言葉)。
顧客との関係性: 常連客との温かい交流(「喫茶ニカイ」の店主夫妻と客、「竹むら」の池波正太郎とのエピソード、「大真庵」の店主の人柄に惹かれる客)、顧客に合わせた細やかなサービス(「竹むら」の天候に合わせた餡の調整、「五味珈琲」の好みに合わせた珈琲の提案)など、人との繋がりを大切にする姿勢が伺えます。
注目すべき引用:
「古民家の屋根の下には、それがまだ音楽の残響のように泣っている」(本書より、古民家に宿る歴史や記憶を表現した言葉)
「日々のおつきあいを通して、自分たちが美しいなと思う食文化やちょっとした日常の習慣を残していきたい」(谷中の「もや」店主の言葉、日々の暮らしの中で文化を継承していく思い)
「古い家と共に江戸の文化をいかに受け継いでいくかを念頭に、折々の伝統行事も大切に行いたいと思っています」(「CAFÉ IMASA」を運営するNPO法人の言葉、文化継承への意識)
「作ることは想うことから始まる」(「Think」の理念、ものづくりへの哲学)
「いい空間と優しい隣人愛のあるところに、人は集うのだ」(「カフェおきもと」に関する記述、場の魅力と人との繋がりの重要性)
「家には笑いがないと、家が死んでしまいますね。家は生き物に近いのではないでしょうか?」(「ルーサイト・ギャラリー」米山明子さんの言葉、建物と人の関係性)
「百年以上も住み継がれた殷家には、言葉にならないような裕緒があり…そういうものはないことを、住んでみて私ははじめて実感した」(武相荘・牧山桂子さんの言葉、歴史ある住まいの持つ雰囲気)
結論:
「今日も、東京 古民家カフェ日和」の抜粋から、古民家カフェは単なる飲食店ではなく、歴史、文化、人々の記憶、そして地域との繋がりが深く結びついた特別な場所であることがわかります。それぞれのカフェは、個性的な古民家の魅力を最大限に活かし、運営者の情熱と創意工夫によって、訪れる人々に豊かな時間と体験を提供しています。本書は、古民家カフェという文化現象を通して、失われつつある日本の家屋や暮らしの価値を再認識させ、未来へと繋いでいくためのヒントを与えてくれると言えるでしょう。
著者プロフィール
川口葉子の作品





